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工場管理 連載「リーダーに捧ぐZ世代の新人育成バイブル Season2」

2026.10.21

第8回 問題解決のスキル育成③ 繰り返し発生する問題を解決するスキルを高める

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ジェムコ日本経営 古谷 賢一

ふるたに けんいち:本部長コンサルタント、MBA。経営管理、人材育成から、品質改善支援、ものづくり革新支援など幅広い分野に従事し、地に足がついた活動をモットーに現場に密着。きめ細かい実践指導は国内外の顧客から高い評価を得ている。“工場力強化の達人”とも呼ばれている。おもな著書は『まんがでわかるサプライチェーン 知っておくべき調達・生産・販売の流れ』(日刊工業新聞社)。
https://www.jemco.co.jp
 「問題解決のスキル育成」の3 回目は、入社をして数年目といった若手社員に対して、どのようにして問題解決のスキルを教育すればよいのか、「繰り返し発生する問題を解決する」ことをテーマにして解説をする。工程で発生するさまざまな問題の中には、「再発」と呼ばれる、対策をしたにもかかわらず、同じ問題が発生してしまうことがある。最初に発生した問題への対策が適切でなければ、問題は再発する。

 さらに、問題の「再発」を防ぐことができずに、繰り返し同じ問題が発生してしまうこともある。このような問題のことを「慢性問題(慢性化した問題)」と呼ぶこともあり、生産現場では頭を悩ます問題でもある。

 個別の問題解決については技術的な要素が必要になるためここでの言及は控えるが、繰り返し同じ問題が発生してしまう慢性問題に対して、着眼すべき点を解説する。

知識の付与①  本当に根本対策が取られているか

 繰り返し同じ問題が発生する場合、まず考えるべきは、対策が「根本対策」になっているかどうかだ。根本対策とは、問題が発生してしまう根本的な原因(根本原因)を突き止めて、適切な対策をとることだ。

 たとえば、「機械で加工した製品に汚れが付着していた」といった問題では、加工した製品を検査して、もし汚れが付着していた場合は「きれいに拭き取る」といった対策が挙げられる。しかし、これは根本対策ではない。製品に汚れが付着していた場合、なぜ汚れが付着したのか原因を調べることが必要になる。たとえば、機械の内部に汚れている部分があり、その汚れが製品に付着したことが原因ならば、「機械の内部を定期的に清掃する」といった対策が挙げられる。しかし、残念ながらこれも根本対策ではない。

 根本対策とは、なぜ機械の内部が汚れてしまうのか、機械の構造や動作のメカニズムを踏まえて根本的な原因を追求し、そもそも機械の内部が汚れないような対策を施すことだ。

 このように、問題がなぜ発生したのか、その原因は何か、さらにその原因は何か、と繰り返し追求してゆく手法を「なぜなぜ分析」と呼び、問題の根本的な原因を追求して根本対策をとるための有効な手段として活用されている。もし、対策をとっているにもかかわらず、繰り返し同じ問題が発生する場合には、この「なぜなぜ分析」を活用することをお勧めする(図1)。
図1 なぜを繰り返して根本原因を探る

図1 なぜを繰り返して根本原因を探る

知識の付与②  問題を適切に分解できているか

 繰り返し同じ問題が発生する場合、もう1 つ考えるべきことがある。それは「問題を正しく分解できているか」ということだ。単純な問題であれば、何か1 つの原因を追求して適切な対策すれば問題は解決する。しかし、複数の原因が重なり合って、複合的に問題を発生することもある。

 たとえば、「加工した製品の寸法が規格をはずれていた」といった問題では、加工する機械の誤差や原材料のバラツキ、作業者のスキルなどが複合的に絡んで、「規格はずれ」という不良を発生させていることがある。これら複数の原因が同時に発生することで、不良に至ることもある。対策が漏れている原因があれば、また問題が再発する可能性があるので、注意が必要だ。

 複雑な問題を適切に分解するにはさまざまな手法があるが、一番簡単なのは、「可能性のある原因をすべて書き出してみる」ことだ。1 人で考えるのではなく、先輩やほかの人たちにも参加してもらい、少しでも多くの可能性を洗い出すことがポイントだ。そして、洗い出された可能性のある原因を、「特性要因図」のようなQC ツールを活用して、整理をしてみるのだ(図2)。
図2 洗い出した原因を整理する

図2 洗い出した原因を整理する

経験の付与を考える

 生産現場では、さまざまな対策をとっているにもかかわらず、同じ問題が発生する場合がある。問題の根本原因を突き止められないまま問題が長期化してしまうと、出荷の遅延、コストの増加など、生産活動に大きな支障をきたすことになる。確かに、慢性化した問題を解決することはベテランの社員でも難しい。それゆえに、若手社員に対して何度も繰り返し訓練させることが必要だ。

 まず、若手社員に、生産現場で困っている慢性化した問題を事例として示す。検討事項の1 つ目は「なぜなぜ分析」だ。実際に発生した現象を出発点にして、なぜ発生したのかを考えさせる。1つの現象に対して、1 つではなく複数の原因が考えられることもある。それらに対して、さらにその原因は何かさらに深掘りする。よく「なぜを5回繰り返せ」といわれるが、必ずしも5 回にこだわる必要はないが、ある程度の回数を繰り返さなければ、根本的な原因にはたどりつかない。

 検討項目の2 つ目は「(可能性の大小は関係なく)考えられる原因を徹底して洗い出す」だ。ここでは説明を省くが「特性要因図」などを活用して洗い出した項目を整理するのもよい。「なぜなぜ分析」は論理的なつながりを確保しながら原因を深堀する手法だが、原因を広い視野で俯瞰できない危険性もある。そこで、ある程度は自由に考えられる原因を洗い出し、それらに対しても適切に対策をとるのだ。

次回までの振り返り

 今回紹介した「なぜなぜ分析」と「考えられる原因を1 つでも多く洗い出す」を、若手社員に対して実際に教育をする。

 現在、生産現場で困っている、慢性化した問題を活用してみるとよいだろう。ただし、技術的な要素が強い場合は、若手社員では議論できないこともあるので、作業方法や管理の要素が強い題材を選ぶほうが教育題材としては適しているだろう。

 若手社員は知識や経験が少ないが、一方で、生産現場の実態や過去の対策案へのしがらみが少ないので、ベテラン社員では思いつかないような原因を鋭く指摘できることもある。このような議論は、ベテラン社員にも参考になるはずだ。
今月の検討課題
・知識の付与を行う
なぜなぜ分析の考え方を教える
考えられる原因の洗い出しを進める
・経験の付与を行う
慢性化した問題を実践題材にして、若手社員の原因追求スキルを高める

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