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機械設計

2026.10.14

設計や組立工程のすり合わせをシステム化:Scene社のAI業務基盤

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Scene 江澤 怜

一気通貫:設計から現場運用まで1 つの基盤で途切れさせない

 Scene Workspace の最大の特徴は、3 次元CADデータを起点に、組立設計から現場運用までを1つのワークスペースで一気通貫につなぐことにある。従来は工程ごとに別々のツールと人手でデータをつくり直していたが、上流の3次元CADと工程情報を下流の手順書・教育まで引き継ぎ、分断をなくす(図3)。
図3 3 次元CADデータを起点に、組立設計から現場運用までを一気通貫でつなぐ

図3 3 次元CADデータを起点に、組立設計から現場運用までを一気通貫でつなぐ

 具体的な流れは次の通りである。
 ① 3 次元CAD作成(製品設計)を起点とする
 ②設計・生技・製造で3次元CADデータをレビューし、課題を一元管理する
 ③3次元の組立工程・M-BOMをAIで生成する
 ④組立工程を3 次元でレビューし、課題を一元管理する
 ⑤3次元の組立手順書をAIで生成する
 ⑥組立手順書を現場で運用し、試作・量産試作時のフィードバックを収集する 

 3 次元CADデータは設計部門だけが開ける重い専用ツールではなく、Web ブラウザ上で誰もが3次元モデルを回し、注釈・手順・アニメーションを付けて閲覧できる。最新の手順書を現場で即座に参照でき、現場の課題や􀊠カンコツ􀊡もそのままコメントとして残せるため、製造に直結する。

AI 機能:組立工程検討と組立手順書を自動生成する 

 この一気通貫の中核を自動化するのが、デンソー工機部と共同開発した、3 次元CADデータから組立工程(M-BOM)と組立手順書をAIで自動生成する機能「3D Docs AI」である。 

 汎用的な生成AIは、文章生成のような領域では急速にコモディティ化が進む。一方、組立工程設計のように形状・組立順序・制約条件が複雑にからむ領域では、ドメインに特化したAIと、接続された設計・製造データの蓄積が成果を左右する。 

 あるべき姿は、設計のすり合わせから組立工程の検討、組立ての指示書までを1 つの流れでつなぐことである(図4)。設計側では3次元CADをビューワで共有し、指摘・コメントを集めてCADに反映する。工程側ではAI が工程を生成し、3DDocs AI が組立手順書を自動生成、現場のフィードバックを工程へ反映する。従来は熟練者が3 次元モデルとにらめっこしながら手作業で積み上げていた組立工程検討と指示書作成を、AIによるドラフト生成+人のレビューに置き換えることで、一気通貫の最も重い工程を効率化できる。
図4 あるべき姿:設計レビューと、AIによる組立工程設計の自動化+レビューをつなぐ

図4 あるべき姿:設計レビューと、AIによる組立工程設計の自動化+レビューをつなぐ

導入のポイントと効果 

 一気通貫システムを導入し、現場に定着させるうえでは、いくつかの押さえどころがある。

 第一に、どの部署を入口とするかを見極めることである。製造現場から導入すれば手順書の清書・展開・教育が主な価値となり、生産技術や設計から導入すれば上流での組立工程検討が主な価値となる。導入の目的と入口の部署を一致させることが、効果を最大化する前提となる。 

 第二に、現場の実感を積み上げることである。トップダウンの号令だけでは現場に浸透しにくく、「簡単につくれて、簡単に見られる」という現場のメリットこそが、口コミによる自発的な拡大を生む。トライアルを通じて自社のデータで運用を回し、想定した効果が本当に出るのかを現場自身が確かめられることが、定着の決め手となる。 

 導入効果は、すでに複数の現場で表れている(図5)。ある自動車部品メーカーでは、設計段階での相互レビューを徹底することで図面の形状ミスそのものを減らし、後工程での手戻りを撲滅、形状ミスを96%削減した。セイコーエプソンでは、これまで後工程になって初めて発覚していた設計上の不具合を、レビューを上流へ前倒しするフロントローディングによって未然に防ぐことで、手戻りを大幅に抑制した。その結果、投資をわずか0.5年で回収し、ROIは2倍に達している。
図5 導入実績の例

図5 導入実績の例

 新明工業では、3 次元の組立手順書で作業を標準化したことにより、これまで補足説明を必要としていた外国籍の作業者でも、追加の指示なしに標準通りの品質で組み立てられるようになった。併せて、組立手順書の作成工数を従来の1/3 に短縮し、資料作成などの非付加価値業務を66%削減している。輸送機器メーカーでは、3 次元を用いた教育の効率化によって新人の立ち上がりが早まり、スループットが向上、ライン停止を19%削減している。

今後の展開 今後の展開 

 組立工程設計の一気通貫は、まだ発展の途上にある。現状はベータ版であり、AI が生成したM-BOMの組立工程順については、実際の組み順に合わせて多少の修正作業が必要な段階である。今後は、この修正作業をAIの力でさらに自動化し、精度と自動化の度合いを高めていく。組立工程設計の一気通貫を起点に、設計から製造までをAIでつなぐ業務基盤を育てていくことが、設計業務・設計付帯業務の効率化に対する当社の取組みである。
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