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プレス技術 連載「キラリ光る!塑性加工分野のモノづくり力」

2026.05.27

第20回 樹脂と金属を独自の加熱圧着技術で接合する─睦月電機

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プレス・鍛造加工で独自・個性的な技術を駆使してモノづくりに挑む企業、各種研究・開発団体をレポートする。(『プレス技術』編集部)
 精密樹脂成形メーカーの睦月電機(大阪市生野区)は、独自のレーザ加工技術と加熱圧着技術を活用して熱可塑性樹脂と金属を強固に接合する技術「ALTIM(アルティム)」を開発した。同技術は、リベットや接着剤などを用いずに樹脂と金属を直接接合できる(写真1)。それにより耐久性、防水性、気密性に優れた接合部材にでき、ねじやボルトを不要にすることで軽量化や部品点数・工数の削減による生産性の改善とコスト削減につなげられる。
写真1 液体の入ったPCの中空部品とアルミ板の接合

写真1 液体の入ったPCの中空部品とアルミ板の接合

3工程で強固に接合

 アルティムの接合工程は図1 のように1 工程目で金属表面をパルスレーザで粗面化する。粗面化は微細な凹凸形状を形成する。
図1 アルティムの加熱圧着接合工程

図1 アルティムの加熱圧着接合工程

「レーザを照射した箇所は凸状に飛び出たような形状になるのが特徴です」(若原幸司開発営業部係長)

 粗面化した箇所の断面は高さが約0.1mm の凹凸形状になる。そして2 工程目で、粗面化した金属の表面に樹脂を合わせ、金属側から加熱する。加熱温度は放射温度計で計りながら樹脂の融点温度付近まで上げ、樹脂の表層が狙いに達した瞬間に加圧する。

 さらに3 工程目は、前工程で加圧した樹脂(溶融した表層)が粗面化した金属の凹に浸透するので、加圧したまま常温もしくはエアブローで冷却する。これにより金属と樹脂が圧着接合する。

 アルティムで接合した金属+樹脂の接合強度は、接合特性評価試験(ISO19095)に準拠した試験片で評価した結果、PPS+SPCC など多くの金属と樹脂の組合せで25MPa 以上になる。これは引張試験で樹脂母材が材料破壊するほどの強度であり、高強度、高耐久性を求められる製品に適する。なお、耐久性は、2,000 サイクル超の熱衝撃試験(-40℃ /15min ~ 130℃ /15min)でも強度が低下しないことから過酷温度負荷のかかる環境でも使用でき、封止性能としては、ヘリウムリーク試験で自動車・電池業界、電子・精密機器業界でもクリアできる許容リーク量に抑えられている。

 なお、同社は、1 工程のレーザ加工機と2・3工程の直接接合装置は自社で製作した。

 レーザ加工では、金属の種類や板厚に応じて条件を変える。また、直接接合装置はプレス加熱式とIH 加熱式の2 種類を製作した。金属の形状がフラット(板厚が均一)な場合はプレス加熱式で均等に金属表面を加熱する。一方、局所的に接合する場合や金属の形状に差厚(箇所による板厚のばらつき)がある場合はIH 加熱式で差厚にかかわらず均等に金属表面を加熱できる。

多様な用途に展開できる

 アルティムの製品としての用途は、リチウムイオン電池の封口板(写真2)や車載・電装部品、分析・測定機器や医療機器など接着剤が使いづらい部品、インサート成形での一体化が難しい中空部品(写真3)、そして住宅設備や建材で強度や意匠性を高めたい部材と多様だ。最近は水冷式の冷却部品(写真4)での相談が増えている。いずれも高強度、高耐久性で気密性、防水性に優れるといったアルティムの特徴を活かせ、かつ接着剤を使用しないことにより生産工程の環境負荷の低減にもつながる。独自の加熱圧着で樹脂と金属を接合する技術の用途はかなり幅広いようだ。
写真2  円筒型リチウムイオン電池向け封口板サンプル

写真2  円筒型リチウムイオン電池向け封口板サンプル

写真3 PPS の中空部品とアルミ板の接合サンプル

写真3 PPS の中空部品とアルミ板の接合サンプル

写真4 水冷式の冷却部品サンプル

写真4 水冷式の冷却部品サンプル

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