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型技術

2026.10.02

切削工具の最適化による コストと品質向上の 両立を追求 ー キヤノンモールド

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『型技術創刊40 周年企画』日進工具 ユーザーレポート【PR】

モノづくりに関するあらゆるコストが高騰する中、切削工具も例外ではない。従来の使い方を漫然と踏襲していては、工具費の増加は避けられない。コスト上昇を金型価格に転嫁することも容易ではない。こうした危機感から国内最大手のプラスチック用金型メーカー、キヤノンモールド(茨城県笠間市)では現在、工具の選定や運用方法の見直しに取り組んでいる。同社では、日頃からもモノづくりに関する改革を進めているが、工具費削減は喫緊の課題となっている。そこで、この取り組みの狙いと課題を、生産統括センター主幹の大竹義紀氏に伺った。
26年4月に本社・友部事業所(笠間市)に阿見事業所を集約

26年4月に本社・友部事業所(笠間市)に阿見事業所を集約

 同社は2007年にプラスチック用金型メーカーのイガリモールドとキヤノンおよびキヤノン化成の金型部門の統合によって設立された。
 キヤノングループに属するものの、キヤノン向けの売上げよりも医療機器関係や自動車部品関連など外販が多くなっている。
 同社では、経営効率を上げるためこれまでも全社一丸となった改善活動や自動化に精力的に取り組んできた。また、工法についても積極的に改革を進め、放電加工の一部を切削加工へ代替するなど、工数の削減を図ってきた。一方で、企業の付加価値を高めるために匠の技の継承・発展に取り組むとともに、品質向上や業務改善などの各種施策を推進し、多方面から競争力の強化を図ってきた。

工具コスト削減に向けて

 しかし、このような取り組みとは別に、インフレにより、各種資材や製品の価格上昇が続いている。こうした状況を踏まえ、同社では金型製造コストの低減に向けて、工具費の削減を推進している。特に近年はタングステンの高騰によって、工具の単価が2025年頃から大幅に上昇しており、工具費の削減が大きな課題となっている。
 そこで、生産統括センター主幹の大竹義紀氏は、工具寿命の延長による工具費削減を目指し、取引のある各工具メーカーに改善提案を依頼した。各社から提供された切削工具と推奨加工条件を用いて評価テストを実施し、工具寿命、加工品質、切削抵抗、加工の安定性などの観点から総合的な比較・検証を行った。
 その中で、各種工具の性能比較や加工条件の最適化を進める過程において、高い耐摩耗性と安定した加工性能を発揮したのが、日進工具が2024年に発売したMPXコーティング採用のSUS420用ロングネックボールエンドミル「XRBH230」だった。

工具寿命が延び、コスト削減・品質向上に貢献

生産統括センター 主幹 大竹 義紀氏

生産統括センター 主幹 大竹 義紀氏

 「XRBH230」はSUS420J2(52HRC)に特化した専用工具で、新コーティングと最適化された刃先形状を採用している。同製品に切り替えたことにより、工具寿命は従来の約3倍まで向上したという。
 段取り時間を含めた加工時間も大幅に短縮した。さらに、加工精度の安定性向上や再加工の削減、工具の欠けやチッピングの抑制などの効果があり、バリの発生も少なくなったという。「加工面が良いため、磨きの工数も削減されました」と、大竹氏はコストや品質面などさまざまな効果が確認されたと話す。
 また、同社ではある材料に特化する工具とは別に、さまざまな用途の金型製造に対応できる標準工具の選定を進めている。大竹氏は「従来は加工内容や被削材ごとに最適な工具を使い分けることで、加工品質や生産性を考えていましたが、自動化の推進や段取り時間の短縮を考えますと、用途ごとに工具を細分化するのではなく、幅広い加工に対応可能な標準工具へ集約することで、工具管理の負担軽減や在庫削減、工具交換作業の効率化などの効果が期待できます」と話す。
 工具選定にあたり重要視しているのが、ラインナップの豊富さだ。カメラや自動車・医療など幅広い分野の金型を手掛ける同社にとって、柔軟で種類が豊富な工具は重宝する。また、金型は顧客から注文を受けて、短納期での納品を求められることが多いため、工具の短納期の対応と、品質の安定も求められる。
 その点、日進工具の製品は種類が豊富で品質も安定しており、納期も短く非常に助かっているという。「加工の際に問題が生じても、常に適切な技術的なアドバイスをもらえ、サポートが充実しているので、安心して利用できるのも心強いです」(大竹氏)。
 工具の優劣を判断することは難しい。寿命や加工精度、磨き工程への影響まで含めて評価しなければ、本当のコストパフォーマンスは見えてこない。大竹氏は次のように述べる。「今回、材料の高騰などをきっかけに工具選定を見直す中で、工具の価格性能比をどう考えるべきかなど、工具を比較することが難しいこともわかってきました。見直しを進め、工具を変えたことで工具寿命が延びただけでなく、面品位が向上した結果、後工程の磨き工数も大幅に削減できました。「XRBH230」はその典型ですが、ほかの工具でも同様の効果が得られるものと考えています」(大竹氏)。工具の選定は、工具単体の価格だけでなく、加工から後工程までを含めたトータルコストで評価することが重要になってくるz

付加価値の高い金型加工を目指して

5軸制御立形マシニングセンタD300と立形マシニングセンタV22(牧野 フライス製作所)。自動化設備と連動している。

5軸制御立形マシニングセンタD300と立形マシニングセンタV22(牧野 フライス製作所)。自動化設備と連動している。

 同社では、工具選定に際して、工具メーカーとのコミュニケーションも積極的に実践している。若手社員もセミナーに参加するなど、常に新しい情報を収集し、社内で技術的な意見交換をしているという。
 工具選定は単なる購買活動ではなく、加工技術そのものを磨く取組みへと変わりつつある。工具メーカーとの密接な連携を通じて、コスト削減と品質向上を同時に実現し、より付加価値の高い金型づくりにつなげていくことが今後ますます求められる。

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