「顧客の成功の支援」を使命に掲げ製品提供のみにとどまらない総合的なソリューションを提案する―三菱電機【PR】
産業メカトロニクス事業部長 長谷川 寛氏 インタビュー
昨今のデジタル化の進展や製造業の人材不足などさまざまな環境の変化によって、製造現場のニーズや課題は多様化している。より高度な加工技術や自動化技術が強く求められる中で、三菱電機はAI技術「Maisart(マイサート)」に代表される独自技術を武器に、放電加工機やレーザ加工機などの生産財を国内外に広く展開してきた。
そうした中、今年4月、産業メカトロニクス事業部長に長谷川寛氏が新たに就任した。「顧客のビジネスの成功を支援すること」を最大の使命に掲げ、製品の提供のみにとどまらず総合的なソリューション提案を重視する。国内外の市場動向や今後の事業展開の考え方について長谷川氏に聞いた。
-今年4月に産業メカトロニクス事業部長に就任されました。今後の事業部のミッションについてお教えください。
われわれが扱う製品はお客様のビジネスの成功を左右する生産財。ですから、いかにお客様の成功を支援できるかということがわれわれのミッションだと思っています。自動車産業の方向性や地政学的リスクなど市場に不確実性が広がる中で、お客様が抱える課題やニーズも変わってきています。それに対して単に放電加工機やレーザ加工機などの製品だけを提供するのではなく、導入前、そして導入後もお客様に寄り添って、課題やニーズに向けたソリューションを提供していきたいと考えています。私自身も極力時間を見つけてお客様の現場へ足を運び、直接お話を聞いたり、現場を見せていただいたりして、お客様の成長を支援するヒントを見つけていきたいと思います。
-国内外の金型分野の市場動向や顧客ニーズをどのように見ていますか。
国内ではまだ自動車関連の仕事が戻らず、自動車分野の金型メーカーは依然として厳しい状況にあると感じています。ただ、懸案だったトランプ関税も決着したので、これから変化があるかもしれません。これを機に動きが出てくることを期待したいですね。一方で、ガスタービンなどエネルギー関連は非常に好調ですし、半導体関連も多少アップダウンはあるにしても将来的に間違いなく伸びてくる業界だと捉えています。
海外に関してはやはり中国ですね。中国は世界の金型生産量の約半分を占める国になり、大きな市場に成長している認識です。自動車も日本や欧州とは違ってEVが好調ですし、スマートフォンやスマートウォッチなどのいわゆる3C製品もまだ調子がいい。あと、中国で非常に盛り上がっていて今後伸びるのがAIサーバー。加工の需要で言えば放熱器部品の加工需要が高まっています。最近は人型ロボットについてよく耳にしますが、こちらも市場は旺盛で、きっと将来的に伸びてくる。今でもかなり加工需要は増えていると聞いています。
-今年7月末に発表した新型ワイヤ放電加工機 「MGシリーズ」について、開発の経緯や技術的なコンセプトについてお教えください。
今回発売したMGシリーズは、グローバルなベストセラー製品となった「MVシリーズ」の後継機となるもので、それゆえ非常に高い期待を込めて開発しました。
日本に限らず、世界の製造現場ではいわゆる熟練工と呼ばれる人々がどんどん引退していく状況がありますが、そのノウハウが次世代にうまく継承できないということが課題になっています。熟練工の方々はその深い経験をもとにパラメータを調整して良いものをつくっていたのですが、これからの時代はそうした現場を継続していくのは難しい。そこでMGシリーズでは、もともとあった当社の独自AI技術「Maisart」も活かしつつ新たな機能も付与することで、簡単な操作でもある程度狙った精度のものが加工できる機械にしようという考えで開発しました。コンセプトは「誰でも簡単に高品位加工」、「止まらない」、「省エネ」。新たな機能・サービスとして、従来の加工プログラムでもボタン1つでMaisart適用加工条件に自動変換し、常に最適な加工を可能にする「1 Push Technology」 や、クラウドAIが機械の稼働状況を見守り、アラーム及び異常状態を検知した際、お客様からの連絡を待たずに当社から直接働きかけてトラブルシューティングを行う「見守りサービス」などが搭載・適用されています。
シリーズとしては4機種あって、ハイパフォーマンスモデルのMG12R、MG24Rと、スタンダードモデルのMG12、MG24を用意しました。シリーズ全体で年間1,200台の販売を目指しています。まずは国内での発売として、来年年明け以降には海外でも順次発売していく予定です。
上:新型ワイヤ放電加工機 MG12R 下:新型ワイヤ放電加工機 MG24R
-今年10月開催のメカトロテックジャパン 2025(MECT2025)での出展内容についてお教えく ださい。
放電加工機については、やはり今お話したMGシリーズですね。あとは高精度形彫放電加工機「SV12P」の半導体パッケージも実機を出展します。それからワイヤ・レーザ金属3Dプリンタ「AZ600」、CNC数値制御装置は最新モデルの「M800V/M80V」シリーズの実機をそれぞれ展示します。また、加工データを収集・分析し自動で加工診断を行い、加工の不具合や工具の摩耗を検知し正しい交換時期などを知らせる加工AI診断ツール「NC MachiningAID」の紹介も行います。
-近年、御社ではプライベートショーを積極的に開催しています。MECTのようなパブリックショー と、プライベートショーの位置づけについて教えてください。
パブリックショーはいろいろなお客様が来られますので、それまでコンタクトのなかった新しいお客様を獲得できるチャンスがあるというメリットがあります。ただ、スペースに限りがあって、当社のアピールしたい加工機を余すことなく披露しようとするとどうしてもスペースの小ささが問題になるということがあります。一方で、プライベートショーは、お見せしたい実機をすべて間近に見ながらじっくりとお客様とお話できる時間が持てるのが最大のメリットですね。また、機械単体だけではなくて自動化システムなどもお見せすることができます。いずれの展示会にもメリットがあるので、その時点での新製品の投入のタイミングなども計りながら、どちらを活用するのがよいのかを都度見極めていきたいと思っています。
-今後の事業展開の展望と課題についてお聞かせください。
やはり今、製造業で課題になっているのは人手不足、特に熟練工不足です。ですから、熟練工に頼らなくても高精度な加工が行える製品をお客様に提供していく必要があると考えています。そのためには、当社のMaisartをフル活用しながら、製品自体のブラッシュアップもどんどん行っていきたいです。また、人手不足という観点から言えば、自動化のニーズに対応した製品やサービスのラインナップ強化も進めていこうと思っています。
あとは、機械を導入いただいたお客様と長くお付き合いさせていただく中で、さまざまな提案ができればいいと考えています。例えば、レーザ加工機の「GX-Fシリーズ」では「GX-F Ever-next Strategy」という戦略を打ち出していますが、これは一度購入した機械を買い替えることなく、毎年最新の機能や性能にアップグレードできるというものです。この例にあるような提案をさらに拡大して、長いサイクルでお客様の成功につながるような提案をしていきたいと思っています。
※型技術・プレス技術11月号/機械技術秋号に掲載された本記事広告の製品画像のキャプションに誤記がありました。訂正してお詫び申し上げます。
【誤】「新型ワイヤ放電加工機 MG12」「新型ワイヤ放電加工機 MG24」
【正】「新型ワイヤ放電加工機 MG12R」「新型ワイヤ放電加工機 MG24R」