日本金型工業会(東京都文京区)は11月25日、名古屋市内で「金型の日」記念式典を開催した(図1)。同工業会は、内外に対する金型工業の認識を深めるとともに、今後の業界の発展を期するため、同工業会の創立記念日である11月25日を「金型の日」と定め、講演会や永年勤続優良従業員表彰などからなる記念式典を実施しており、今回が52回目の開催となる。当日は同工業会の会員や優良従業員など220名が参列した。
厳しい環境でもワクワクする業界に
冒頭では、同工業会の山中雅仁会長(図2)があいさつを行った。日米関税交渉の影響などによって国内の自動車産業ではコスト削減や生産体制の再編、サプライチェーンの再構築などが喫緊の経営課題になっていることを指摘。その中で、金型業界の各企業はニューノーマルが到来したという認識をもち、生産性向上や高付加価値化、新商品・新事業の展開などに向けた経営を行うことが必要であることを述べた。そのうえで、「厳しい環境にあってもワクワクする魅力ある業種として持続可能な業界であると確信している」と参列した金型関連企業を鼓舞した。
また、同工業会の会員企業における2025年の叙勲の受章者へ記念品の贈呈が行われた。同工業会の前会長である小出悟氏が旭日小綬章を、松村精型(富山県高岡市)の松村浩史代表取締役が旭日単光章を、小林工業(秋田県由利本荘市)製造部設計統括役の伊藤清光氏が黄綬褒章を、それぞれ受章した。
さらに、来賓のあいさつとして経済産業省製造産業局素形材産業室の大今宏史室長が登壇。大今室長は、この日表彰を受けた同工業会の永年勤続優良従業員124名らについて触れ、「一人一人のたゆまぬ努力が『日本の金型は世界一』という状況をつくり上げていることを改めて感じた」と述べて敬意を表するとともに、「日本の金型産業の技術の高さやモノづくりの素晴らしさを世の中に広める旗振り役として活躍してほしい」とエールを送った。そのうえで、「金型産業が日本のモノづくり、さらには日本経済を支える不可欠な産業として今後も持続的に発展できるよう、素形材産業室は皆さんとともに歩んでいきたい」と結んだ。
基調講演では、NCネットワーク(東京都台東区)の内原康雄代表取締役社長が「金型メーカーの挑戦!~グローバル化、対応力強化、人財育成~」と題して講演を行った。同社が提供する工場検索・ビジネスマッチングサービス「エミダス」のユーザー企業によるWebマーケティングや人材教育などの取組みの成果事例を紹介するとともに、これからの金型企業の成長には営業力やブランディングの強化が重要であることを強調した。