機械設計 連載「教えてテルえもん!3次元ツール習得への道」
2026.02.25
第23回 3Dスキャン後に必要となるデータ処理
いわてデジタルエンジニア育成センター 小原 照記
おばら てるき:いわてデジタルエンジニア育成センター長。自動車内装部品の設計会社を退職後、岩手県北上市を活動の拠点に10年以上、3次元デジタル技術関連の人材育成、企業支援に努め、学生から求職者、企業まで幅広く指導し、3次元から始めるDX推進活動を続けている。同センター長のほか、3次元設計能力検定協会の理事も務める。
はじめに
3Dスキャナを使用することで、設計図面や3次元データがない場合に現物から3 次元データを作成することができる(図1)。3Dスキャナで取得した3次元データは、検査で活用したり、3Dプリントしたり、CAEを行ったり、3次元CADデータ化して設計に役立てたりすることができる。ただし、このような活用を行うには、3Dスキャナで取得した3 次元データをきちんと処理して次の工程に渡す必要がある(図2)。
図1 現物(アナログ)を3Dスキャナで3次元データ(デジタル)化
3Dスキャンしたデータは、必ずといってよいほど修正作業が伴う。3Dスキャン=3次元CADデータではない。3Dスキャナで取得したばかりのデータの状態は、X、Y、Zの3 次元座標を持った“点データ”となる。その点データの集まりを「点群」と呼ぶ。点群データをメッシュデータに変換し、メッシュデータから3次元CADデータを作成するという手順となる。
今回は、3Dスキャン後の処理として、点群データの処理と点群データからメッシュデータへの変換、変換したメッシュデータの編集までの作業を説明する。
3Dスキャン後のデータ処理
3Dスキャン後のデータ処理作業を「1.点群データの処理」と「2.メッシュデータの処理」に分けて説明する。
1.点群データの処理について(図3)
(1)不要な部分の削除
3Dスキャンする際、測定物を載せていたテーブルや周辺物も一緒に点データ化されてしまったり、余計なノイズがデータとして入ってしまったりすることがある。こうした不要なデータを削除していく。具体的な作業としては、削除したいところを選択して消していったり、残したい部分を選択しておき、それ以外の余計なものを一度に削除したりする作業を行う。
(2)合成・間引き
3Dスキャナで取得したデータは、何枚も撮影した複数の写真が重なり合っている状態といえる。複数の角度から撮影して取得したデータを合成していくことで、1 つの部品形状の3 次元データがつくられていく。写真を例にすると、合成する際に同じ画像の部分を認識し、それらを位置合わせして、つなぎ合わせていくイメージである。
3Dスキャンによって部品形状をすべてデータ化したい場合、まず形状の表側を測定し、その後、裏側を測定するなど、複数の測定結果を後から合成することがある。合成作業そのものは、3Dスキャンをしながら行う場合と、3Dスキャン後に行う場合とがある。また、合成作業を手動で行うものと、自動で行うものとがあり、使用する3Dスキャナの機種やソフトウェア、あるいは測定する対象物や状況によっても変わってくる。
合成がうまくいかないと、精度の良いデータはつくれない。基本的にはソフト上で同じ箇所を認識して位置を合わせるが、位置合わせが難しい形状の場合、うまくいかずに精度が落ちてしまうことがある。これを防ぐために、3Dスキャナの中には“マーカー”を使用して後から合成しやすくするものもある。
以上の説明からもわかるとおり、後から合成する場合、前に撮影した箇所が入るように角度を変えながら3Dスキャンしなければならない。そのため、どうしても重なり合う部分に多くの点データが集まってしまう。このままでは扱いも悪く、データも重くなるため、不要な点を間引いて、点密度を均一化してあげる必要がある。
(3)メッシュデータ化
(1)と(2)の処理が終わったら、取得した点と点を直線で結び、三角形にして面を貼ったSTLデータや、多角面の集合で形成されるポリゴンデータなどのメッシュデータを作成していく。作成するといっても、多くの場合は「エクスポート(出力)」ボタンを押すことで簡単に変換してくれる。ただし、3Dスキャンしたデータ量によっては、数分から数十分の処理時間が必要になる。