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プレス技術 連載「値決めの鉄則」

2024.10.07

第1回 もの作りも商売だ!儲けることは悪じゃない!

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西田経営技術士事務所 西田雄平

にしだ ゆうへい:代表取締役
2009年、大学を卒業後、ミネベアミツミ㈱に入社し購買管理業務に従事。24歳のときにタイ工場に赴任。現地マネジメントに加え、現地の経営者とタフな商談や価格交渉を経験。2015年、西田経営技術士事務所入社。全国の中小製造業へ「収益改善プログラム」を導入。原価と値決めにメスを入れ、顧問先企素の利益創出に億単位で責献。主な著書『中小企業のための「値上げ・値決め」の上手なやり方がわかる本』(日本実業出版社)。
https://www.ni-g-j.co.jp/
※記事の無断転載は固くお断りいたします。
 読者の皆さん、こんにちは。本連載記事では、コンサルタントとして製造業の収益改善に取り組んでいる筆者が「原価管理」「コストダウン」「値上げ」など日頃、中小製造業の収益改善活動に携わるなかで得たノウハウをさまざまな具体例を示しながら紹介していきたいと考えています。

 第1回のテーマとして「もの作りも商売だ!儲けることは悪じゃない!」を選んだのは、「儲かる値決め」をいかに実践していくか、その入口であり、基本のスタンスだと思ったからです。

なぜ利益にこだわることが大切なのか

 さて、読者の皆様は「企業の目的」とはどんなものだと考えているでしょうか。

 顧客の役に立つことでしょうか。社会貢献することでしょうか。どちらも大切なことだと思います。しかし、それにもまして大切なことがあります。それは「利益を増やしていく」ことです。

 製造業に従事されている方は真面目な方が多いので、儲けることを前面に出すのに抵抗感を感じてしまう方が少なくありません。もちろん、「暴利を貪れ」とか、「ボッタクリしてでも儲けろ」と言いたいわけではありません。しかし、現実的な問題として、適正な利益を確保していかなければ、以下に示すようなさまざまなことが上手く回らなくなってきます。

1.従業員を安定して確保するため

 いまさら指摘するまでもなく、中小製造業は今やどこもかしこも人手不足です。読者諸氏の会社でも、以前にも増して人材採用が困難を極めていることと思います。

 当たり前のことですが、会社の利益が薄ければ従業員に充分な給料を支払うことができません。賃金アップの見通しを立てたり、それを会社のビジョンとして示したり、そのほかの待遇を充実させていくこともできません。そうした中、もし競合会社が魅力的な条件を提示していれば、そちらに優秀な人材が流れていってしまいます。したがって、人材確保の観点から見ると、まず、しっかりと適正利益を得て、そこで得たお金を従業員の安定確保のために投資していく必要があります。

2.設備投資を行うため

 もの作り企業では機械設備を用いて生産活動を行っているところが大半です。しかし機械設備はいずれ老朽化します。建物やユーティリティも同様です。そのとき会社に十分なお金がなければ、あるいはこれから会社が儲かっていくという見通しがなければ、設備投資には踏み切れません。

 古い機械でもの作りができないわけではありません。何十年も前に購入した設備を大切に使っている会社もあります。もちろん、それは固定費を抑えながら経営していく手法として有効です。

 しかしながら、もし皆さんのライバル社が積極的に設備投資を行ない、最新の合理的な設備でもの作りをはじめていたとすれば、いずれ品質・納期・コストのいずれか、あるいはすべてにおいて徐々に競争力に差が生まれてきます。それはライバル社に仕事が奪われていくことにつながります。

 そうならないためにも、基本的な考え方としては、世の中の流れに合わせて設備投資を行っていくことが必要だと思います。

3.新技術開発や新製品開発を行っていくため

 「中小企業で新技術開発や新製品開発なんて…」と思われるかもしれませんが、顧客や社会が困っていることに寄り添い、その解決策を考え、そのための技術力や商品力を磨いていくことは、ビジネスを続けていくうえで避けては通れないテーマです。しかし、こういった活動は懐に余裕がないとなかなか難しいでしょう。そうした観点からも利益を増やしていくことは大切なことなのです。
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