板金関連マシンのインド市場が着実に伸びる一方、インドは“世界で最も価格競争が厳しいマーケット”であり、シェア争いは激化している。こうした中、高精度で価格帯も高いハイエンド領域を開拓しているのがアマダだ。中核となるバンガロール・テクニカルセンター(TC)は設立から12 年目を迎え、機械販売にとどまらず、ソリューション提供やオペレーター教育の拠点としての戦略を進め、インド市場で独自の存在感を強めている。
バンガロールTC は、バンガロールへの玄関口となるケンペゴウダ国際空港近くの工業団地内で、2014 年にアマダ・インディアの中核拠点として開設された(写真1)。現在の常駐スタッフは約50 人。最新マシンの展示に加え、購入者向けの教育機能を併設し、インド全国から累計4,000人のユーザーが来訪している。即納を求めるクライアントも多く、敷地内には日本から輸入したレーザ、曲げ、溶接、プレスなど複数のマシンが並ぶ。さらに同社は全国7 カ所にサービス拠点をもち、計160 人規模でインドのモノづくり高度化に取り組んでいる。
バンガロールTC 改革をリードしたのが、今井秀久エグゼクティブ・バイスプレジデント(写真2)。「従来は最新装置を見せるショールームだったが、顧客の課題解決を軸にテーマ性のある構成へつくり替えた」と語る。スキルが十分でないクライアントや製造DX に関心の高い層向けなど、ソリューション重視の展示へ転換した。加工方法や金型、シミュレーション提案から、顧客のワークを使った実証まで丁寧にフォローするセミナーも開催し、機械を売りっぱなしにせず、技術育成まで支援する。今井氏は「安価な機械が広がる中、正しい使い方まで含めて提供しなければブランドは生き残れない」と教育機能の重要性を強調する。また、インド人スタッフ主体で回る組織づくりを進め、戦略立案から実行、検証、再構築までの流れを定着させてきた。人材定着が難しいインドにおいて、仕組みで組織を強くする狙いだ。
写真2 TC改革をリードした今井秀久エグゼクティブ・ バイスプレジデント
板金マシンの需要は裾野が広く、インド全土で拡大が見込まれる。「今後はサービスセンターの拡充に加え、インドでの製造も顧客から期待されている」(今井氏)。現在は一部部品の製造をインドのパートナー企業で行っており、日本へ輸出している。試行段階ながら将来的な現地生産に向けた基盤整備につながっている。
価格競争の激しい成長市場で、アマダ・インディアが選んだ道は「教育と技術提案、実証加工による信頼構築」だ。
(日刊工業新聞社 総合企画部 篠瀬祥子)