はじめに
ロードセルは、力・重さを測定するセンサで、その力・重さを電気信号に変換することから荷重変換機とも呼ばれている。ロードセルは、家庭用電化製品、製造業の生産ラインなど、さまざまなところで使われている。特に近年、製造業においてトレーサビリティは必須となってきており、製造条件の検討、調整だけでなく、指定の力・重さで毎作業行われたかの測定記録用にも多くの場所で使われている。
ロードセルとは
ロードセルとは、力・重さを測定するセンサの一つで、いろいろなタイプがあるが、以下では広く普及している「ひずみゲージ式のロードセル」について記載する。
ひずみゲージ式のロードセルは、起歪体と言われる金属に、金属箔パターンのひずみゲージを貼り付けたシンプルな構造となっている。可動部分がなく、このシンプルな構造により保守メンテナンスがしやすく、長期安定運用が行える。また、この起歪体とひずみゲージの種類、形状により、さまざまな荷重容量・精度に対応したロードセルが存在している。
ロードセルの測定原理
ロードセルは、ひずみゲージの微小な抵抗値変化によって力・重さを電気信号に変換して測定を行う。ひずみゲージとは、絶縁シート上に、フィラメント状の金属箔が貼り付けられたものである。起歪体に力を加えたときにひずむ場所にひずみゲージを貼り付け、起歪体が伸び縮みするごとに、貼ってあるひずみゲージのフィラメントも同様に伸び縮みすることで抵抗値が変化する。
図1 のように金属の棒にひずみゲージを貼り付けた場合、上から力を加えると図1 の上のひずみゲージは縦に縮み、フィラメントの線幅が広くなり抵抗値は小さくなる。逆に図1 の下のひずみゲージは、ゲージは横に広がり、フィラメントの線幅が細くなり抵抗値が大きくなる。
この抵抗値変化は非常に微小なため、ひずみゲージ4 枚でホイートストンブリッジを組み、±EXCからの定電圧を供給すると、抵抗値変化に比例した電圧出力が±SIG から測定できる(図2)。実際に使用する場合は、この電圧出力も小さいため、ロードセル用アンプを通して値を表示、記録する。
ロードセルの種類と選定
ロードセルの種類は、分類の基準により異なる。分類を力と重さとした場合、力を測定するロードセルは、圧縮型、コラム型、せん断型などと呼ばれ、応答速度が高く、許容過負荷が大きいのが特徴である。一方、重さを測定するロードセルは、ビーム型、シングルポイント型などと呼ばれ、精度は高いが、応答速度が低いのが特徴である。
容量と精度は、ユーザーが各製品仕様から判断する。定格容量が大きくなれば形状も大きくなるのが一般的であるので、実際に設置する環境を考慮して選択すべきである。
ロードセル選定の注意点
ロードセルの故障原因の1 番は、想定以上の力がかかった過負荷である。一瞬でも力がかかりすぎると、見た目ではわからないが、性能が極端に劣化あるいは測定ができなくなる。精度や大きさとのトレードオフになるが、定格荷重、許容過負荷が大きいものを選定した方が、故障が減る。
次に多いのがケーブルの断線である。設置時だけでなく、稼働時も含めてケーブルが引っ張られないように固定する必要がある。近年はロボットアームなどの可動部にロードセルが設置され、何回もケーブルの曲げ伸ばしが行われる場合があり、そのような使用を想定する場合は、ロボットケーブルであることが望ましい。
また、正しい設置方法で、正しい荷重位置に荷重をかけないと正しい測定はできない。ロードセルは、振動の少ない凹凸のない平らな面に設置する(図3)。その平らな平面および負荷する側も十分な強度があることが必要である。また、負荷をかけるべきところ以外には、負荷がかからないようにすることも重要である。
製品例
当社のSCBシリーズ(図4)は、耐荷重が定格容量の5 倍の500% R.C. という壊れにくく、長期使用可能な圧縮型ロードセルである。それでいて精度は0.2% R.O. 以下の高精度で、断線しにくいロボットケーブルを採用している。種類も、定格容量100 N~200 kN の計11 種類を用意している。また、同系統で同じく耐荷重500% R.C.、デジタル出力のDSCBシリーズもある。ロードセルにアンプを内蔵し、RS-485 規格に準拠したデジタル出力のためノイズに強くなっている。
同じくUSMシリーズ(図5)も、耐荷重が定格容量の5倍の500% R.C.、精度は0.2% R.O.以下の高精度で、断線しにくいロボットケーブルを採用した圧縮・引張の両方に対応したロードセルである。さらに、大きさが11 W×14 H×4 Dmmの超小型サイズのため省スペースでの利用に適している。これら以外にも、最近では半導体製造現場で使えるシリコンフリーロードセル(図6)や、取付けが簡単なように両端が雄ねじになっているといったロードセル(図7)もラインナップしている。
また、前記したSCBシリーズ、USMシリーズをはじめ、当社の多くのロードセルは、国内で生産を行っている。
おわりに
本稿では、ロードセルの一般的な話から、選択・設置時の注意点、さらに当社の製品の特徴について述べた。新たな産業が生まれるたびに、それに適応した力、重さの測定が必要になってくる。当社では、今後もそれに迅速かつ柔軟に対応できる製品開発を行ってゆく。