世界最大級の食品製造総合展「FOOMA JAPAN 2026」(主催:日本食品機械工業会)が6月2日~5日の4日間、東京ビッグサイトで開催された。49回目の開催となる今回は「THE Shift is On.」をテーマに掲げ、過去最多の1,056社が出展。4日間に67,721人が来場した。食品機械メーカーが食品製造現場の自動化・省力化に寄与する新製品・新技術を披露した(『機械設計』編集部)。
フジワラテクノアート
フジワラテクノアートは微生物によって未利用資源の高付加価値化・有効利用を目指す「小型通気式固体培養装置」(写真1)を展示した。
従来の実験室のシャーレによる実験では、工場での大量生産(大型機)へのスケールアップ時に発酵環境が変わり、結果を再現できない課題があった。固体(おからなど)の培養は、液体と違って熱がこもりやすく、ムラができやすいため、小型機で大型機と同じ均一な環境を作るのは難しいとされていた。
この壁を打ち破ったのが、同社が培ってきた3つの独自技術である。まず、「連続基質通風」によって原料全体へ均一に空気を送り込み、さらに微生物の発熱を計算して温度を制御する「品温ベクトル制御方式」により、大型機とまったく同等の熱・水分バランスをコンパクトな環境内に構築した。ここに、塊を自動でほぐす「自動攪拌機構」が加わることで、職人の熟練作業を完全自動化。この結果、卓上サイズでありながら、工場プラントと同様の「高い再現性」と「24時間無人運転」の双方を達成した。
第5回FOOMAアワード2026最優秀賞を受賞した。
写真1 小型通気式固体培養装置(フジワラテクノアート)
品川工業所
品川工業所は、独自のスチーム加熱技術を用いてロール状のたまご焼きを連続で効率よく焼き上げる装置「蒸気加熱式ロールたまご焼成機」(写真2)を展示した。
従来のガス直火や電気ヒーターによる卵の自動焼成機は、熱ムラによるこげや温度変化による形状の崩れ(生焼け・破れ)に伴う製品ロスが課題となっていた。
同社は、ケース全体を蒸気で均一に包み込んで熱ムラをなくし、さらに蒸気圧を1℃単位で精密にPID制御することで、常に最適な焼成温度をキープすることに成功した。これにより、水分量が多くて崩れやすいだし巻き卵で起こりがちだったこげや型崩れによる製品ロスを劇的に削減した。職人品質のふっくらとしてジューシーな仕上がりを高い歩留りで実現した。また、ガスを使用しないことによる工場のCO2削減の取組みも評価された。
第5回FOOMAアワード2026特別賞を受賞した。
写真2 蒸気加熱式ロールたまご焼成機(品川工業所)
アンリツ
アンリツは、包装された状態の食品から発せられる微細な臭気変化を、生産ライン上において非破壊で瞬時に自動検知するシステム「におい検査機」(写真3)を展示した。高度なセンサ技術と独自の判定アルゴリズムにより、客観的な数値化が難しかった「におい」の品質管理を完全自動化・データ化した。このことで、一貫した品質保証体制の構築と検査工程の省人化(DX化)を実現した。
第5回FOOMAアワード2026 優秀賞を受賞した。
システムスクエア
システムスクエアは、食肉・水産加工品の異物を高感度で検出できる「ハイジェニック高精細 デュアルエナジーX線検査機」(写真4)を展示した。独自AI技術と「デュアルエナジー(2つの異なるX線)」を組み合わせることで、肉の厚みや脂肪分に影響されず、わずかな小骨や異物だけを高感度で浮き彫りにする技術を確立。また、海外の厳しい衛生基準にも適応するため、過酷な洗浄環境に耐える堅牢な衛生設計を行った。
第5回FOOMAアワード2026 優秀賞を受賞した。
写真4 「ハイジェニック高精細 デュアルエナジーX線検査機」(システムスクエア)
ソディック
ソディックは、真空の力を利用して食品自体の水分を蒸発させ、その気化熱で一瞬にして内部まで均一に冷却するシステム「連続式真空冷却装置」(写真5)を開発。連続式とはコンベアで流しながら冷却することを意味する。調理から冷却、包装までのラインを止めることなく完全自動化でき、食品安全性と生産性向上を同時に達成した。食中毒の防止と味覚維持の両立に向けて期待が高まりそうだ。
第5回FOOMAアワード2026 優秀賞を受賞した。
ワタナベフーマック
ワタナベフーマックは、肉の形状を瞬時に3Dスキャンして重量を計算し、目標の重さ通りに高速スライスする技術と、トレイへの自動盛付けまでを一気通貫で行う完全自動化ライン「ノーヴァ Sライン」(写真6)を展示した。
生肉を薄切りし、見栄え良く均一にトレイに並べる作業は、最も人手と時間を要するうえに熟練が必要な工程だが、同社の制御技術により、盛付けのやり直しや端材といった「原料の無駄(食品ロス)の大幅な削減が可能になった。
第5回FOOMAアワード2026 優秀賞を受賞した。
写真6 生肉の計量から高速スライス、盛付けまでを自動化した「ノーヴァ Sライン」(ワタナベフーマック)
コネクテッドロボティクス
コネクテッドロボティクスは、食品工場の盛付工程を自動化する盛付ロボット「DELIBOT S」を出展。ブースでは、同ロボットを3台配置して実演した(写真7)。ポテトサラダやひじき煮、きんぴらなど、不定形な食材をハンドでつかみ、定量測ってトレイに盛り付けることが可能。トレイ供給機も内蔵しており、1台当たり400食/時で運用できる。盛り付ける商品を変更する際はハンドの交換・容器幅の調整後、ロボット裏側のタッチパネルで商品写真を選ぶだけで完了する。キャスター付きで簡単に移動させることができる。また、ソース・クリームなどの充填工程の自動化を支援する充填ロボット「Delibot X」もPRした。
写真7 盛付ロボット「DELIBOT S」(コネクテッドロボティクス)
武蔵エンジニアリング
武蔵エンジニアリングは、電子機器業界で培った高精度な液体制御技術を応用した食品造形装置を出展。「3D FOOD MASTER」は、複数の異なる食材を組み合わせて、3D造形が可能。内部構造の選択・調整により食感の調整が行える。嚥下(えんげ)食造形システム(写真8)や介護食造形システムなども出展していた。
写真8 嚥下食造形システム(武蔵エンジニアリング)
アルトリスト
食品工場向けに自動化装置の設計・製造を手がけるアルトリストは、段ボール箱にセットされた内袋を自動で広げる「内袋広げ装置」を出展し、デモした(写真9)。従来、1ラインにつき1~2人を要していた同作業を無人化するとともに、前工程の段ボール箱開梱作業、後工程の搬送までをシームレスにつないでライン全体を自動化できる。袋の形状変化に追従するために、新開発のノズルを用いた独自機構を開発し、袋を確実に広げるための動作を実現した。段ボールサイズや袋の特性、前後工程に合わせてオーダーメイドで設計する。
写真9 段ボール箱にセットされた内袋を自動で広げる「内袋広げ装置」(アルトリスト)
フエスト
フエストは、食品、医薬品、包装業界の衛生要求に対応するステンレス製電動アクチュエータを出展した(写真10)。ハウジングにSUS316Lを採用。IP69Kに準拠した二重シールによる防水構造を備えたほか、衛生関連の認証機関であるNSF規格「NSF H1」に対応したグリースを採用した。洗浄工程の負荷軽減と異物混入リスクの低減、耐腐食性の向上に貢献する。最大12.5kNの高推力で重負荷工程にも対応する。装置設計の自由度を高めるため6種類の取付けオプションを用意。5サイズを展開し、ストロークは最大1000mm。
写真10 IP69Kに準拠したステンレス製電動アクチュエータ(フエスト)
FYH
FYHは、IP69K規格に準拠したステンレス製軸受ユニット「ハイプロテクションシリーズ」を出展した(写真11)。スリンガにシールリップを設け、シール端面にリップを配置した構造、および無給油式を採用したことで、高圧洗浄における保護性能を強化した。「NSF H1」規格認証のグリースを封入している。
写真11 IP69K規格に準拠したステンレス製軸受ユニット「ハイプロテクションシリーズ」(FYH)