世界最大級の食品製造総合展「FOOMA JAPAN 2025」(主催:日本食品機械工業会)が6月10日~13日の4日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された。48回目の開催となる今回は「Touch FOOMA, Taste the Future」をテーマに掲げ、過去最多の1,007社が出展。4日間に110,827人が来場した。食品機械メーカーなどが食品製造現場の自動化・省力化に寄与する新商品や新技術を披露した。
第4回FOOMAアワード2025受賞製品
日本食品機械工業会は、優秀な食品機械・装置を顕彰する表彰制度「FOOMAアワード」を2022年に創設した。FOOMA JAPAN 2025の出展社を対象として、「第4回FOOMAアワード2025」を開催し、最優秀賞に選ばれたのが、イシダの「特定商品用フルオート・高精度な組み合わせ計量機」だ。ブロイラーなどの高付着性商品を高速・高精度に自動計量する「CCW-AS series」(写真1)では、大容量商品や粘着性のある商品への搬送力を向上させたフィーダを開発。フィーダの応答性を高めて計量ホッパへ最適な量を安定的に供給できるようになり稼働率の向上に寄与する。また、質量データを活用し、ホッパ間の動作タイミングを自動的に調整できるようになった。
写真1 特定商品用フルオート・高精度な組み合わせ計量機(イシダ)
同優秀賞に選ばれた製品も注目を集めた。古川機工は、魚や肉などの食品トレイにドリップシートを敷く作業を自動化した装置(写真2)を出展した。「今まで手作業でしかできなかったドリップシートの投入を日本で初めて自動化した」(同社)という。トレイやシートを装置にセットし、タッチパネル上で処理数を入力することで、2秒に1個の速度で処理でき、定数管理も可能だ。ドリップシートの繰り出し方(方向や角度)を工夫し、メンテナンスも容易な独自のローラを備えている。包装機などとも連携できる。
写真2 ドリップシート・トレイ供給装置(古川機工)
システムスクエアは、各種の異物検査機を出展。「防水多列エアー選別機搭載X線検査機」(写真3)は、高精度X線検査機と同期してウィンナーやナッツなどバラ流し品を検査し、不良品は多数のエアー吹出し口を備えた多列エアー選別機から位置ごとにエアーを噴出して、ピンポイントで除去できる。異物と形状の折れ・割れ・欠け、空洞などの不良を同時に検査可能。一般的なシュート式選別機と比べて、1回目の選別で不良品と一緒に排出されてしまう良品の量を大幅に削減できるという。
写真3 防水多列エアー選別機搭載X線検査機(システムスクエア)
TechMagicの炒め調理ロボット「I-Robo2」(写真4)は攪拌、加熱、調理後のフライパンの洗浄といった一連の動作を自動化したロボットで、炒飯・野菜炒めなど、熟練の職人の味を忠実に再現する。自動調理の際は、メニューに応じて、加熱温度、加熱時間、鍋の回転スピード、回転方向を調整できる。すでに大手中華チェーンの店舗に導入されている。前機種からの最大の改善点はサイズ。1320mmあった奥行きは、回転式の鍋の洗浄槽を前方に配置したことで700mmになり、導入しやすくなった。
写真4 炒め調理ロボット「I-Robo2」(TechMagic)
ロボットシステム
マスダックは、「ファクトリーのスマート化」をテーマに、トンネルオーブン・協働ロボット・自動搬送ロボット・充填機を組み合わせた、フィナンシェの無人生産システムをデモした(写真5)。まず協働ロボットが天板を充填機にセットし、生地を充填後の天板をラックに入れる。自動搬送ロボットがラックをオーブン手前に運び、協働ロボットが天板をオーブンに入れる。オーブン出口に配置した協働ロボットが天板を取り出し、天板を反転させて焼成後のフィナンシェを外し、ラックに収納する。フィナンシェや空の天板は自動搬送ロボットが所定の場所に運ぶ流れとなっている。
写真5 フィナンシェの無人生産システム(マスダック)
コネクテッドロボティクスはエプソン製スカラロボットをベースとした盛付けロボット「Delibot」(写真6)を出展し、ポテトサラダの盛付けを実演した。ひじきやほうれん草の胡麻あえなど複数種類の食材も正確に盛り付けることができる。装置は作業者1人分程度で、使用しないときは生産ラインから簡単に取外し可能。店舗での利用にも対応できる。導入の際には仮想空間でシミュレーションを繰り返すことによって、試作のコスト削減と開発期間短縮を図っている。
写真6 盛付けロボット「Delibot」(コネクテッドロボティクス)
不二精機はおにぎり成形ロボット「飯盛りおにぎり達人」(写真7)を展示した。遠赤ヒータにより炊き立ての品質を保ち、密閉性も高いため、ごはんの水分を逃さないなどの特徴がある。握りの加減も5段階から選択できる。1型に120gのおにぎり5個をセットできる。
包装機・食品機械用機器
大森機械工業は、コンパクト横ピロー自動包装機を出展(写真8)。レンジアップ商品の新たな密封パックを提案した。包装機に穴あけ機構を備え、密封包装の工程で包装フィルムの一部に穴をあけ、その上に熱で収縮するラベルを貼って穴をふさぐ工程を追加。このパックは電子レンジで加熱することで、ラベルが収縮して穴があくので、加熱前にパックに切れ目を入れる必要がない。また、包装機のオンライン部品見積りシステムも紹介した。ユーザーは、ブラウザ上に表示された包装機の3次元データから、目当ての部品を探して選択して、見積依頼が行える。
写真8 コンパクト横ピロー自動包装機(大森機械工業)
SMCは、「省エネ」・「省人化」・「安全」の3つのカテゴリに分けて出展。安全に関しては、食品製造業界向けの駆動機器やエアブロー機器をラインナップする「HFシリーズ」を紹介した。保護等級IP69Kに対応するロッドタイプの電動アクチュエータ「HF2A-LEY」(写真9)は、外部金属にSUS304を採用し、外部シールにはFDA準拠材を使用しているほか、液だまりしにくい滑らかな形状としている。最大ストロークは800mm、最大推力は1910N。
写真9 電動アクチュエータ「HF2A-LEY」(SMC)