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型技術

2026.10.23

金型業界アンケート2026【後編】

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 日刊工業新聞社は、国内金型業界の実態調査を目的とした「金型業界アンケート2026」を実施した。調査期間は2026年4月24日~6月12日で、173社から回答を得た。本調査では金型関連企業へ、近年の受注見通しや人材採用の状況、新規事業の展開、中国の金型に対する認識と対応、AI活用の状況、経営上の課題などについて尋ねている。本稿では前編に引き続き、アンケート結果の概要を紹介する。

新たな収益源の確保を図る動き

 国内金型業界は依然として厳しい状況にあり、企業としての生き残りを図るうえで、金型だけに頼らない多角的な視点での事業展開を模索している企業も増えてきている。金型以外の新規事業の展開について尋ねた質問では、「すでに行っている」が56.6%と半数を超え、「展開の検討・準備を進めている」(12.7%)を含めると約7割を占める結果となった(図1)。多くの企業で事業の多角化が進み、新たな収益源の確保を図る動きが広がっていることが明らかになった。
図1 新規事業の展開

図1 新規事業の展開

 また、新規事業の展開を「すでに行っている」、「展開の検討・準備を進めている」と答えた企業に、その新規事業の分野について尋ねたところ、「自動車・次世代モビリティ分野」が40.0%で最多となり(複数回答、図2)、前編でも示された、金型業界と結び付きの強い自動車産業という取引基盤を活かしながら事業領域の拡大を図っている企業が多いことがわかる。これに「産業機械分野」(33.3%)、「医療・ヘルスケア分野」、「ライフスタイル分野」(ともに27.5%)が続き、自動車依存のリスクを軽減しようとする動きもうかがえる。
図2 新規事業の事業分野

図2 新規事業の事業分野

 さらに、これらの企業に実施・想定している新規事業の内容について尋ねると、「部品加工・精密加工」が52.5%と過半を占め、最も多い結果となった(複数回答、図3)。金型製作で培った高い加工技術や既存設備を活用しやすく、比較的参入しやすい分野であることが要因として考えられる。次いで「自社製品の開発・製造」(30.8%)、「量産成形」(27.5%)、「製造装置・治具などの開発・製造」(24.2%)が続き、単なる金型供給から、製品や生産システムまで事業領域を拡大する動きが広がっている。

 「その他」の回答としては、「DXに関する受託開発」(新潟県のプレス金型メーカー)や「営業支援ソフト」(大阪府の鍛造金型メーカー)などデジタル関連の開発に関わるものや、異なる業界での新規事業として「ウナギとイチゴの循環型農業」(岐阜県のプレス加工メーカー)などが見られた。
図3 実施・想定している新規事業の内容

図3 実施・想定している新規事業の内容

 企業競争力を高めていくうえで営業力の向上は欠かせない。営業活動の実施状況を尋ねた質問では、「専任の営業担当・部門があり継続的に営業している」が54.9%と過半数を占め、半数以上の企業が営業活動を組織的に実施していることがわかった(図4)。一方、「営業専任はおらず主に経営層が営業している」が31.2%、「技術者・現場担当者が営業を兼務している」が11.6%と合計で40%を超えた。これら2つを回答した企業の約9割が従業員数50人未満の企業規模で、規模の小さい金型関連企業では経営者や技術者が顧客との窓口を担うケースが依然として多いことが示された。
図4 営業活動の実施状況

図4 営業活動の実施状況

 営業活動の手段としては、やはり「既存顧客への定期訪問」が83.2%で突出しており、既存顧客との関係維持が営業活動の中心だとわかる(複数回答、図5)。一方で、「展示会・見本市への出展」(59.5%)、「新規顧客へのアプローチ」(59.0%)も高い水準にあり、新規案件獲得に向けた活動も積極的に行われている状況が示された。また、「Webサイト・SNSなどの活用」(45.7%)も一定割合を占め、オンラインによる情報発信型の営業手法も広がりを見せていることがわかった。
図5 営業活動の具体的な手段・内容

図5 営業活動の具体的な手段・内容

中国金型メーカーは価格競争力が脅威

 中国の金型メーカーの存在感は年々高まっており、日本の金型業界にとって強力な競争相手となっている。近年の中国金型メーカーに対する脅威・危機感について尋ねた質問では、「強い脅威を感じている」が37.6%、「ある程度脅威を感じている」が35.8%と、脅威・危機感を抱いている企業が7割超に上った(図6)。
図6 中国金型メーカーに対する脅威・危機感

図6 中国金型メーカーに対する脅威・危機感

 また、どのような点に脅威・危機感を抱いているかについては、「価格競争力」が87.3%で突出しており、多くの企業が依然として価格面を最大の脅威と認識していることが示された(複数回答、図7)。一方で、「納期の速さ」(54.9%)、「旺盛な設備投資」(49.1%)も高い割合を占め、単なる低価格だけではなく、生産能力や対応力の高さにも警戒感が広がっている。また、日本企業の大きな強みとされている「技術力」についても33.5%と決して低くはない割合の企業が脅威を感じている結果となり、中国金型メーカーの捉え方が大きく様変わりしている。
図7 中国金型メーカーに脅威・危機感を抱く点

図7 中国金型メーカーに脅威・危機感を抱く点

 こうした中国金型メーカーとの競争において重視している対応策として最も多く挙げられたのが「設計力・技術提案力の強化」(52.0%)で、次いで「高精度・高品質な金型の開発強化」(47.4%)、さらに「アフターサービスの充実」(43.4%)となっており、これら3つの回答の多さが目立った(複数回答、図8)。一方で、「価格競争力の強化」は9.8%にとどまり、多くの企業が中国金型メーカーとの正面からの価格競争を避け、高度な技術対応や付加価値による差別化、顧客との関係性強化で勝負しようとしていることがわかる。
図8 中国金型メーカーとの競争における対応策

図8 中国金型メーカーとの競争における対応策

 中国の金型について懸念している点や日本の金型メーカーがとるべき対応・方針などを自由回答で求めた質問では、「中国への発注の偏重は日本国内のサプライチェーンの弱体化につながる」(広島県のダイカスト金型メーカー)、「発注元が目先のお金のために中国への発注を強化して、地元の金型メーカーが淘汰されてしまえば、いざ困ったときにも海外にしか発注先がなくなってしまうのでは」(広島県のプレス金型メーカー)など、中国への発注偏重による国内サプライチェーンへの悪影響を懸念する意見が目立った。

 一方で、「日本人同士でしかできない細やかなコミュニケーション」(大阪府のプラスチック金型メーカー)、「国内だからできる提案やサービスの充実を図る」(岡山県のプレス金型メーカー)、「製品に対しての付加価値(精度的、価格的、品質的)をもっと追求していき、差別化を図りたい」(和歌山県のプレス金型メーカー)など、国内の優位性を活かした独自の強みを伸ばすべきとの意見も多く見られた。

 また、「金型技術を国の技術として保護する必要性がある」(神奈川県のプラスチック金型メーカー)、「中国金型への課税」(愛知県のダイカスト金型メーカー)、「国策としてMADEINJAPANの製品を増やすべき」(神奈川県のプラスチック金型メーカー)など、日本政府への対応を求める声もあった。
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