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機械技術

2026.01.14

高付加価値の製品でユーザーの期待に応え、市場拡大を目指すー大隈機械(上海)有限公司 吉村知泰 薫事総経理

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 EV(電気自動車)、ロボット、家電など中国の製造業の存在感が急速に増す中、これらの部品を加工する工作機械も新たなステージで競争が繰り広げられている。

 中国の調査会社エム・アイ・アールによると中国における工作機械市場は2022 年に落ち込んだものの、翌年から回復したとしている。2025 年には74,711 百万人民元(日本円で約1 兆5,435 億円)に到達し、その後も成長していくことが見込まれている。

 その成長の過程で中国工作機械市場における競争の軸は従来の「価格」から「付加価値」へと移行していくと見られている。付加価値の内容は以下の8 つのトレンドにたどり着くという。① 中国メーカーによる5 軸加工機の量産化 ② 一体成形の拡大 ③ リニアモータの普及④ 外資の現地化 ⑤ 加工の進化 ⑥ AI とデジタル化の融合 ⑦ 省エネ・環境対応の加速⑧ ターンキー型自動化ソリューションの展開

 こうした情勢の下で、日本の工作機械メーカーはどのような認識をもって中国市場に対処していこうとしているのか。今回は大隈機械(上海)有限公司の吉村知泰 薫事総経理に現状と展望について聞いた。 (編集部)

活況を呈するEV、半導体、自動化関連市場

─現在の中国市場の現状について、どのような認識をおもちですか。

吉村 5%の経済成長という中国の国家目標は上回っており、政府の政策が効いているという評価もあるようですが、実際に景気が良くなっているという感覚はありません。具体的にはユーザーから引き合いが来て見積もりを出してから、話が具体化して受注まで結びつくまでの時間がかなり長くなっており、ユーザーは設備投資に対して、このまま継続して行っても大丈夫なのか、迷いが生じているのではないかというのが実感です。

─以前は即断即決だった商談が、慎重になっているということですね。では業種別ではいかがでしょうか。

吉村 好調業種と言われているところでは、自動車、特にEV 関係があります。このほか半導体、ロボット、自動化関連は活況を呈しています。しかし、EV や半導体では値下げ合戦が激化しており、国からの補助金の廃止もあると言われ、楽観視はできない状況です。

─ 中国の工作機械メーカーとの競争が激しくなっている面もありますか。

吉村 当社が引き合いをいただく場合、競争相手は日系か欧州のメーカーであり、同じ土俵に中国メーカーが上がってくることは今のところありません。

─ 中国メーカーと日系メーカーが競合する分野はありますか。

吉村 当社のラインナップの中にはありませんが、量産型のマシニングセンタ(MC)などでは中国勢と競合していると耳にすることはあります。自動車のコストを下げるためには、自動車部品のコストを下げないといけないので、そのためには部品をつくる工作機械も安くしないと成り立たないということです。

日本製へのリプレース需要も

─こうした状況の中で、どのように中国でのビジネスを展開していくお考えですか。

吉村 先ほどとは異なる面で、中国製の部品を高性能化していくというニーズも出てきています。従来は中国製の工作機械を使っていたところから日本製に乗り換えたいという相談も増えてきています。これに対して、当社製品の特徴である高精度かつ安定した品質をアピールしているところです。具体的には、部品加工の複雑化に対応可能な5 軸制御MC、門形MC、複合加工機が対象となります。特に5 軸加工機については、最近は中国メーカーも力を入れていますが、まだ当社のほうにアドバンテージがあるという認識です。このほか、金型関連についても特に仕上げ加工が関係してくる分野において、まだ日本製に一日の長があると思います。
5 軸制御マシニングセンタ「MU-6300V」

5 軸制御マシニングセンタ「MU-6300V」

門形マシニングセンタ「MCR-C」

門形マシニングセンタ「MCR-C」

複合加工機「MULTUS U3000」

複合加工機「MULTUS U3000」

中国市場におけるシェア拡大を目指す

─ グローバル展開の中で中国市場はどのように位置づけられていますか。

吉村 海外向けの市場全体の25%を中国市場が占める現状ですが、今後中国市場のシェアをもっと高めていこうというのが当社の考えです。

─米国の関税政策の影響は出ていますか。

吉村 米国向けの輸出が多い広東省に拠点を置くユーザーは影響を受けているようです。ただ、現状では様子見というところも多く、影響を見極めるにはもう少し時間が必要とみています。

─ 生成AI の開発への活用について、どのような認識をおもちですか。

吉村 当社には長年の蓄積されたデータやノウハウがあり、解析技術でも勝負できるとみています。一方、中国企業はデジタルの道具立てにおいて大規模な投資で勝負してくる傾向があります。決して油断できる状況ではありませんが、勝負できる領域は存在しているので、そこに注力していきたいと考えています。

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