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工場管理 連載「イチからわかる工場物流」

2026.08.31

第7回 工場内物流の改善①

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Kein 物流改善研究所 仙石 惠一

せんごく けいいち 同研究所 代表社員 日産自動車にて物流IEとして新工場・新ラインの物流設計業務、その他輸送や構内物流、荷姿の効率化に携わる

生産工程を見れば物流のレベルがわかる

「生産工程の改善はやり尽くしたので、次は物流改善だ」。こう主張する製造会社の人は多い。確かに、半世紀以上にわたってものづくり改善が行われてきた。作業改善や工程改善は、生産現場で常に実行されている。本当にネタ切れと感じている会社では、「一歩」を縮める改善を実施している。しかし、実際は「やり尽くした」といった「思い込み」に過ぎないと筆者は感じる。なぜなら、次のような事実を多くの工場で見てきているからだ。

 図1 をご覧いただきたい。これはある組立系の生産工程の稼働分析結果だ。何と、付加価値作業比率が4 割に満たない。100%ムダといえる動作が6 割あり、実はそのほとんどが物流作業か物流に起因するムダだ。複数モデルを混流生産するために、どのモデルの作業指示がかかってもよいようにすべての部品をラインサイドに並べている。
図1 生産工程の稼働分析結果

図1 生産工程の稼働分析結果

 その結果、部品取り時の迷いや歩行が発生する。部品荷姿が悪いために伸び上がりや絡みほぐしが発生する。タイムリーな部品供給が行われていないために、生産作業者による空容器処理や部品入替が行われている。つまり、この工場の物流部署は仕事をしていないといえる。厳しい言い方になるがそれが事実だ。

 一方で、これだけ生産工程がムダを抱えていることに気づいていないことが大きな問題だ。だから「生産工程の改善はやり尽くした」という認識は正しくない可能性がある。もう一度じっくりと生産工程を観察していただきたい。

典型的な間違った工場内物流改善

 物流改善というと、多くの方が物流自体をなくすことや縮めることでその効率化を図ることだと理解している。これは間違った考え方ではないかもしれない。しかし、以下のような場合には間違った行為だと認識したほうがよい。

 たとえば、「ダイレクト供給」という部品供給方式がある。これはサプライヤーから納入された部品を物流倉庫に一旦ストックすることなく、納入荷姿のまま生産工程に供給することをいう。

 これがなぜ間違っているといえるのか。それは、1 つに生産工程に余分な在庫を発生させる可能性があるからだ。部品納入タイミングが生産開始直前で、今生産する数量だけの調達であればよいが、多くのケースでそうなっていない。大抵の場合、調達数量と生産数量が異なっていたり、調達タイミングが早すぎたりすることが多いため、そのまま生産工程に供給するとラインサイドに余分な在庫が発生する。物流部署は一旦ストックする手間が省けて楽になるかもしれないが、生産工程にしてみればしわ寄せられる迷惑行為だ。

 もう1 つ、生産工程にランプやマイクを設置し物流呼び出しを行っている工場があるが、この行為も注意が必要だ。生産工程は、必要な部品を運んできて欲しいときに物流を呼び出す。仮に生産計画と異なる製品を生産するために部品を要求したとして、物流がそれに気づかずに言われたとおりに部品供給することは望ましくない。つくりすぎのムダにもつながる可能性がある。こういった行為は修正する必要がありそうだ。

生産効率化に寄与する物流とは

 工場内物流の基本原則は「生産工程の効率化に貢献すること」と考えていただきたい。つまり図1 のような状況をつくらないことだ。生産工程への理想的な部品の渡し方は、極論すると、「物流作業者が生産作業者に今使う1 個の部品を手渡しすること」だ。実際にはこれは現実的ではないので、これに極力近い形にすることが重要である。たとえば、生産作業者には部品を取るときに「歩かせない」「迷わせない」「ヒジを伸ばすだけで取れる」「容器には手を触れさせない」といった基本思想を決定する。あとはこれらを実現するためにラインサイドの供給ツールを工夫したり、供給用荷姿を改善したりすること。これがまさに工場内物流改善の第1 歩だ。

 生産工程に必要な部品だけを届けるためには、サプライヤーから納入された部品を納入容器から供給容器に必要数だけ入れ替える必要性が出てくる可能性がある。使う順番に並べ替える必要もあるかもしれない。これらを新たに実施すると、物流工数は増えるだろう。入替作業のために物流スペースが増えるかもしれない。

 この事実を受け止め、実行できる会社は強くなる。図2 のような実態を改善すれば、ものづくりの生産性は驚異的に向上するはずだ。物流工数が増えるからといって躊躇しているヒマはないはずだ。
図2 生産効率化に寄与する物流

図2 生産効率化に寄与する物流

 参考までに、増える物流工数を補って余りある生産工数削減は可能だ。さらに誤組付のリスクも軽減できる。だから工場トータルで判断すれば実行しない選択肢はないと思われるが、筆者の経験から「物流で発生するコストは物流で吸収する」という発想があってもよいと思う。それは、新たなコストをオフセットするために輸送改善を実行することだ。輸送改善方法については別途解説するので、そちらを参照していただきたい。
今回のまとめ
①「生産工程の改善はやり尽くしたので次は物流改善だ」という認識の会社は、もう一度生産工程を観察してみよう。物流起因のムダが多く見られる可能性がある
②物流部署が生産工程にしわを寄せる行為を実施していないか確認しよう。これは改善ではなく迷惑行為かもしれない。修正が必要だ
③部品供給の基本は生産作業者を「歩かせない」「迷わせない」「肘を伸ばすだけで取れる」「容器には手を触れさせない」だ

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