米オートデスクは9月、米ラスベガスで開くイベント「オートデスク ユニバーシティー」(AU)で、3DCAD/CAM(コンピューター利用設計・製造)システムでAI(人工知能)を活用した新たな顧客体験の方向性を披露する。来日したジェフ・キンダー上級副社長は、新たなユーザーインターフェース(UI)を含め「よりモダンでシンプルに(他社のAIソフトウエアなどとの)相互運用性を高くする」考えを明らかにした。さらに「高品質や精密に強い日本企業は、AIを使えば競争力を一段と高められる」と訴えた。テキストや下書きから3D形状を生成する『Project Bernini』など次世代設計支援技術の実用化が期待される。( 編集局産業部 ・山中 久仁昭 )
ー製造業や建設業などでは、AIの導入が加速しています。
ジェフ・キンダー氏
「AIは設計・製造を大きく変革する。当社はクラウドベースの3Dシステムを早期に市場投入し、AI活用を見据えて設計データの細分化・構造化や従量課金制を導入してきた。当社が考えるAIによる自動化は、タスク、ワークフロー、システムの3フェーズの自動化だ。AIは既存プロセスを学べ、熟練の設計者や技能者の知識を蓄積できる。特定ニーズには従来、個別対応していたが、AIを使えば設計、製造、運用のすべてを融合し対応でき、データも自由自在に活用できる」
―オートデスクのシステムと、精度が高まるAIを掛け合わせると何が実現しますか。
ジェフ・キンダー氏
「メーカーなら生産量の増強をはじめ、より創造的な設計や価値創造の追求、コスト削減などが可能になる。さらに製品開発から市場投入までの期間の短縮も期待できる。企業により省人化など課題の優先順位は違うが、AIをどう使うかを顧客が選択できるようになる。AIを使わない顧客はモノづくりの競争力を失うだろう」
ジェフ・キンダー氏
「日本の顧客は高い品質や精密さを実現しており、日本の顧客ニーズを基に我々は新たな機能や能力を開発し、それをグローバル製品に展開している。こうした中で日本の中小企業は製造業のバックボーン(背骨)で、サプライチェーン(供給網)を担っている。中小企業こそAIを採用することは有効だ。(大企業に比べて)限られた経営資源を補い、生産性を高められる」
ジェフ・キンダー氏
「当社は(3Dシステム業界で)技術革新をリードし、オープンなAIエコシステムの構築を進めている。外部のAIから製造業向けプラットフォーム(基盤)『オートデスクフュージョン』の機能を利用できる環境も整備する。生成AIで一般的なチャットGPTやクロードなどに使う大規模言語モデル(LLM)は自然言語の理解に優れるが、それだけでは、精密性や複雑性に対応する製造業の要求を満たせない。自然言語を理解しつつ、当社システムが提供する専門的な機能を組み合わせれば、高度な設計・製造を実現できることを訴求していきたい」