せんごく けいいち:同研究所 代表社員 日産自動車にて物流IEとして新工場・新ラインの物流設計業務、その他輸送や構内物流、荷姿の効率化に携わる。
物流不良撲滅のための具体的方策
多発しがちな物流品質不良の1 つである「誤品」。この防止策がいくつか挙げられる。まず、ピッキングミス(取り間違い)を防ぐために、「類似製品はロケーションを離す」ことを心がけたい。ロケーションとは保管場所のことだ。とかく類似製品は隣同士に置きたくなるが、その場合うっかりミスで別製品をピックしてしまうことがある。「効率の前に品質があること」を忘れてはならない(図1)。
次に、ラベル貼り間違いを防ぐために、「今の作業に必要ないものは現場から撤去する」ことだ。ラベルを貼り間違えるのは複数のラベルが置かれているから。だから別ラベルを含め、「今不要なもの」は現場に置かないようにしよう。
そしてもう1 つ、「類似品との識別ポイントを掲示」しよう。形状も色も同じだが穴の数で別製品になる場合、両製品の写真を並べて違いについてわかりやすく記した掲示物を作成して現場に貼り出そう。
次は、よくありがちな不良である「誤数」。数量カウントを舐めていると発生する。これを防ぐために「数量カウントテンプレート」の活用を取り入れよう(図2)。これは図2 のとおり、数字を記入したテンプレートを用意し、その上に製品を並べ指差呼称で数量をカウントする手法だ。このような愚直な工夫がミス防止につながり、物流不良を阻止することができる。
2 つの物流不良への具体的方策について示したが、これらはいずれもお金をかけずに実施できるアイテムだ。このとおり実行すれば不良流出は減らせるし、やらなければ不良流出が続く。やるかやらないか。それだけのことだ。
物流作業標準化で品質向上
物流品質向上のために数々の手を打つことが必要となるが、その中で最も重要な取組みが「基準と手順の整備」だ。製造工程でしっかりとできているこの件、意外と物流工程ではできていない。不思議な現象ではあるが事実だ。
そこで、物流における技術基準と作業手順について解説しておく。技術基準とは物流業務を行うに当たって各作業の土台となる基準を指す。たとえば、フォークリフト取扱基準では入庫工程だろうと運搬工程だろうと基本は一緒。基本動作で行うことや最高速度などの基準を定める。これが物流品質に影響を与えることになるので、社内できちんと決めておきたい。
もう1 つが作業手順だ。これは一般的に標準作業と呼ばれ、作業ごとに設定する必要がある。つまり、入庫作業の標準と運搬の標準は異なることになる。標準作業を設定しそれを「標準作業書」にまとめることになるが、このドキュメントには作業手順、その作業の急所、当作業における禁止事項、当作業における異常の定義と異常発生時の対処方法などを記載する。フォークリフト運搬を例に挙げると、「応用動作による作業は禁止する」ことを禁止事項として明記する。異常として「荷崩れ」を挙げ、その時の対処方法を明記する。
標準作業書の鉄則を記しておこう。それは「素人が読んで理解できること」だ。素人は、今日初めて職場に配属された物流の素人をイメージしよう。その人が読んで理解できなければ、その標準作業書には不備があると考えた方がよい。わかりにくい用語があったり、作業手順に説明不足があったりすると理解はできない。もう1 つ気をつけることは、作業者の恣意性が入る余地がないように作成することだ。物流作業は作業の自由度が高く、少し異なるやり方でもできてしまうことがある。このような現象が不良につながる可能性があるので、誰がやっても同じやり方になるように手順を定めたい。
作業者の品質意識を高める方策
標準作業を定めずに業務を実行すれば品質不良は発生するし、それはなくなるどころか減ることもないだろう。だから、標準作業書は物流品質向上の大前提と認識しよう。そして、定めた標準作業を守らせることもセットで考えたい。そこで検討したいものが、作業者の品質意識を高める方策だ。品質不良は会社の命運も握っていると言っても過言ではない。だから品質は作業者にとって「自分事」であることを意識してもらうのだ。
作業者に品質について意識させるためには、「流出不良の状況」を知らせることが重要である。ぜひ工場内に「物流流出不良ゼロ連続日数」を掲示しよう。物流のプライドは不良を社外に流出させないことだ。物流業務委託先も含めて実施しよう。
次に、品質向上の取組みを評価する制度を導入しよう。評価するとは、ほめることと定義づけてもよいかもしれない。たとえば「報奨を伴う品質改善提案制度の導入」を考えてみてはどうか。改善提案制度を取り入れている会社は多いと思うが、物流では特に品質に特化してみる。さらには、物流で「QC 活動」を導入しよう。物流に携わる人たちはQC になじみがない。このため、流出不良を撲滅するためにぜひ知識を身につけてそれを実行してほしい。
今回のまとめ
①「類似製品はロケーションを離す」「今の作業に必要ないものは現場から撤去する」「類似品との識別ポイントを掲示する」ことで「誤品」を撲滅しよう
②「数量カウントテンプレート」を活用することで「誤数」を撲滅しよう
③「基準と手順の整備」は物流品質向上のための最重要な取組み。これなくして品質向上はあり得ないという認識を持とう
④作業者に品質について意識させるために、「流出不良の状況」を知らせることなどいくつかの活動を実施しよう