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工場管理 連載「リーダーに捧ぐZ世代の新人育成バイブル Season2」

2026.09.16

第7回 問題解決のスキル育成② ルールが定着しない問題を解決するスキルを高める

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ジェムコ日本経営 古谷 賢一

ふるたに けんいち:本部長コンサルタント、MBA。経営管理、人材育成から、品質改善支援、ものづくり革新支援など幅広い分野に従事し、地に足がついた活動をモットーに現場に密着。きめ細かい実践指導は国内外の顧客から高い評価を得ている。“工場力強化の達人”とも呼ばれている。おもな著書は『まんがでわかるサプライチェーン 知っておくべき調達・生産・販売の流れ』(日刊工業新聞社)。
https://www.jemco.co.jp
 「問題解決のスキル育成」の2 回目は、入社をして数年目といった若手社員に対して、どのようにして問題解決のスキルを教育すればよいのか、「ルールが定着しない問題を解決する」ことをテーマにして解説をする。生産現場にはさまざまなルールがある。作業標準などの生産に関わるルール、現場の作業ルール、そして安全のルールなどだ。ルールを守らなければ、適切な品質の製品を適切なコストで生産することはできないし、生産現場の安全も確保できない。

 しかし、現実の生産現場では、決められた生産手順を逸脱するなど、ルールが破られることがある。置いてはいけない場所にモノをチョイ置きするなど、ついうっかりルールを破ってしまうこともある。本稿では、「ルールが定着しない問題」をどのようにして解決していくべきかを解説する。

知識の付与① 守るべきルールを明確にする

 ルールが守られない職場では、守るべきルールが明確になっていないことがある。たとえば、「工具を使用したら片づける」というルールを考えてみよう。設備の横に「工具置き場」があり、工具の「置き場所」が明確に表示されていれば、作業者は工具を所定の場所に戻すことができる。

 しかし、生産現場でそのような明確なルールを指示することなく、ただ「片づけろ」といったあいまいなルールだった場合はどうなるだろうか。作業者は、「とにかく邪魔にならないように(自分がよかれと思う場所に)工具を持っていく」、あるいは「面倒だから、そのあたりに適当に置く」といった、バラバラな行動につながってしまう。

 生産で多忙を極めた作業者は、明確なルールがなければ自分なりに考えて、よりよい行動をとるだけの精神的な余裕はほとんどない。作業者の几帳面さだけに頼っていては、現場はすぐに崩れてしまう。

  生産性や品質、安全を確保するために必要なルールを、生産現場で徹底して定着させるためには、まず、ルールそのものが明確になっていることが重要なのだ。上記の例のように「使い終われば片づける」といったルールだけでは、どこに、どのように片づければよいのか明確でないので、作業者はルールを守りようがないのだ(図1)。
図1 ルールは明確になっているか?

図1 ルールは明確になっているか?

  ルールが守られない問題が発生した場合、ルールが誰でもわかるように具体的な内容になっているか、そして、作業者による解釈のバラツキが生じないかを考えることがポイントだ。

知識の付与② 守れない理由を考える

 ルールが守られない場合、何らかの守れない理由(あるいは作業者が守りたくない理由)があると考えることが重要だ。ルールを破った作業者を頭ごなしに叱責するだけでは問題は解決しない。たとえば、「工具を使い終われば、A 棚に戻すこと」といったルールがあっても、作業者は決められた場所には戻さずに、別の場所にチョイ置きしてしまうことがある。なぜそうしたのかを聞いても、「ついうっかりと」、あるいは「忙しかったから」といった言い訳のような理由が出てくるものだ。

 しかし、これは表面的な理由に過ぎない。たとえば、「A 棚に戻すこと」といったルールがあっても、作業の動線からA 棚が離れているならば、忙しいときにわざわざ作業の持ち場を離れて、A 棚まで移動をして工具を戻すようなことはしたくないだろう。そうすると面倒なので、ついそのあたりにチョイ置きしてしまうことになる。「(戻す場所が遠くて)面倒だ」とは言いにくいので、「ついうっかり」と言い訳しているに過ぎない。

 このように、ルールが守られない場合、作業者と冷静な対話を交わすことや、作業者の行動などをよく観察することで、生産現場にある「守れない理由」を深堀することが必要だ(図2)。
図2 守れない理由を追求する

図2 守れない理由を追求する

経験の付与を考える

 生産現場では、生産性を高め、品質を確保し、そして安全を守るために数多くのルールが存在しているが、現実には、必ずしもすべてのルールが定着していて、組織の中で確実に運用されているわけではない。しかし、ルールが守られないと、生産性、品質、そして安全などが崩れてしまう。そこで、守られないルール、定着していないルールを、どうにかして守るように、定着するように取り組むことが求められる。

 そこでまず、若手社員に、ルール違反によって発生した問題を事例として示す。検討事項の1 つ目は「ルールが明確か否かを検討する」で、ルールが曲解できないか、違うとらえ方はできないのか、といった「斜め」からルールの明確さを検討させてみる。あえて意地悪視点でルールを見ることで、思いもつかぬ不明瞭な点に気づくことがある。

 検討事項の2 つ目は「ルールを守れなかった理由を考察する」で、ルールをなぜ守ることができなかったのか、既成概念がない若手社員の視点で検討をさせてみる。ここでのポイントは、「うっかりした」といった表面的な言い訳ではなくて、「このルールは、実行しにくい」といった、何かしら理由をひねり出すことがポイントだ。ルールを守らなかった背景には、どのような問題があるのかを考えさせることで、より定着しやすいルールづくりのヒントが得られるのだ。

次回までの振り返り

 今回紹介した「ルールは明確に示されているか」と「ルールが守られない背景に隠された理由は何か」を、若手社員に対して実際に教育をしてみよう。

 まずは、過去の問題事例を活用してみるとよいだろう。ルールが不明確だった事例、そして、ルールを守らなかった背景にどのような理由があったのかの事例を教育する。その知識をもとに、別の問題事例を示し、若手社員に実際に検討をさせてほしい。ベテラン社員のように予備知識がある人、既成概念ができ上がっている人では気づかないような、ルールの穴を若手社員が示してくれることも珍しくはない。若手社員の新鮮な知見はベテラン社員にも参考になるだろう。
今月の検討課題
・知識の付与を行う
 ルールは明確か否かを考える
 ルール違反の背景理由を追求する
・経験の付与を行う
 実際にルール違反によって発生した
 問題で議論を行う

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