東京商工リサーチ「2024年全上場企業『不適切な会計・経理の開示企業』調査」(
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1200919_1527.html)によれば、2024年に不適切会計を開示した60件のうち、従業員などによる着服横領は、経理や会計処理のミスの33件に次ぐ19件で全体の約3割を占める。中小企業における公表データはないが、人的資源に限界がある中小企業では従業員の着服横領リスクは上場企業に比較して高い状態と言える。
中でも経理担当者が着服横領した場合には、不正行為の期間が長期に及ぶ傾向があり、横領された被害金額が多額になるのが特徴である。一度発生してしまうと不正行為の当事者対応に追われるだけでなく、場合によっては会社の資金繰りへの影響は大きく、債務超過状態に陥って金融機関をはじめとして対外信用を毀損してしまう。
経理担当者の着服横領には典型的なパターンがある。例えば、社長が会計に無関心、会計担当が経理部の社員一人、顧問税理士の関与が薄いなどである。中小企業の経理担当者は長年にわたって預金口座や金庫の管理、経費の精算などの経理業務全般を一人で担当していることが多い。
経理担当者の着服横領の手口を見ると、少額から始まるもやがて頻度が上がり、一回当たりの金額も大きくなっていく。上位者、第三者の監視の程度を伺いながら、やがて大胆な犯行につながっていき、累計金額は多額になる。冒頭の事例のように被害が多額に上ると、その後の経営リスクはあまりにも大きい。不正行為を行った経理担当者は、先代の社長の頃からの経理部長であったり、取引金融機関や顧問の会計事務所の出身者だったりとどんな素性でも安心はできない。