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展示会

2025.06.10

人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA レポート 自動車技術を支える先端システム・要素部品が集結

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自動車技術の展示会「人とくるまのテクノロジー展 2025 YOKOHAMA」(主催:自動車技術会)が5月21日~23日の3日間、パシフィコ横浜(横浜市西区)で開催された。過去最大の617社が1,470小間で出展し、3 日間に79,808 人が来場した。今回のテーマは「新技術との融合で、モビリティの未来へ」。会場では、電動化など自動車製造にかかわる最新のシステムや要素部品が披露された。(『機械設計』編集部、『プレス技術』編集部)

ヴ ァレオジャパン

フランスのパリに本社を置くヴァレオグループの日本法人ヴァレオジャパンは、SDV(SoftwareDefined Vehicle)や電動駆動システムに関する最新技術を披露した。日本初公開となった「SDVエコシステム」は、ヴァレオのOS「vOS」とクラウドネイティブな開発ソリューション。vOSは、車両ソフトウェアの中核基盤として機能する。クラウドネイティブな環境で開発したシステムはOTA(Over-the-Air)のアップデートに対応しており、出荷後も車両を最新の状態に保つことができるという。また、同じく日本初公開の製品として、モータ、インバータ、減速機など6 つの機能を統合した電動駆動システム「SMART eDRIVE 6in1」を展示した(写真1)。内部オイル冷却と外部空冷を組み合わせた自己冷却設計で小型・軽量化を実現し、CO2 削減にも貢献できる。EVやHVなどへの採用を見込む。
写真1  6in1 の電動駆動システムで電動化に対応

写真1  6in1 の電動駆動システムで電動化に対応

市光工業

市光工業は、最新の適用事例としてアウディ「A6 e-tron」のテールランプに採用された「OLED 2.0 デジタルリアシグナリング」を展示した(写真2)。第2世代のOLEDによって、RGBコントラストの制御が可能になり、きめ細かなアニメーションコントロール、後続車の距離に応じて警告を示す記号を表示し、追突防止を促す機能を搭載した。また、「4R」という環境への取組みを紹介した。これは「ROBUST DESIGN」(堅牢な設計)、REPAIR( 製品を修理して継続利用)、RECYCLE(リサイクル。最後の段階として、新しい製品に再利用するための材料に戻す)、REMANUFACTURING(使用済み製品を再利用し、新しい製品として再生させる)を意味する。持続可能な社会への貢献をうたったもの。すでに量産品設計にも反映させているという。
写真2  Audi A6 e-tron のテールランプに採用された OLED 2.0デジタルリアシグナリング

写真2  Audi A6 e-tron のテールランプに採用された OLED 2.0デジタルリアシグナリング

ジャトコ

ジヤトコは自動車と二輪車や自転車などの新規事業の両輪で展開していくことを示す展示を行った。今年から日産自動車と開発した電動パワートレイン「X-in-1」の量産が始まる。日産自動車用に「3-in-1」(EV用)と「5-in-1」(e-POWER用)が用意されている。佐藤朋由社長は「この量産立上げを通じて日産車の競争力と魅力を上げることに貢献していく」と語った。新規事業として、中国の電動二輪ドライブユニット有力メーカー「浙江九洲新能源科技有限公司」と共同開発を進めている電動バイク用2 速自動変速インホイールモータドライブユニットの実機やジヤトコ製ドライブユニット(写真3)が搭載された電動アシスト自転車を展示した。電動アシスト自転車は今年度中にホダカの製品として発売予定だという。
写真3  電動アシスト自転車用ドライブユニット

写真3  電動アシスト自転車用ドライブユニット

日本製鉄

日本製鉄はホットスタンプの応用技術を披露。写真4は「2 軸ホットスタンプ工法」によるハイテン材(1.5GPa と2GPa のテーラードブランク)の成形品で、2 段カムを用いた金型により複雑な形状をしわなく成形した。写真5は「熱間エアブロー成形技術」による成形品。加熱した2 枚の鋼板を高圧ガスで同時加工することで、1 プロセスで閉断面部品の造形と焼入れが可能。「材料を軟らかくできるホットプレスは自由度が高くさまざまな応用ができる」(担当者)。
写真4 「2 軸ホット スタンプ工法」によるハイテン材の成形品

写真4 「2 軸ホット スタンプ工法」によるハイテン材の成形品

写真5 「熱間エアブロー成形技術」による成形品

写真5 「熱間エアブロー成形技術」による成形品

産栄工業

産栄工業が得意とするのはプレス加工によるピン角成形や全せん断といった高難易度加工。写真6の右のサンプルは板厚2.6mmの440 MPa ハイテン材で、中央の穴の端を切削加工なしでピン角に仕上げた。写真中央のギヤは板厚3.2mm のSPCC で、同社の特許技術「打抜き体の製造方法」により全せん断面ギヤを実現した。
写真6 プレス加工によるピン角成形や全せん断といった高難易度加工サンプル

写真6 プレス加工によるピン角成形や全せん断といった高難易度加工サンプル

ゲスタンプ

自動車の構造部品の設計・開発・製造を展開する多国籍企業のゲスタンプ(本社:スペイン・マドリッド)は、軽量化などを目指して開発された新たな溶接技術や複数の車体部品を一体化した大型構造部品の製品群などを披露した。複数の車体部品を1 つのユニットに統合した大型構造部品の製品群「Ges-Gigastamping」は軽量化や生産プロセスの簡素化、安全性の強化を目的として開発が進められている。その構造は納入先の組立ラインに合わせて製造される。ブースでは、製品群の一例として、衝突性能を強化し、組立てを簡素化するのに貢献する一体型フロアパネル「Ges-One Piece Floor」(写真7)や側面に衝突された際に生じるエネルギーを吸収し、変形を制御する「Wave Rocker」を展示した。
また、溶接技術については、溶接板厚の分布の最適化、構造の軽量化などを目指した「Ges-Wire」を展示した(写真8)。専用のフィラーワイヤを使用することで、材料の皮膜を除去しないで高品質な接合が可能になるという。これにより耐久性が向上するという。現在、試作段階でユーザーの反応を探っている状況のようだ。
写真7 一体成形のフロアパネル 「Ges-One Piece Floor」

写真7 一体成形のフロアパネル 「Ges-One Piece Floor」

写真8  板厚の分布の最適化、軽量化などを目 指して開発されたレーザー溶接技術「Ges- Wire」の適用例

写真8  板厚の分布の最適化、軽量化などを目 指して開発されたレーザー溶接技術「Ges- Wire」の適用例

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