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展示会

2026.06.01

<展示会レポート>“Make in India”支える金型技術展 過去最大規模展が映す製造高度化(中編)

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 4月にマハーラーシュトラ州ムンバイ市のボンベイ・エキシビション・センターで開かれたインド最大級の金型製造技術展「Die & Mould India International Exhibition」。急成長するインド市場に力強く根をはろうと挑む海外企業の中でも、日本や韓国、台湾など東アジア系企業の動きは特に会場内で目立っていた。高精度な日本製装置や工具、測定機器などへの関心の高まりは、インド製造業の高度化を象徴しており、日印ビジネスの結びつきが一段と強まっていることを印象づけた。(日刊工業新聞社 コンテンツ企画部 篠瀬祥子)

製造業の高度化照準に 日系勢が先端加工技術提案

 日本勢ではすでにインドの現地法人で長年にわたりインドで活動する工作機械メーカーや、それに合わせて高精度工具を展開するメーカーなどが連日、活発な商談をくり広げた。

 牧野フライス製作所は、5軸加工機やマシニングセンターなど各種を展示。2025年に設立30周年を迎えたマキノ・インディア(インド・バンガロール)の製造品や、マキノ・アジア(シンガポール)で開発した機械などを組み合わせて展示していた。特に現在、精密なモノづくりが増えるインド市場において、中国から輸入していた金型をインドでの生産に移管する動きから、自動車向け金型需要が増加。さらに、航空・宇宙や、半導体、EMSを加えた4分野向け加工が好調だという。同社ではマキノ・アジアの開発した工作機械をマキノ・インディアで製造するなどしてコスト競争力を高めている。

 ファナックブースでは、小型切削加工機「ロボドリル」やCNCを中心に、金型加工機向け装置やシステムを幅広く展示。金型ユーザーへの加工機の直接販売だけでなく、CNCなどはローカル工作機械メーカーの装置への搭載も広がっている。会場内の多くの関係者が同社ブースを訪れていた。

 工作機械商社の山善ブースで出展していたのが安田工業。マシニングセンターと微細加工機を展示していた。近年、急速にYASDAブランドがインド市場で広がっているのは、超高精度領域を求めるクライアント層がインドに根づいてきている証とみられる。
Makino Asiaの山形和史シニア・マネージャー(左)

Makino Asiaの山形和史シニア・マネージャー(左)

ファナックインディアの鈴木俊之プレジデント&CEO

ファナックインディアの鈴木俊之プレジデント&CEO

インド深耕へ拠点再編 山善が体制強化

 安田工業やブラザー工業などのマシンを販売する山善では、現地での力強い工作機械ニーズを踏まえ、拠点の整備を加速させている。6月までに、チェンナイ、バンガロール、そしてデリーの3拠点をそれぞれ同時期に移転拡張する。本拠地のデリーでは、ショールーム機能に加え、商談会やプライベートショーが開催可能な設備を整備している。またインド全土で9拠点の体制から2027年までに北部と南部で1拠点ずつ増やし、計11拠点体制になるという。現在、従業員140人のうち130人がサービスエンジニア。機械修理担当と機械操作・プログラム作成担当に専門性を分けて組織を構築している。インド市場では他国と比較して価格競争が激化しており、差別化が必須のため、エンジニアの能力向上による高いサービス提供などに力を入れていくという。
YAMAZEN MACHINARY &TOOLS INDIAでは、安田工業やブラザー工業の工作機械を展示。左が原口明マネージング・ダイレクター。

YAMAZEN MACHINARY &TOOLS INDIAでは、安田工業やブラザー工業の工作機械を展示。左が原口明マネージング・ダイレクター。

日本の放電加工技術に関心高まる

 金型加工で多く使用される放電加工機は、日本メーカーが得意とする領域。ソディック、ファナック、三菱電機や牧野フライス製作所などが各種のワイヤカット加工機や型彫り放電加工機を展示し、日本の高精度技術への関心の高さは明確になっていた。

 ソディック・テクノロジー・インディアは、ベンガルールを本社拠点とし、チェンナイ、プネ、デリーの4拠点を中心に展開。髙橋謙マネージング・ダイレクターは、2000年代前半から現地企業の直接開拓を強化してきた経緯を踏まえ、「現在では約15人のサービススタッフが配置され、機械の故障時にも、専門スタッフによる正確な診断と対処でメンテナンス体制が確立されている」とする。「ここ数年は、毎年15%ずつは伸びていく市場。特に型彫り放電加工機もまだ伸びていくのではないか」と見通しを語る。
ソディックテクノロジーズインディアの髙橋謙マネージングダイレクター(左)と山本智之ソディックシェアードサービスセンター長兼CRM戦略支援室長

ソディックテクノロジーズインディアの髙橋謙マネージングダイレクター(左)と山本智之ソディックシェアードサービスセンター長兼CRM戦略支援室長

 また、三菱商事子会社のMC Machinery Systems Indiaブースでは、三菱電機製の放電加工機シリーズなどが紹介されていた。現在、自動車部品加工などのジョブショップ向け比率が8割超とし、「近年は恒温室を持って放電加工を行うような精密なお客さまも増えてきた」(KAZUHIKO MURAO MC Machinery Systems CEO&マネージングダイレクター)という。今後は、ワイヤカット加工機に使うワイヤなどの価格上昇やルピー安などが懸念される中だが、「半導体関連の加工など会場でも関心が高まっている。中長期で伸びしろしかない市場」(同)とし、インド全土での開拓を進める。

スマホ・航空機需要拡大 工具・測定機器勢に商機

 金型の品質や加工効率の決め手となる工具領域や測定機器においても、日系企業の積極的な開拓姿勢がみられた。

 ミスミは60万点以上の開発してきた金型関連部品や機器を紹介し、高精度プレスおよび金型部品でのサプライチェーンで、迅速なデリバリー体制を築くなど、現地企業からのブランドも向上している。会場では、プレス金型の圧力源となるガススプリングなどを展示に力を入れ、多くの来場者でにぎわっていた。

 日進工具は、インド市場でここ数年、継続的に10%以上の成長を維持している。「インドにおける電子機器産業の成長や、中国からの工場移転の本格化を背景に、精度要求が高まっている」(岩田大助日進工具海外営業部部長)のが背景にあるという。

 従来は自動車関連を中心に、インド北部と南部で比較的均等に事業を展開してきたが、近年は南部地域でスマートフォン関連需要が拡大。同地域の比重が高まる傾向にある。
高精度加工が可能な工具への需要が高まっている(日進工業)

高精度加工が可能な工具への需要が高まっている(日進工業)

 ダイジェット工業は、マハラーシュトラ州ターネ市に切削工具の販売子会社を設立し、10月から営業を開始する。これまではムンバイの駐在員事務所を拠点に、販売店とともに現地顧客を地道に開拓してきた。

 会場を視察していた生悦住歩社長は、「インド市場の長期的なポテンシャルは大きく、今後の成長に期待している。引き続きローカル企業の開拓を着実に進めていきたい」と語る。現在のインド向け販売規模は中国向けの半分未満だが、将来的には同等規模まで拡大することを目指しているという。

 三菱マテリアルは、グループ会社のMOLDINOなどと共同でブースを展開した。インドではベンガルール、チェンナイ、アーメダバード、プネ、グルガオンの5拠点を通じてグループ製品の販売を強化しているほか、マハラーシュトラ州州オーランガバードの生産拠点で工具を製造している。販売比率は代理店経由が約7割、直販が約3割だという。

 需要は自動車、航空機、金型関連向けを中心に幅広く、「これだけ旺盛な需要がバランスよく存在している市場は、世界的中を見てもインドならでは」(Shinataro Iharaエグゼクティブ・オフィサー&ダイレクター)と、同国市場の成長性を語る。一方で、「人件費も毎年10%程度上昇していく市場であり、着実に売り上げを伸ばしていく必要がある」(同)と強調した。
ダイジェット工業の生悦住歩社長(左)

ダイジェット工業の生悦住歩社長(左)

三菱マテリアルズインディアのShinataro Iharaエグゼクティブ・オフィサー&ダイレクター(右)と、MOLDINOの新井晴彦海外営業部部長補佐

三菱マテリアルズインディアのShinataro Iharaエグゼクティブ・オフィサー&ダイレクター(右)と、MOLDINOの新井晴彦海外営業部部長補佐

 ミツトヨは、インド市場については測定工具と測定機器で売り上げ100億円規模に育っているという。特にインジケーターやシリンダーゲージなどの測定工具分野ではインドがグループ内トップクラスの実績を上げているという。競合他社と比較してサービスエンジニアの迅速な対応とサポートを提供していることを強みに、測定の基礎やトレンドなども学べる「計測学院」も展開する。現地での品質要求の高度化を追い風にしながら、インド製造業への浸透をはかっている。
ミツトヨは新製品の卓上設置型画像測定器「スマートビジョンシステム」などを展示。ミツトヨサウスアジアのYuto Inoueバイスプレジデント(左)と、片山貴司V.P.-Coordination JAPAN

ミツトヨは新製品の卓上設置型画像測定器「スマートビジョンシステム」などを展示。ミツトヨサウスアジアのYuto Inoueバイスプレジデント(左)と、片山貴司V.P.-Coordination JAPAN

中国・欧州材から切り替えも 日本材への期待高まる

 金型用鋼材や工具鋼を提供する材料メーカーにとってもインドビジネがス存在感を見せる中、日系2社が出展し、力が入っていた。

 プロテリアルは、顧客に一度納品した鋼材の熱処理をデリーで請け負うサービスを今秋から開始する。これまでチェンナイの代理店では実施していたが、現地で高まる金型用鋼材ニーズと熱処理の要望を受け、材料と熱処理を組み合わせて、付加価値体験を提供する。
プロテリアルは日本風デザインの大型ブースを展開

プロテリアルは日本風デザインの大型ブースを展開

 大同特殊鋼の子会社、DAIDO D.M.S.INDIAはダイカスト金型向けが売上の7~8割を占める。過酷な使用条件で使用されるダイカストは高品質材への需要が強く、近年は従来の日系自動車メーカー向けから、マヒンドラやタタ、バジャージなどインドの四輪・二輪関連の受注が拡大しているという。金型プレイヤーが急増する中、価格・支払条件・寿命保証での競争が激化しており、品質とコスト面などのバランスで、中国や欧州材から日本材に転換する動きをとらえて、受注獲得に力を入れている。
DAIDO D.M.S.INDIAの山下恭弘ゼネラル・マネジャー(中)

DAIDO D.M.S.INDIAの山下恭弘ゼネラル・マネジャー(中)

 後編では、中堅・中小企業が参加して出展した「ジャパン・パビリオン」の様子や日刊工業新聞社が現地で初めて発行したインド製造業向け冊子について紹介する。

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