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展示会

2026.07.10

ASEAN最大級の製造業展示会「Manufacturing Expo 2026」が開催

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 東南アジア諸国連合(ASEAN)最大級の製造業展示会「Manufacturing Expo 2026」が6月17日~20日の4日間、タイ・バンコク国際展示場(BITEC)で開催された。プラスチック、金型、自動車部品、ロボット・自動化、電子機器、表面処理、工場設備・施設管理の7分野で構成され、2026年は「Innovations that Define All Industries(すべての産業を再定義するイノベーション)」をテーマに開催。30カ国・地域から2,000を超えるブランドが出展し、4日間で80,009人が来場した(図1)。(日刊工業新聞社 広告部 吉良栄実子)
図1 会場入り口モニュメント-会期中の人気撮影スポット

図1 会場入り口モニュメント-会期中の人気撮影スポット

 開会式では、主催者のRX Tradexマネージングディレクター、ワラポーン・タムジャリー氏(図2右)が、製造業ではコスト競争だけでなく、変化への対応力や新たな価値を創出するイノベーションが競争力の鍵になると強調。タイをASEANの次世代産業拠点として発展させる考えを示した。また、タイ自動車研究所(TAI)所長のクリアンサック・ウォンプラームラット博士(図2左)は、併催した「Automotive Summit 2026」で、自動運転やコネクテッドカー、AI、スマートマニュファクチャリング、脱炭素などをテーマに、タイの自動車産業が次世代モビリティへの対応を進める重要性を訴えた。

 ワラウット・シラパアーチャー工業大臣(図2中央)は基調講演で、タイはASEAN最大、世界11位の自動車生産拠点として、既存の輸出型生産モデルから、EVに加え水素や自動運転など次世代技術を取り込んだ次世代型の製造拠点への転換期にあると指摘した。さらに、製造からリサイクルまでを見据えたライフサイクル管理やESGへの対応を推進するとともに、国内メーカーが公平な競争環境で事業を展開できるよう政府として支援する方針を示した。
図2 オープニングセレモニー 開会のカウントダウンを行う3者

図2 オープニングセレモニー 開会のカウントダウンを行う3者

 ソディックは、タイ市場で初となるマシニングセンター「UX450L」を展示した。主力のワイヤーカット放電加工機は年間を通じて安定した需要があり、引き続きシェアの維持・拡大を目指す。タイ市場は厳しい環境が続く一方、現地企業や中華系企業による内製化の動きを背景に、新規顧客の開拓が進んでいる。一方、マシニングセンターはタイ市場での認知向上と販売拡大が課題で、今後はUX450LのPRを強化し、マシニング分野での事業拡大を目指す(図3)。
図3 タイ市場初展示の「UX450L」

図3 タイ市場初展示の「UX450L」

 タイの切削工具・工作機械販売商社Factory Maxは、日進工具や田野井製作所など日本メーカーの切削工具を展示した。日進工具はサーメット製エンドミル「CHR430R」を紹介。同一の切削条件、加工時間55秒で超硬工具よりも良好な面品位を実現し、後工程の研磨時間短縮に貢献することを訴求した(図4)。

 また、田野井製作所はタップ「SL-TFシリーズ」を展示。ねじ立て後に山頂部をカットする独自形状により、ねじ山の欠けや不完全ねじを抑制し、内径の同心度向上や品質の安定化に貢献する製品として提案した(図5)。
図4 日進工具 3月発売の新製品「CHR430R」

図4 日進工具 3月発売の新製品「CHR430R」

図5 田野井製作所のタップ「SL-TFシリーズ」

図5 田野井製作所のタップ「SL-TFシリーズ」

 タキゲン製造は、産業用ハンドルや錠前、キーシステムを展示した。同社は2013年にタイ拠点を開設し、約8,000~1万点の製品ラインアップをタイでも取り扱う。タイでは食品加工産業への設備投資が活発で、耐食性や衛生性が求められることから、ステンレス製機構部品の需要が堅調という。一方、工場や設備のセキュリティ需要の高まりを背景に、防犯性に優れたキーシステム製品の提案も強化。自動車関連市場も前年を上回る動きがみられるとして、幅広い製造業への拡販を進める(図6)。
図6 TAKIGENの防犯性に優れたキーシステム製品

図6 TAKIGENの防犯性に優れたキーシステム製品

 倉敷化工は、精密測定機器や医療機器向けのアクティブ除振装置を展示した。同製品は、床から伝わる微細な振動を内部の空気機構と電子制御により打ち消し、高精度な測定や加工環境を実現する。タイでは日系自動車メーカー向けが事業の中心だが、中国メーカーの台頭など市場環境の変化も意識している。こうした中、自動車分野で培った防振・除振技術を生かし、精密機器や産業機械など高付加価値分野への提案を強化。用途拡大を進めることで、新たな需要の開拓につなげていく考えだ。

 山洋電気は、冷却ファン、サーボモーター、UPS(無停電電源装置)の主力製品を展示した。中でもUPSは、ハイブリッド方式による高効率運転と安定した電力供給を特長とし、停電や電力品質の変動が課題となるタイをはじめ東南アジアで需要が拡大している製品として紹介。タイ国内で販売するために必要なタイ工業規格(TIS:Thai Industrial Standards)認証を取得し、現地ニーズに対応している。また、小型サーボモーターは工作機械やロボット、半導体製造装置向けに提案し、省スペース化や高精度化の要求に応える。データセンター向けでは海外案件を通じた採用も進んでおり、現地市場の特性に合わせた製品展開を強化している(図7)。
図7 山洋電気は総合的なソリューション提案を行う

図7 山洋電気は総合的なソリューション提案を行う

 パトライトは、工場向けの表示灯や回転灯、音声合成報知器などの信号機器を紹介した。タイでは日系自動車関連の設備投資が減速する一方、製造業全体では顧客層や投資の主体が多様化しているという。同社では、従来の主力である日系企業向けの提案に加え、PCB(プリント基板)関連や半導体産業など成長が見込まれる分野への営業を強化。さらに、日系以外の企業にも提案の幅を広げることで、新たな需要の獲得を目指す考えを示した(図8)。
図8 パトライトは工場向け主力信号機器を展示

図8 パトライトは工場向け主力信号機器を展示

 マグニジャパンは、高耐食表面処理「マグニコーティング」を紹介した。完全クロムフリーの亜鉛フレークコーティングで、ベースコートとトップコートによる2層複合皮膜を採用。ねじやばね、ボルトなどの締結部品を中心に、めっきに代わる防錆技術として提案した。塩水噴霧試験で840~1500時間の耐食性能を有し、耐熱性や高硬度など複数の性能を兼ね備える。タイでは国外向け車両を生産する自動車メーカー向けのほか、ソーラーパネルや電気設備向けの需要にも対応する。自動車分野では、防錆基準の変更に伴い、新たな基準に対応した高耐食表面処理の提案を進める(図9)。
図9 高耐食表面処理「マグニコーティング」を紹介

図9 高耐食表面処理「マグニコーティング」を紹介

 CCSは、画像処理用LED照明を活用した外観検査ソリューションを紹介した。ブースでは、4方向から照射した光を合成して傷や凹凸を鮮明に可視化する照明技術を展示。セイコーエプソンのロボットや画像処理システムと組み合わせた基板検査に加え、富士フイルムの圧力・熱分布測定フィルム「THERMOSCALE」なども紹介し、電子部品製造工程における品質管理の高度化を提案した。市場では中国メーカーとの競争激化が課題となる中、価格競争ではなく、照明技術を核としたソリューション提案や技術サポートの強化で差別化を図る考えを示した(図10)。
図10 LED照明を活用した外観検査ソリューションの提案

図10 LED照明を活用した外観検査ソリューションの提案

 YKTは、電子部品実装工程向け周辺機器「SMDデジタルラック(POLARISシリーズ)」を展示した。リール状の電子部品を一元管理し、独自ソフトと連携することで保管位置や在庫を可視化。生産機種に応じて必要部品をLEDでナビゲートし、ピッキング作業の効率化とミス削減を実現する。フリーロケーション入庫や先入先出にも対応し、在庫管理の最適化と部品準備時間の短縮を図ることで、電子実装現場の生産性向上に貢献するソリューションとして提案した(図11)。
図11 生産性向上に貢献する「SMDデジタルラック(POLARISシリーズ)」

図11 生産性向上に貢献する「SMDデジタルラック(POLARISシリーズ)」

●会場レポート総括
 タイの製造業は、従来の自動車中心の量産型構造から、EV・半導体・電子機器を軸とした次世代産業への転換期にある。同時に、内製化の進展や中国系企業の台頭により競争環境は構造的に変化しており、設備単体ではなく工程全体の最適化や生産性向上が一層重視されている。

 こうした中、日本企業に求められる役割は、個別の製品提案にとどまらず、加工・検査・自動化・保全・省エネといった要素を組み合わせた総合的な課題解決力にある。さらに、その導入効果を投資回収まで含めて具体的に示すとともに、現場オペレーションの定着を支える人材育成まで踏み込むことで、単なる設備供給を超えた付加価値提供が競争力の源泉となっている。
5日間通った最寄り駅Bang Na駅側から見たBITEC

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