金型の内製で造形へのこだわりを追求　モデラーの想像を超える商品を生み出す

プラモデルはやはり実物に忠実に似せる必要があります。自動車の模型だと実物をスキャンするケースも多いのですが、実物がないものや防衛機密などで図面がなかったりスキャンさせてもらえなかったりするものに形を寄せていくのが難しいですよね。

写真からできるだけ追っていくしかないですね。さまざまな角度から写真をたくさん撮って、そこから「こう見えるよね」と相談しながらR などもとって、3D プリンタで何回か造形して、「何か違うよね」ということを繰り返します。昔は木型でやっていました。ただ、実際に金型を削っていくとCAD でも3D プリンタでもわからなかったうねりが出てくることもあって、その場合は手作業で直します。手で直すとパネルラインの彫刻が消えるので、そこをまた手で彫る。最後はやはり人の手ですね。

そうですね。鳥山さんはもともと知り合いだったというのもありました。宮崎さんも直接行って話をしたら当社の技術やモノづくりへの思いを認めてくれたのか、「好きにやって」と言ってもらえました。マシニングセンタ（MC）の模型は、「そういうのをつくったらおもしろいかな」と思ってつくりました。リーマン・ショックのときでしたが工作機械メーカーの方に多く買ってもらえました。この流れで言えば、私はぜひホンダとコラボしたい。例えば、まずすごくかっこいいデザインの自動車のプラモデルを一緒につくってファンの人に注目してもらって、それから「これが実車になります」という展開はどうですか。マニュアルでコンパクト、2 シーターのスポーツカーでVTECも搭載して。ぜひやりましょうよ。いいなあ（笑）。

当社では牧野フライス製作所の加工機が多いですね。特にMC はずっと牧野フライス製作所。とはいえ、機械による仕上がりの差は正直あまりないと思います。どのメーカーの加工機でも削ったものを見るとどれも素晴らしい。使っている加工機のバージョンアップについては、そのときの売上げによって判断しています。大きい企業であれば計画的に設備投資を考えることもできますが、当社のような10 名程度の企業となると、その都度売上げと資金計画を見比べながらやっていくという感じです。ただ、より良いモノをつくるという点では、やっぱり新しい機械は入れていかないとダメだろうと思います。

現在当社では工場移転を検討しています。今の工場ではMC3 台でいっぱいだし、台数を増やそうにもスペースがありませんから。2025 年内には移転しようと思っていて、現在の生産現場には設計部門だけを残します。今から2 年ほど前に、製品の袋詰め・箱詰め作業や出荷を行う部門を別の場所に移転したのですが、次はいよいよ生産現場の移転です。それなりに費用はかかりますが、将来的に加工機を増やすためのスペースがどうしてもほしいので仕方ありません。

そうですね、ここ5 年は順調に売上げを伸ばしています。当社はメーカーなので年間売上計画をつくりやすいんです。この商品をいつ出して、目標売上げがどのくらいというのがわかるから、売上計画も組みやすいですね。そういう形でこれから5 年後までには目標売上金額を40 ％ほど増やさなければと思っています。そうしないと若手人材も増えてくれませんから。