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工場管理 連載「イチからわかる工場物流」

2026.06.16

第4回 サプライチェーン機能と物流

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Kein物流改善研究所 仙石 惠一

せんごく けいいち:同研究所 代表社員。日産自動車にて物流IEとして新工場・新ラインの物流設計業務、その他輸送や構内物流、荷姿の効率化に携わる
 物流にロスがあると指摘する管理者がいるが、実はそのロスはサプライチェーンの他の機能によってもたらされていることを理解している人は少ない(図1)。工場物流改善を進めたかったらこの現象を認識し、それを潰していく活動が求められる。
図1 製造業のサプライチェーン

図1 製造業のサプライチェーン

購買管理と物流との関係とは

 サプライチェーンの上流に位置づけられる購買。メーカーでは材料費が大きなコストを占めるために、購買はコストコントロールの点でも重要な機能だといえる。購買部門の大きなタスクは、原価低減活動を通した材料費削減だ。だから、購買部門の担当者は必死になってそのネタ探しをする。会社にとって貢献できる活動ではあるものの、物流との関係では注意が必要だ。

 購買部門では市況を見て購入の判断をすることが多い。必要なものが安い時期に、必要数以上の量を調達することがある。また調達困難な材料についても、できれば将来の安心のために多めに調達しておきたいという心理が働く。しかしその結果として「使わない在庫」が増えることになる。これが実態である。

 購買担当者は調達して終わりかもしれない。しかし、その在庫を物理的に保管するのは物流部門の仕事になる。工場内の物流エリアもふんだんに確保してあるわけではないので、一時的に保管場所不足につながる。物流担当者は正規置場以外に在庫保管場所を探し回り、分散置きを始める。最悪工場内に置ききれずに、外部倉庫保管を行うこともある。結果的にかかった物流コストで、市況分の購買メリットが吹き飛んでしまうこともある。この現象をきちんとジャッジできているだろうか。

生産管理と物流との関係とは

 工場の主役である製造部門の効率化は最大限にしたいもの。なぜなら、工場の付加価値を生むのは製造部門であるからだ。ここに発生するロスは徹底的に排除したい。メーカーサプライチェーンでは、最重要機能が製造部門であることに疑う余地はない。

 一方で、製造部門は常にSQDC の向上、特にコストダウンのプレッシャーが大きい。だから製造現場の末端までこの思想が徹底されている。その結果、製造作業者の意思で生産計画を無視したものづくりが行われることがある。それが先行生産だ。生産計画で本日500 個、明日も500 個と毎日生産指示が出る製品について、本日分と明日分をまとめて生産してしまおうというルール違反が行われることがある。材料と工数があればできてしまうことであり、製造現場としては遅れるわけでもないので大きな問題にならないことが一般的だろう。しかし、その行為が物流に影響を与えていることを知る製造管理者は少ないかもしれない。

 先行生産の結果として、完成品を格納する容器や保管場所が不足する現象が発生する。容器が不足するのは物流の責任だといわれ、臨時荷姿にしたうえで物流が詰め替えたり、先の購買と同様のエリア不足対策を実施したりしている。

販売管理と物流との関係とは

 お客様に製品を購入してもらえるおかげで会社が成り立っていることは事実だ。だから営業部門は必死になってお客様を開拓し、より多くの製品を買ってもらえるように日々努力をしている。相対的にではあるが、営業活動はコスト削減活動より難しいといわれるがそれも間違ってはいない。だからこそ、工場としても極力営業の要望には応えたいものだ。

 サプライチェーンの下流に位置する販売管理では、一般的に製品在庫からお客様のオーダー数分だけ出庫して配送することが多い。お客様からオーダーを受け付けるタイミングも契約上決まっており、たとえば午前11 時まで受け付けた分は当日出荷するという約束をしているケースが多い。受注締め時刻の設定だ。このタイミングに合わせて構内物流が出荷荷揃えを行い、配送トラックを手配する。配送トラックが外注であればその物流会社に発注し、トラックを回してもらう。

 一方で、営業がこの受注締め時刻を守らずにその時刻を過ぎてもお客様から受注を受け付けることが見受けられる。その結果、本来であれば12 時に出発することになっているトラックを待たせることにつながっている。構内物流も次の仕事をするタイミングにまだ追加受注分の出庫作業を実施しなければならないことも発生する。

 いかがだろうか。サプライチェーンの各機能が物流に影響を与えていることをご理解いただけたと思う(図2)。物流改善を進めるに当たり、物流ロスを発生させる各機能を変えていくことが必要なのだ。
図2 サプライチェーンと物流の関わり

図2 サプライチェーンと物流の関わり

今回のまとめ
①市況が安いからといって必要以上にものを購入すると在庫スペースが不足し、物流工数増や外部倉庫費発生につながる
②段取りが面倒だからといって明日以降の生産計画分もまとめてつくると、容器や在庫スペース不足につながる
③より多くの受注が欲しいからといって受注締め時刻を守らないと、出荷トラックを待たせるといった物流ロスにつながる
④これらを改善するためにサプライチェーン各機能にこの事実を認識させ、会社全体で物流改善に寄与することも必要だ

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