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プレス技術 連載「新人技術者のためのものづくり現場の基礎知識」

2026.06.23

第4回 システムの変化に対応できるスキルとは?

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㈱経営学校 左近祥夫

さこん まさお:代表。1948 年福井県生まれ。大学卒業後、1973 年に中小製造業に就職。経営コンサルタント会社に転職後は標準原価による指導を経験。その後、知人とともに設立したコンサル会社を経て、2016 年に㈱経営学校を設立。
 今回は、スキルを“広い立場”で考えてみましょう。広い立場とはシステムのことです。

会社を人体に例えると…

 会社には社長がいます。営業、技術、製造などの部門があります。社長および部門には役割があります。それぞれの役割が噛み合うことによって、注文を受け、材料が製品になり、代金が回収され、あなたの賃金になります。

 この「噛み合う」様子をシステムということにしましょう。システムは人間の体に似ています(図1)。
図1 人体と対比した経営

図1 人体と対比した経営

 人間には胴があり、その上に頭があり、左右に腕があり、下に足がついています。胴を想像しましょう。胴には2 つの役割があります。第一に口から食物が入り、消化され、肛門から排出されます。第二に心臓から全身に血液が押し出され、戻ってきます。次に腕と足の役割を見てみましょう。体を移動させ、外のさまざまなもの(電車、機械、パソコンなど)と接触し、自分や家族のために食料品などをもち運びます。最後に頭の役割です。頭はどのように行動したら安全に、幸せに、豊かになるかを考えます。

 会社はどうでしょうか。胴は工場と似ています。口から食物が入り(材料が入り)、消化され(加工され)、肛門から排出され(完成した製品が運ばれていき)ます。心臓から血液が押し出され(受注と生産指示の情報が出され)、戻ってきます(出荷された情報が経理に伝えられます)。腕と足は営業・購買に似ています。体を移動させ(発注者・仕入先へ行き)、外のものと接触し(発注者の購買・設計を訪問し、あるいは仕入先の社長と会話し)、もち運びます(注文を受けて、材料を運びます)。

 人間の体は、いつもは正常に働きます。例えば血液は肺で酸素を取り入れ、全身に運び、細胞に活力を与えます。外部の状況が変われば、例えば免疫力を高めるなど、自らの体を調整します。

 会社のシステムも、会社の外が変化するとその影響を受けます。影響を受けてもシステムが噛み合うように維持するには、働く人が調整する必要があります。

システムが変われば、スキルも変わる

 システムは会社の外からの影響によって変わります。変化には小さなレベルから大きなレベルまであります。

 小さなレベルでは、例えば昼の弁当を考えてみましょう。今まで弁当屋A 社の弁当をとっており、朝9 時30 分までに注文表に〇×をつけていたとします。これが地域給食センターの給食に変わったため、朝9 時までに注文表に〇×をつけることになった、などの変化があり得ます。このレベルでは、地域給食センターの窓口を務める総務係員を除き、スキルは関係しないでしょう。

 一方で大きなレベルでの変化も起きています。あなたの会社が大手メーカーの受注会社である場合、発注会社との関係です。発注会社のずっと先にいるのは、例えば自動車ではトヨタやホンダなどの完成車メーカーでしょうし、住宅ではLIXILのような住宅設備機器メーカー、セキスイハイムのようなハウスメーカーでしょう。実は現在、それら大企業と消費者との関係が変わってきたため、大企業に連なる受注会社のシステムが変わりつつあります。この後は図2 を見ながら読んでください。
図2 生産期間の短縮

図2 生産期間の短縮

 図2 の上下は過去と現在に分かれており、左右は営業、技術、製造に分かれています。過去には、営業担当者が発注会社と折衝し、注文を受け、その後、技術担当者が生産図面を作成し、作業標準・検査表などをつくり、製造員を訓練し、それが終わった後、製造部門はものをつくっていました。一方、現在では営業担当者が発注者と折衝中であるにもかかわらず、技術担当者は製造の準備を行い、それが完全に終わらないうちに製造を開始します。

 過去と現在とを比較すると、過去の仕事は区切りがはっきりしていたし、余裕もありました。ところが、現在は注文票が届く前に生産準備をする、生産準備が終わらないうちに製造にとりかかるなど、あぶなっかしい状況であると言えます。

 こうした現在のシステムに対応するにはスキルが必要になります。技術担当者を例にして説明すると、技術担当者は営業担当者と連れ立って発注会社へ行くことになるので、発注会社の購買・技術担当者との人間関係の構築、発注会社において自社の技術を述べて要望を伝えるための技術のマニュアル化、発注会社で発言したことを自社で実現する責任などが求められ、これらをクリアするスキルが必要になります。

考えを言葉にできるようになろう

 入社後はまず、上司から言われたことをそのとおりに実施します。6 カ月、あるいは1 年が経過する頃、上司は「君はどう思う?」と聞いてくるでしょう。上司の質問に、あなたの考えること(「この材料は重くて運びづらい」、「〇〇を改善したら1 工数省けるのでは」など)を話せるようになりましょう。それが、システムの変化に応じたスキルを身に付けるための第一歩になります。

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