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機械設計 連載「教えてテルえもん!3次元ツール習得への道」

2026.06.30

第29回 3Dプリンタの7つの造形方式について

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いわてデジタルエンジニア育成センター 小原 照記

おばら てるき:いわてデジタルエンジニア育成センター長。自動車内装部品の設計会社を退職後、岩手県北上市を活動の拠点に10年以上、3次元デジタル技術関連の人材育成、企業支援に努め、学生から求職者、企業まで幅広く指導し、3次元から始めるDX推進活動を続けている。同センター長のほか、3次元設計能力検定協会の理事も務める。

はじめに 

 3Dプリンタとは、基本的に材料を積層しながら造形物をつくり上げていく機器である。その造形方式には大きく2つがある(図1)。それぞれ、噛み砕いてわかりやすく説明する。1 つは、ソフトクリームをつくるようにノズルから出てくる材料を積み重ねていく方式である。もう1 つは、粉や液体などの材料にレーザー光などを当てて固めて積み重ねていく方式である。
図1 大きく2つに分けられる3Dプリンタの造形方式

図1 大きく2つに分けられる3Dプリンタの造形方式

 さらに細かく造形方式を分類すると、図2 のように7種類に分けられる。今回は、この7種類について詳しく解説していく。
図1 大きく2つに分けられる3Dプリンタの造形方式
図2 3Dプリンタの7 つの造形方式

図2 3Dプリンタの7 つの造形方式

7つの造形方式について

①材料押出(MEX:Material Extrusion) 

 熱溶解積層法、FDM、FFFなどと呼ばれることもある。造形材料をノズルから押し出すことで立体モデルを積層造形していく方式である。造形テーブルとノズルの相対位置を変化させ、断面形状を作製し、造形物を積層していく。ノズルを複数搭載する装置もある。一般的には熱可塑性樹脂をノズル手前に設置したヒータで溶かす機種が多い。 

 主な材料として、ABS樹脂やPLA樹脂などのフィラメントがある。射出成形に似た材料を用いた造形品を製作することができる。積層の断層が目立ちやすく階段状になるデメリットがあるが、安価な機器も多くあり、導入コスト、運用コストなどを抑えることができ、ほかの造形方式と比較して導入しやすく、扱いやすいというメリットがある。造形品は積層方向に対して垂直方向からの強度が低い傾向にある。

②液槽光重合(VPP:Vat Photopolymerization) 

 光造形やSLA、DLPなどと呼ばれることもある。光硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂)に光を当て、選択的に硬化させて積層造形していく方式である。タンクに貯めた樹脂の液面に上から光を照射する「自由液面法」や、タンクの底のガラス板など透明な面を通して光を当てる「規制液面法」などがある。断面形状部分だけに光を当てる方法としては、レーザー光をガルバノミラーなどで走査する方法やプロジェクタなどで断面形状を一括露光するタイプなどがある。 

 メリットとして、表面の仕上がりが比較的滑らかに出来上がるが、後処理として洗浄や2 次硬化などが必要であり、手間がかかるというデメリットがある。また、造形方式の仕組みとして、モデル材とサポート材が同じ材質になるため、サポートの除去が困難になってしまうこともある。太陽光などでの劣化や温度に弱いのが一般的であったが、最近では、改善された材料が開発・提供されてきている。

③材料噴射(MJT:Material Jetting) 

 インクジェット方式などと呼ばれることもある。液状の光硬化性樹脂やワックスなどを複数のノズルから吐出し、紫外線の照射や加熱、冷却などの処理を加え硬化させて積層造形する方式である。サポート材を立体モデルとは別の材料とする機種が多い。着色した材料を同じ位置に吐出し、混ぜ合わせることでフルカラーでの造形が可能である。同じように、異なる物性の材料を混ぜ合わせて新たな物性とすることができるものもある。 

 多くの材料噴射の機種では、1 層ごとの厚みを薄く造形でき、表面が滑らかにできるのが特徴であるが、サポート材が付着しているところは光沢が少ない(マット)造形品になる。液体の材料を上から下に吐出するため、サポート材がアンダーカットになる面全体に必要になる(図3)。ほかの造形方式と比べて材料の使用量が多くなり、材料費がかかり、メンテナンス費用などのコストがかかる傾向にある。ほかの造形方式にも共通して言えることだが、積層方向によって造形時間や品質、コストを改善できる場合がある。
図3  造形方式「材料噴射」での積層方向とサポート材の関係のイメージ

図3  造形方式「材料噴射」での積層方向とサポート材の関係のイメージ

④結合剤噴射(BJT:Binder Jetting) 

 バインダージェット、CJPなどと呼ばれることもある。石膏や樹脂、砂、セラミックスなどの粉末に対してバインダー(接着剤)を選択的にノズルから吐出して固めて積層造形する方式である。着色したバインダーを使うことでカラー化が可能な機種もある。強度が足りない場合などには、造形後に樹脂材料は含侵処理、金属材料は焼結処理などの後処理が必要な場合がある。造形するテーブルには、粉末が敷き詰められているため、粉末がサポート材の役割を果たしてくれる。材料が粉末のため造形品の表面が粗くザラザラした仕上がりになってしまう傾向にある。

⑤粉末床溶融結合(PBF:Powder Bed Fusion) 

 粉末焼結、SLS、SLMなどと呼ばれることもある。平らに敷き詰められた粉末に対して、レーザービームや電子ビームを照射することで断面形状を1層ずつ溶融結合させ積層造形する方式である。材料の粉末は金属もしくは樹脂を使う装置が多い。造形材料そのものを溶融させず、樹脂コーティングした粉末や添加した樹脂を溶融させる装置もある。基本的には、単一の材料を使った造形となるが、積層方向に材料を変化させることも原理的に可能である。 

 敷き詰められた粉末がサポート材の役割を果たしてくれるが、反りなどの造形不具合を発生させないためにサポート材を設定することがある。材料が粉末のため、造形品の表面が粗くザラザラした仕上がりになってしまう傾向にある。必要に応じて機械加工や熱処理などの2次加工や後処理を行う。

⑥シート積層(SHL:Sheet Lamination) 

 ラミネート積層、LOMなどと呼ばれることもある。シート材を断面形状で切断し、隣接する層を接合(接着や溶接)しながら積層造形する方式である。材料には普通紙や金属箔などをシート材にして実用化した装置がある。切断や接合には、さまざまな方法が考えられ、普通紙を使う装置では、紙をフルカラー印刷したものを積層してフルカラーの立体モデルを造形できるものがある。テープ状の材料を使うことで、断面形状内で異なる材料とすることも原理的に可能である。 

 デメリットとして、造形時に切断されて使用しなかった部分のシート材が大量の廃棄物となってしまう。材料が紙の場合には、吸湿による寸法変化や形状崩れが起きてしまう。

⑦ 指向性エネルギー堆積(DED:DirectedEnergy Deposition) 

 レーザーメタルデポジション、LMD、DMPなどと呼ばれることもある。レーザービームを照射した位置に、粉末材料を吹き付けることで肉盛溶接する技術(レーザークラッディング)をベースに積層造形する方式である。レーザー照射と粉末材料の吐出を行う加工ヘッドの位置を制御することで積層する。原理上は、複数の材料が混在した立体モデルを一体造形することが可能である。粉末材料以外にも溶接用ワイヤを利用する方式もある。 

 金属3Dプリンタのほかの方式に比べると造形速度は速く、造形時間を短縮できるのは大きなメリットである。ただし、微細な造形は不得意な傾向にある。
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