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機械設計 連載「B to B向け機械設計のポイント」

2026.04.21

第7回 量産検証で大切なこと ~関係部署との協力体制を構築する~

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技術力向上カウンセリングオフィス 布施 裕児

開発計画書をベースに協力体制を構築するために大切なこと

 1.トップの承認を得る
 ミッションを考えた場合、まだ、量産に関しては何も結果が出ていない段階で開発中止とはならないのが通例である。懸念点、反論に対していかに対応していくかといったことよりも、どうやってミッションを現実化していくかといった観点で話を持っていくことが大切になる。そのためにはトップの承認、具体的には最終的な量産移管審査の決裁者となるべき方の了解はもらっておくことが前提となる。

 2 .相手が何を考えているのかを理解することに集中する 
 社内とはいえ、部署や役職が違えば見る角度や視点が異なる。そのため、懸念点や反論が出た場合は、どこからそのような考えが出てくるのかよく聞くことが非常に大切になる。その際に筆者が気をつけていることは以下の4点である。
 ① 「今日はアクションアイテムは決めない。相手の言うことを理解するのに集中する」と決めて話を聞く
 ② 相手にも、「いろいろ考えたいからまずは話を聞かせて」と初めに言っておく
 ③ 事前ヒアリングができるのは基本1 回だけと思ってよく聞く 
 ④ 「そうゆうこと」で片づけない。相手の発言を要約して真意を確認する

 「何か結論を得なければ」、「アクションアイテムにつなげなければ」と思うと、聞くことに集中できない。また、同じ話は何度もできない。「この間、話しましたよね」となるだけである。話ができるのは1 回だけと思って真剣に話を聞くべきである。また、懸念点、反論が出た場合は、それに対してこう反論しようと考えながら話を聞きがちである。まずは、懸念点や反論が出た場合は、「こちらからは反論しない」と心に決めておくことが大切になる。 

 議論は、相手との合意点、相違点、当方との考えが違う理由、その根拠(事実)、背景、思いを整理し、交渉内容を考えてから行うことが大切である。 

 相手の考えていることをよく理解するには、聞くだけでなく、自分と違う考えを提示されたら真意を確認する必要がある。相手との関係性にもよるであろうが、「もう少し詳しく教えて?」などと聞くのがよい。相手が「詳しくって何を話せば?」となったら、相手の言っていることを要約して「○○って理解したけど合ってる?」と聞く。「そういうことか」と勝手に納得しないことが大切である。

 直接、「そう思うのはどうして?」と聞くのもよい。そうすると相手は反応してくれるので理解が深まる。理解が深まるとは、合意点と意見の相違点が明確になることである。相違点に関して、相手がどうしてそう思うのか、といった相手の考えがよくわかるということである。 

 話を聞いていると議論に持ち込まれることがよくある。その場合は最低限、自分の考えは明確に相手に伝えた方がよい。そのうえで、さらに議論になりそうであれば、「私もどうすればよいか、ほかの人の意見も聞いて考えたいので改めて協議させてほしい」と言えば通常そこで話は終わる。

 3.各部署で判断すべきことは尊重する 
 量産性に関しては、各部署で判断すべきことがある。設計開発から見れば、そこは各部署で検討してほしいと思うような内容であっても、各部署の意向を尊重することが大切である。例えば、実際に製造をするにあたっての管理問題など、設計から見れば、「そのくらいの問題は製造で検討すべきでは」と思うことは多々ある。初めから「その程度は製造で考えてほしい」と伝えても、筆者の経験上、受け入れられることはまずない。「設計開発は製造のことは何もわかっていない」、あるいは「自分たちのことしか考えない」と言われて終わりである。一緒に考えていこうという姿勢で臨むことが大切になる。協力体制、信頼関係が構築できれば自然と解決していく。

 4.交渉内容を考える 
 図4 に交渉内容を考えるうえで大切と思うポイントをまとめて示す。個々の交渉内容を考えるには、まず状況を整理する必要がある。相手の言い分から相違事項を明確にすることが大切になる。そのためには合意できている事項も明確でなければならない。状況の整理が終わったら、相違点に対して相手が主張する根拠となる事実や理由を再確認することが大切である。反論の根拠となっている理由や事実に矛盾があればそれを材料に説明できる。
図4 交渉内容を考える

図4 交渉内容を考える

 特に技術的な観点で否定的な意見を示される場合、相手が主張している内容が経験や考えに基づいていて、事実確認が難しい場合も多々ある。その場合、基本設計/基礎開発で得られた結果をもとに議論していくしかない。そのうえで修正すべきことや追加で確認しなければいけないことがあればそれらを実施すればよい。同時に、実際に検証すべきものはどんどん検証して結果を出していくことも大切である。 

 こういった議論に耐え得るようにするために、開発内部のデザインレビューをしっかり行い、自信を持って議論に臨むことが大切になる。 

 また、交渉は、利害関係者や社内・社外の状況などを検討したうえで内容を考えていくことも大切である。相違点が担当者のこだわりといった類のものであれば、そもそも議論する必要もない。量産検証が進むにつれて自然になくなっていく。 

 一方、反対意見が多数を占めているときは、こちらの考えが正しく伝わっていないか、基本設計/基礎開発が不十分であると認識すべきである。無理をして、自分の主張を通してもうまくいかない。基本設計/基礎開発が不十分であったことを認めたうえで、すべてを基本設計/基礎開発のステージまで戻すのではなく、設計開発で再確認する。ほかの部署と共同で検証することを決めて先に進むことも大切になる。 

 やっかいな問題として、感情的な問題で話がこじれる場合もある。原因はいろいろあろうが、やはり、相手の感情を1 回吐き出してもらうしかない。感情的になっている場合、相手も口が滑ることもある。矛先が自分に向かうと反論もしたくなるが、いったん吐き出してもらうことが大切である。実際の対応として、例えば相手の上司などに間に入ってもらったり、自分の上司からミッションと現状を改めて説明し理解してもらったりすることが大切になる。

 5.交渉方法を考える 
 1 対1 で話をするのか、複数人同士で話をするのか、関係部署の中で考えがまとまっていないようならまとめてもらってから話をするのか、ケースバイケースにより、最適と思う交渉方法を考えることは大切である。

まとめ

 ・ 量産検証を行うにあたり、プロジェクト活動を進めるために必要な決め事をしっかりすり合わせすること             が非常に大切である。
 ・ 必要な決め事は開発計画書などにまとめ、事前にトップの承認をとっておくことが大切である。
 ・ 反論や懸念材料が示された場合は、相手が何を考えているのかを理解することに集中して話を聞くことが            大切である。
 ・ そのためには以下の4点が大切になる。
  ① 「今日はアクションアイテムは決めない。相手の言うことを理解するのに集中する」と決めて話を聞く
  ② 相手にも、「いろいろ考えたいからまずは話を聞かせて」と初めに言っておく
  ③ 事前ヒアリングができるのは基本1 回だけと思ってよく聞く
  ④ 「そうゆうこと」で片づけない。相手の発言を要約して真意を確認する
 ・ 各部署で判断すべきことは尊重し、ミッション遂行に向け、お互い協力できるところはないかといった                Win-Winの思考が大切である。
 ・ 個々の案件に対しては、相手の主張する理由や根拠を再確認することが大切である。
 ・ 社内外の状況も踏まえ、交渉内容を考えることも大切である。
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 次回は、本格的な量産検証での品質(Q)、コスト(C)、納期(D)の考え方で大切なことを紹介していく。
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