研削加工技術と工具製造技術に特化した展示会「Grinding Technology Japan2025」(グラインディングテクノロジージャパン・GTJ)が3月5日(水)、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開幕した。同展示会の開催は今回で4回目。国内外の工作機械や砥石、計測機器や周辺機器が集結し、顧客の抱える高精度加工に関する課題解決のヒントを提案する。また、先進パワー半導体ウェハ加工技術に関する専門展示会「SiC,GaN 加工技術展2025」も同時開催した。(『型技術』編集部、『機械技術』編集部)
牧野フライス精機
牧野フライス精機はCNC極小径工具研削盤「DB1」を紹介した。砥石軸には5.5kW モータを使用し、幅広い工具径に対応。対象工具径はφ0.03~4mm。本体扉には大型窓を採用。ワーク交換装置の動作など内部の視認性を高める。長さのある小径ドリルの製作時に折損を防ぐ「ワークサポート」を搭載した実機での加工実演を行った。
岡本工作機械製作所
岡本工作機械製作所が紹介したのはCNC超精密平面研削盤「UPG64CALi」。展示したのはチャックサイズ600×400の比較的コンパクトなもの。左右軸は6面拘束静圧スライド/リニア駆動仕様で前後軸も静圧スライド/リニア駆動対応が可能。これらの工夫により究極の平面を実現しており、例えば左右1mに対するX軸(TB左右)真直度は0.46μm、前後600mに対するZ軸(CO前後)真直度は0.48μm。
ナガセインテグレックス
高精度門型平面研削盤「SGX-126α」を展示したのはナガセインテグレックス。同機はシリーズの中でのハイエンド機。3点支持の高剛性テーブルと前後の案内面には独自の油静圧案内面とリニアモータ駆動方式を採用し、高能率・超高精度加工を可能にする。デモンストレーションでは同社が研究を進める「AI研削盤」の一例として真直度の予想を披露。スピンドルにセンサを入れ(NPXスピンドル)加工中、縦軸と横軸にかかっている力を測定。その測定データと加工結果を比較し、リアルタイムで真直度を予想することができる。
アマダマシナリー
アマダマシナリーがPRしたのはデジタル円筒プロファイル研削盤「DPG-R-200」。プロファイル研削盤にデジタルプロジェクターを搭載することで従来のチャート用紙などを画像処理での自動計測・補正加工の連続運転を可能にした。上からスピンドルを吊り下げる構造にすることで砥石旋回角を30°から135°に大幅に広角化。つなぎ目のない製品加工や、左右の加工プログラムの1本化、1枚の砥石での複雑形状の加工を可能としている。
ゴーショー
ゴーショーは、独シュッテ社製のCNC5軸工具研削盤「335linear」を披露。機内に搭載したアームで素材・加工物の搬送や砥石チェンジャー機能を紹介した。独自のソフトウェアによるさまざまな形状に対応できる特徴を活かし、特殊工具や医療機器など製造向けに提案する。
ZOLLER Japan
主に工具メーカーに向けてZOLLER JapanがPRしたのは工具の刃先Rホーニングと表面粗さを測定・検査する「mμFocus」。従来工具の表面粗さなどコントレーサーなどの接触式で検査をしていたが、湾曲部分はうまく接触ができず目視で確認するしかなかった。同検査機ではレーザーによる面粗さの測定でき、あらゆる箇所の精度の数値化可能となった。また、刃先のRホーニングも同じ機械で検査ができ、画期的。
NKワークス
NKワークスはイスラエル・smartec(スマーテック)のクーラントシステム「Aeroforce(エアロフォース)」を紹介。空気圧を加えてクーラントを吐出する独自の内部構造のノズルが高圧でクーラントを供給する。0.2MPa程度のエアを使用し、各種工作機械に標準搭載されている外掛けクーラントポンプのままで、クーラントの吐出力が高まる。0.5Mpaのクーラント供給と比較にして、冷却能力はが40%向上。また、良好な切りくずの排出により、工具寿命の向上も期待できる。エアの消費量100~125ℓ/min、電力消費量は0.4~0.7kW/h。
三井精機工業
三井精機工業は、高精度ジグ研削盤「J350GⅡ」を展示した。従来機の「J350G」で実現した±50mmの広範囲なU軸ストロークを継承し、径の異なる穴でも砥石交換を行わずに自動で加工できる。さらにスピンドル内部の主軸径を太くし、主軸を支える上下のベアリングの数を増やして配置間隔も広げたことで加工精度が向上。丸穴加工では真円度0.4μm、円筒度0.9μmを実現した。また、ブースではJ350Gで製作した超硬パンチ型やねじ用プラ型などを多数展示した。
シギヤ精機製作所
シギヤ精機製作所は、CNC万能研削盤「GSU-20」を展示した。2種類の砥石を搭載でき、従来に比べて砥石交換の段取り工数の削減に寄与するほか、砥石台NC旋回機能によりさまざまな加工パターンに対応できる。また、砥石の段取り替えの際、従来機では専用のナットや工具などが必要だったがユーザーの利便性を高めるために汎用のHSKシャンクを使ってワンタッチで砥石を交換できるようにした。オプションのAWCユニットを搭載すればロボットによる砥石の自動交換も可能。
トーカロイ
トーカロイは、モータコア用電磁鋼板加工向けの超硬合金素材「ETシリーズ(RET35、FET04)」をアピールした。同素材は吉川工業ファインテックとの共同開発。同素材を用いて製作したパンチによる500万ショットの試験では、他社材に比べてRET35では34%、FET04では43%、パンチ端面の摩耗が抑えられた。「この分野では後発企業だが、後発ゆえに他社製品を研究したうえで開発を行うことができた」(担当者)。ブースでは同素材を用いて製作したパンチなどのサンプルを展示した。