icon-sns-youtube icon-sns-facebook icon-sns-twitter icon-sns-instagram icon-sns-line icon-sns-tiktok icon-sns-etc
SEARCH

型技術

2025.12.02

Hexagon、Simufactのユーザーカンファレンスを開催

  • facebook
  • twitter
  • LINE

 Hexagonは、11月21日、同社が提供する金属加工プロセスのシミュレーションソフトウェア「Simufact」の最新機能や活用事例などを披露するユーザー会「Hexagon User Conference 2025~生産技術ソリューション~」を都内で開催した。ユーザー企業らから約80名が参加し、講演者の話に熱心に耳を傾けた(図1)。
会場の様子

会場の様子

 冒頭では、同社Asia vice presidentの今野ソックス真生氏(図2)が登壇し、AI技術が大きく進化している世の中で、「AIがメーカーの設計や製造をどう変えていくかについて皆さんと議論したい」とあいさつした。
今野ソックス真生Asia vice president

今野ソックス真生Asia vice president

 同イベントでは、5つの企業・大学などがSimufact各製品を設計・製造や研究の現場で活用した事例を発表した。

 三陽製作所(横浜市金沢区)取締役開発営業部長の角道将人氏は「デジタル時代の塑性加工(中小企業での実践的CAE活用事例)」と題して、塑性加工解析ソフト「Simufact Forming」の導入の経緯と活用事例について講演した。同社は従来、曲げ加工におけるスプリングバックや鍛造における金型の弾性変形による精度悪化などの予測を勘や経験をもとに行っており、開発期間の長期化やイニシャルコストの増大につながっていた。その課題を解決すべく、2016年にSimufact Formingを導入。活用事例では、スパイラルベベルギアの冷間鍛造で分流鍛造法を用いた際の金型上部のピンを抜くタイミングのシミュレーションを実施したことで、金型への過剰な負荷が抑えられた例などを紹介した。

 大阪工業大学工学部准教授の伊與田宗慶氏は「Fe/Cu異材マイクロスポット接合の数値シミュレーション」と題して、自身の研究にSimufact Formingを活用した事例を紹介した。EV向けバッテリーの効率化実現のため、各セルをつなぐ金属板「タブ」の材料ニーズが従来のニッケル合金から銅合金に変化している中、鉄のセル材と銅合金のタブ材をマイクロスポット溶接で接合する際の温度分布の形成状況の把握についてSimufact Formingで解析を行った。その結果、通電時間と接合部の温度上昇が比例するという事前の予想に反して、銅合金が溶融される高温領域が形成されるのは通電のごく初期のみであることなどが判明。鉄と銅のマイクロスポット接合では、溶融部の形成ではなく、原子拡散が促される700~800℃の温度帯を広げていくことが重要であることが明らかになったことなどを紹介した。

 カヤバ(岐阜県可児市)技術本部生産技術研究所第一研究室の高橋和也氏は「アーク溶接シミュレーションの温度及び変形予測精度向上に向けた取り組み」と題して講演。自動車用ショックアブソーバの製造において溶接変形によって穴位置ずれが生じやすい課題があったことに対し、溶接解析ソフト「Simufact Welding」を活用して解析を行った事例を紹介した。

 このほか、早稲田大学理工学術院基幹理工学部教授の竹澤晃弘氏と、職業能力開発総合大学校の大川正洋氏がそれぞれ活用事例について発表した。

関連記事