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型技術

2024.12.05

独創的な商品開発と優れた技術を基盤に顧客に寄り添う企業へ

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㈱MOLDINO 代表取締役社長 金子 善昭氏

 超硬工具メーカーのMOLDINO(東京都墨田区)では2024 年4 月、新たに金子善昭社長が就任した。同社は「開発技術のMOLDINO」を経営理念に掲げ、時代の変化とそれに伴うさまざまな課題にさらされる金型業界で顧客とともに挑戦を続けている。業界の動向や同社の強み、今後注力していく製品開発テーマなどについて金子社長に話を聞いた。

編集部

金子社長のこれまでの経歴をお教えください。

金子

1992 年に当社グループ企業である三菱マテリアルに入社し、それ以降は超硬事業の中でも切削工具の販売とマーケティングに一貫して携わってきました。国内での経験が比較的長く、裾野が広い日本の製造業の中で流通面における多くの改革に取り組み、業界関連企業との関係を深めることに注力してきました。2010 年からは約5 年間、米国におけるマーケティング機能の改善と強化を任務として米国三菱マテリアルへ移りました。米国では日本に比べて製造業におけるマーケティングがことさら重要視されていて、リーマン・ショックで弱っていたマーケティング機能を立て直す必要に迫られていました。自分なりには一定の成果は上げられたかなと自負しています。帰国後は加工事業カンパニーで戦略部長や営業本部長の立場で国内外の営業の統括・管理を担当し、今年4 月に当社の代表に就任させていただきました。

編集部

業界の市況や動向をどのように見ていますか。

金子

当社を含む切削工具業界は、売上げの7 割を占める自動車業界の動向に大きく影響を受けます。航空宇宙や半導体関連など新たな産業とのつながりも広がっていますが、あくまで中心は自動車。しかし、近年はその自動車が全体的に振るわない印象です。
コロナ禍以後、世界的にEV 化が加速した反面、日本ではEV に舵を切るかどうかというところで不透明な部分があって、そこに絡む設備投資などにも影響が出ていると感じています。また、半導体不足などにより新車開発が当初の計画より遅れていて、当然ながら新車が出てこないと新しい金型の需要も出てきません。そうなると金型向け工具を展開する当社のようなビジネスには影響が出てきます。概して国内は低調だと感じています。海外についても同じような印象です。
ただ、EV 化自体については、当社の事業にマイナスのインパクトがあるとは感じていません。EV 化で大きな影響を受けるのは内燃機関の製造に関わる部分で、当社製品と関係が深い金型はEV 化が進んでもさまざまな部品製造で必要になることは間違いない。そういった点では影響を心配する必要はないと感じています。

編集部

競合他社に負けない御社の強みはどのようなところにあるとお考えですか。

金子

当社は独創的な商品開発と優れた技術を基盤とした、お客様に寄り添った提案活動に注力しています。当社では2002 年から、切削加工時間を半減し金型製作コストの大幅削減を目指す「PRODUCTION50(プロダクションフィフティ)」というソリューションを提供しています。一般的な金型製作コストのうち、工具費が占めるのはせいぜい5 %程度。単なる工具の提案でこの部分のコスト削減を狙うだけでは、お客様には満足いただけないと考えました。
PRODUCTION50 では、お客様の製作工程全体に目を向け、お客様と併走しながら工程上の困りごとや課題を共有し、その解決に必要となる製品の開発や提案を行うことで単なる工具の提案では実現できない大幅なコスト削減を目指しています。当社の成田工場(千葉県成田市)と野洲工場(滋賀県野洲市)にはお客様の実際の加工現場に近い環境を再現したスペースがあって、そこでこのソリューションの有効性を体感してもらうという提案も行っています。また、この取組みは加工時のCO2 削減につながる点にも注目しアピールしています。こうした「モノ売りからコト売りへ」を体現した取組みでは価格競争とは異なる部分で競合他社と戦えると考えています。
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