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工場管理 連載「リーダーに捧ぐZ世代の新人育成バイブル Season2」

2026.04.08

第1回 イマドキの若者をどうやって職場の中心的な存在に育てるか?

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ジェムコ日本経営 古谷 賢一

ふるたに けんいち:本部長コンサルタント、MBA。経営管理、人材育成から、品質改善支援、ものづくり革新支援など幅広い分野に従事し、地に足がついた活動をモットーに現場に密着。きめ細かい実践指導は国内外の顧客から高い評価を得ている。“工場力強化の達人”とも呼ばれている。おもな著書は『まんがでわかるサプライチェーン 知っておくべき調達・生産・販売の流れ』(日刊工業新聞社)。
https://www.jemco.co.jp
 昨年度、全15 回にわたり、「Z 世代の新人育成バイブル」を連載して、読者諸氏には大変好評をいただいた。今回からは、「Z 世代の新人育成バイブル」の続編を、Season 2 と題して、入社2 ~ 3年目になった若手社員を対象に、どのようにして職場の中心的な存在に育てるべきかを解説してゆく。入社初年度は、まだ何もわからない新入社員も、入社をして2 ~ 3 年が経過すると、職場での今後の成長が期待できるような、頼もしい存在になってきたことだろう。

 このような入社をして数年目といった若手社員には、組織の一員として仲間たちと協業できるようになることが求められる。さらには、自分の後に続いて職場に入ってきた(次年度の)新入社員を育てることにも積極的に関わることを期待されている。

 本連載は、このような若手社員を指導する立場になる先輩社員に対して、どのようなことを若手社員に教えるべきなのか、指導において考えておくべきポイントは何かを解説することを狙いとしている。若手社員が、職場の中心的な存在になるためのスキルを、どのようにして高めてゆくべきかを考えるバイブルとして活用をして欲しい。

「Z 世代」の若者を育てる必要性

 本連載は、「Z 世代」と呼ばれる若手世代の人たちの特性を考えて、どのようにすれば適切な人材育成(教育)ができるかを解説するものだ。昨年度の連載を読んでいただいた方には、おわかりいただけると思うが、「Z 世代」の新入社員が受けてきた学校教育とは、教わる側(生徒や学生)が理解しやすいように、教える側(教師)が創意工夫をしてていねいに教えることで成り立っている。この世代の若者が慣れている教育とは、そういうものだ。年配世代の方々が経験してきたであろう、先輩の背中を見て覚えろといった教育、手を動かして身体で覚えることを重視した教育、あるいは、教えて欲しければ自分から聞きにこいといった教育など、本人の学ぶ姿勢を過度に期待した教育は、この世代の若者には通用しにくいと考えた方がよい。

 なかには、この世代の特質を受け入れたくないと考える人もいるだろう。「そのような人材は、わが職場には不要だ」と考える人もいるだろう。しかし、現実を直視すると厳しい状況が待ち受けている。若手人材がこぞって入社を希望するような、ごく一部の恵まれた会社はよいだろうが、多くの企業では、若手社員の採用そのものが難しい状態だ。そもそも人材不足は社会的な問題になっており、若手人材も大いに不足している。そして、せっかく苦労して若手人材を採用しても、教育のやり方に不満を持たれてしまうと、すぐに他社へと転職されてしまう。若手人材は、圧倒的な売り手市場になっているのが現実であり、適切な教育を行うことができない企業は、やがて若手人材が職場からいなくなることを覚悟しなくてはならない。

知識と経験の付与は両輪と考える

 若手社員に対する教育は、「知識の付与」と「経験の付与」の両輪を、バランスよく行うことが望ましい。まず、「知識の付与」とは、業務を遂行するために必要な知識のことだ。改善手法など技術的な知識だけでなく、業務遂行の手順や、業務遂行の際に気をつけるべき注意点なども含まれる。知識がなければ業務がうまくできないのは自明のことで、「知識の付与」を適切に行わないことは、いわば武器を持たずに戦えということに等しいものだ。もちろん、経験を積むことで、その不足していた知識が補完されてゆくだろう。しかし、これでは「10 年選手」なみの知識を得るためには、「10 年間の経験」が必要になる。それでは、とてもではないが現実的に間に合わない。

 そして「経験の付与」とは、知識を活用して、実際の業務を経験することだ。知識だけを与えても、それだけで業務をうまくこなすことはできない。知識は実際の業務で活用してこそ活かされるもので、経験を通じて知識が「体得」されることになると考えて欲しい。

 適切な知識(強い武器)を与え、そして適切に実践(武器を活用して修練に励む)をする、この両輪がうまく合わさることで、スキルの育成を確実に、かつ効率よく高めることができるのだ。知識の付与、経験の付与、そしてまた知識の付与、経験の付与、といったスパイラルアップ(図1)が効果的な教育を行うポイントになるのだ。
図1 知識付与と経験付与のスパイラルアップ

図1 知識付与と経験付与のスパイラルアップ

本連載の概要

 本連載は、「Z 世代の新人育成バイブル ~Season 2 ~」として全17 回を想定している。第1回では、連載の趣旨と全体構成を示している。そして、次回以降は4 回ごとにテーマを決めて、それぞれのテーマに沿った解説を進めてゆく(図2)。テーマは4 つで、改善のスキル、問題解決のスキル、仲間で仕事をする組織活用のスキル、そして職場管理のスキルだ。どのテーマも、入社2 ~3 年目になると、必ず求められるスキルばかりだ。本連載が想定する読者層である先輩社員の方は、若手社員の指導役として、毎回の連載内容を読み進めながら、教育を実践して欲しい。本連載を、「自職場の若手人材に何を教育すればよいのか」、考えなくてはならない読者諸氏の参考になることを願っている。
図2 本連載の全体構成

図2 本連載の全体構成

次回までの振り返り

 次回からは本論だ。まず、現在の若手社員に対する教育上の困りごとを列挙して欲しい。指導役となった人たちが何に困っているのかを、冷静に洗い出してみるのだ。たとえば「指示したことはうまくこなすが、自分から動こうとはしない」といった指導上の悩みは少なくないはずだ。そして、この悩みに対して、「若手社員の問題」と安易に断じるのではなく、先輩社員の指導で「何がよくなかったのか」を客観的に考えてみる機会にしていただきたい。
今月の検討課題
・若手社員教育で、直面した困りごとを列挙してみる
・若手社員側に問題があると考えるのではなく、過去の指導で改善すべきだったと思われる点を、冷静になって、振り返ってみる

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