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プレス技術 連載「モノづくり革新の旗手たち」

2025.03.27

長年培った金型技術を基盤に技能・技術集団を形成 顧客の課題解決に貢献する

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㈲エーワン· プリス 代表取締役
遠藤慎二氏

 1981 年の創業のエーワン· プリスは、金属加工の集積地· 新潟県燕三条地区に本拠地を置く金型メーカー。電気部品や自動車電装部品向けの金型製作を通じて技術蓄積する傍ら、高硬度材の切削や複合加工などをレパートリーに加えてきた。また近年は、医療機器製造も手掛けるなど新たな攻勢をかけている。創業メンバーであり、1990 年から同社の指揮を執る社長の遠藤慎二氏に同社の技術· 技能にかける想いとこれからの戦略について聞いた。

あえて難度の高い仕事にチャレンジ

『プレス技術』編集部

業務内容を教えて下さい。

遠藤

金型では、単発型から順送型までの金型設計· 製造。また自動機メーカーと組んで海外向けを中心に専用機の中にあらかじめ金型を仕込んだ機械も製造しています。成形では、試作を中心に少量生産までを請けています。
サイズ的には指先から手のひらサイズが中心ですが、タンデム型だともう少し大きなサイズまで対応しています。材質的には金型材料はもちろん、通電部品に多い銅、アルミ、最近ではインコネルなども加工しています。インコネルは非常に硬い材料ですが絞り加工をしています。産業別には各種コネクタなど電子機器や自動車向けの通電部品から医療機器、雑貨までと多岐に渡っています。
順送による絞り加工品

順送による絞り加工品

コネクタ口金

コネクタ口金

最近のお客様からの要望は。

製品設計に際して金型メーカーの意見を聞かせてほしいなど、図面になる前に相談をいただくケースが増えています。当社の場合、プレス加工メーカーからの引き合いはもとより、メーカーの設計者から直接お声がけいただくことも多いため、彼らとの対話は非常に重要です。例えば、プレス後のめっきではなく、あらかじめめっき鋼板をお勧めするにしても、そもそも部品の用途がわからないとできない話だからです。

難度の高い仕事をしている印象です。

とにかく難しい案件でもチャレンジしてみるというのが当社のスタンスです。リーマンショックをきっかけに金型が動かないのなら切削もやりますと受けてきました。普通は尻込みするような高硬度材の切削や、旋盤やマシニングだけではできない複合的な加工です。それらを一つ一つこなしているうちに、結果として手が広がっていっていると実感しています。新潟は首都圏から距離があります。おのずと、まわってくる仕事は近隣で対応できなかったシビアで難度の高いものが多くなってきます。
競技者と共同で作製したフィギュアスケート用ブレード(切削品:材質はステンレス)

競技者と共同で作製したフィギュアスケート用ブレード(切削品:材質はステンレス)

地域と連携して医療機器ビジネスを攻略したい

会社の創業のいきさつは。

当社は1981 年(昭和56 年)に兄と私とで設立したのが当社のスタートです。その頃の燕三条地区は好景気を受けて創業ラッシュ。実家は農家でしたが、燕三条地区ということもあって自然と金属加工に傾倒し、どうせなら自分たちで会社を作ってやりたいと考えるようになりました。兄は型屋での修業経験がありましたが、私はまったくの素人。ただ、近くの工場でアルバイトをしていましたので、何もないところから形ができるというものづくりの面白味は感じていました。最初は兄が代表でしたが、別のことをしたいという希望があったため外れ、1990 年(平成2 年)の法人化を契機に私が社長になりました。

設備はどうされましたか。

フライス盤、ボール盤、研削盤、焼入れ設備、コンターマシン、のこ盤など新品· 中古を織り交ぜて、ひと通りを揃えました。当時はNC も付いておらず一式を揃えても、それほど高くありませんでした。最初は単発型の製造でしたが、周囲には工場がたくさんありましたので、親父の知人から仕事をいただいて仕事を開始しました。

順送型を始めたきっかけは。

地場産業であるスプーンに付けるステンレス製のカバーの金型を作ってほしいと依頼されたのが最初でした。ワイヤがない時代なので小さなブロックを作って、それを精密に研削して1 個1個ピッチを出すやり方で作りました。最初はお客様から手取り足取り教えていただき、あとはひたすら実践あるのみで力をつけていきました。その頃はちょうどバブルの前期、仕事は溢れるほどあったので場数を踏むには事欠きませんでした。

医療機器に取り組むきっかけは。

お客様からスキンステープラーという医療用ホッチキスの針の試作を依頼されたのが最初です。頭部などを切ったときの縫合用に使われます。当初、線材(材質:SUS316)をNC ベンダで曲げて作ったのですが、材料の応力により、曲げてみると変形して曲げ方向が定まらなくなってしまいました。そこで金型を使う工法に転換し問題を解決しました。最終的には金型を機構に組み込んだ自動機を製造し、6 台を収めました。
医療用ホッチキス針

医療用ホッチキス針

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