icon-sns-youtube icon-sns-facebook icon-sns-twitter icon-sns-instagram icon-sns-line icon-sns-tiktok icon-sns-etc
SEARCH

機械設計

2025.03.10

計数機で正確かつ高速な計数を実現―光伸舎

  • facebook
  • twitter
  • LINE

 光伸舎(京都市南区、075-661-3161)は、製品の個数を数える作業を自動化するための装置である計数機の開発・設計から製造、販売までを手がけている。独自の計数システムを組み込んだ計数機が強みで、対象物は機械・電子部品など工業部品のほか、錠剤やカット野菜、野菜の種、冷凍食品に至るまで幅広い。各種展示会に積極的に出展し、省力化・省人化や出荷品質の向上などのニーズに向け、計数機を提案している。

付加価値を高めるべく自社製品を開発

 同社は制御機器を販売する商社事業と、計数機をはじめとした装置の開発・製造・販売を行っているメーカー事業を両輪で展開している。もともとは商社事業から開始しており、1978年にサンクス(現・パナソニック)の代理店として創業。現在は主に半導体製造業界の顧客に各種センサをはじめとした制御機器を販売している。

 同社のメーカーとしての事業は、1992年にラインセンサカメラを応用した高速計数システム開発の特許を取得するとともに、計数機を自社開発して開始した。鹿野慧一常務取締役(写真1)は「センサ製品に弊社独自の付加価値を付けて販売できるようにするため、自社でも技術を保有した方がよいと考えた。その一環として、センサの知見を活かした自社製品の開発に取り組んだことが計数機開発のきっかけとなった」と話す。
写真1  鹿野慧一常務取締役(右)と朝原賢治執行役員工場長(左)

写真1  鹿野慧一常務取締役(右)と朝原賢治執行役員工場長(左)

 その後、2010年には、新たな計数システム「デジタル・エリア・カウンター(DAC)」を開発。現在同社が販売しているさまざまなラインセンサカメラ式計数機に搭載されている(写真2)。DACは、製品の大きさや重さにばらつきがある場合や、製品同士が重なって流れてくる場合など、はかりやセンサでは正確な計数が難しい製品も、正確にかつ高速で計数可能な点が評価され、2023年に公益財団法人京都産業21より、京都中小企業技術大賞「優秀技術賞」が授与された。
写真2 ピッキングカウンター DAC-ST

写真2 ピッキングカウンター DAC-ST

計数に特化した独自開発のDACコントローラを搭載

 DACは、ラインセンサカメラを使用した多列計数システムだ。計数したい製品をフィーダでばらして、ベルトコンベヤで切り離しを行い、背部に設置したLED光源の前を通過する複数の製品のシルエット(影)をカメラでとらえ、コントローラで演算することで計数する仕組みとなっている。カメラの設定により複数列(エリア)も同時に計数できる。

 朝原賢治執行役員工場長は「通り過ぎるワークを光と影によるシルエット情報に落とし込むことで、高速かつ正確な計数に特化した制御を行っている。直径1 mmに満たない製品や複雑な形状の製品にも対応し、それらが大量に流れてきたとしても高速処理できることが強み」だと語る。

 製品検出時に製品同士が密接していても、DACコントローラの演算により2 個と判定する補正機能を搭載しており、形状によっては3 個までの密接を判定できる。また、同社の計数機はワーク検出時にできる影の面積をあらかじめ登録したうえで使用できるので、製品のシルエットがある一定の値より大きすぎたり、小さすぎたりするものは計数せず、異物として判別する機能を備えていることも特徴だ。

 同社の計数機は筐体部品を共通化したスタンダードシリーズ(DAC-ST)も用意しているが、顧客が計数したい製品に合わせてカスタマイズする場合が多い。「対象物の大きさや計数する数量、工場内の明るさや温度・湿度などの環境、製造ラインの前後の工程などに合わせて設計する。包装機や梱包機と連動させることもある」(朝原工場長)。

 一方で、簡易計数機を求める顧客に向けてのラインナップも揃えており、要望に合った方式の計数機を提供している。

食品・物流向け計数機を拡充

 工業製品をはじめとして多様な業界で使用される同社の計数機。2022年には大手電力会社の火力発電所において、復水器洗浄装置に用いられる、配管内を流れる洗浄ボールをカウントする用途に、同社のDACコントローラが採用されるなど、用途が広がっている。

「業界の中でも食品分野は堅調で、今後は物流分野にも力を注いでいきたい」と鹿野常務。関連する展示会に出展し、計数の自動化を提案している。

 食品業界向けのラインセンサカメラ式計数機としては、カット野菜をはじめ乾物、冷凍食品などをすばやく高精度で計数する「食材計数機」(写真3)、冷凍のハンバーグや唐揚げなどのほか、冷凍パン生地の計数に適した「冷凍食品計数機」、1台のカメラで最大8 列(エリア)まで計数できる「多列式少数計数機」がある。
写真3 食材計数機 DAC-90S

写真3 食材計数機 DAC-90S

「食品工場は人手不足が深刻なうえに、廃棄ロスを減らすために正確に計数したいというニーズが高まっている。また、外国人の作業者が増えているので、操作性や視認性が良いタッチパネルにするなどの工夫もしている」と朝原工場長は語る。

 物流業界向けには、カート移動式計数機「C-BOXカート」を開発した。カートにバッテリーとセンサ式の計数機を積むことで、目的の棚に移動させて製品の計数を行える。さらには、自律移動ロボットと組み合わせたシステムも披露。製品を計数後、包装し、自律移動ロボットで運ぶといった自動化が可能になる。

 また計数機を販売する中で、数えるだけでなく、「形や色の異なる部品や製品を選別したい」といった顧客の要望から異品種選別装置「シェイプチェッカー」などの新たな製品の開発も行っている。

「今後も、顧客の省力化・省人化、出荷品質の向上に向けて、計数の自動化の観点から貢献していきたい」と鹿野常務は語る。IoTやデジタルツインを始めとした技術革新でデータの重要性が増している中、計数機で取得したデータをほかのシステムやサーバーと連携する仕組みの開発など、計数機を利用した顧客のDX化の促進まで見据えている。

関連記事