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機械設計 連載「教えてテルえもん!3次元ツール習得への道」

2025.10.03

第17回 3次元CADにおける「スケッチ」をマスターしよう!

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いわてデジタルエンジニア育成センター 小原 照記

スケッチを編集する

 スケッチが完成したら、スケッチを終了し、作成した2次元輪郭(プロファイル)を立体化する作業に入っていく。作業履歴が保存されるヒストリ型のパラメトリックモデリング機能があるソフトウェアの場合には、一度、定義したスケッチを後から編集して、形状を変更することができる(図6)。寸法の定義の仕方によって形状変更に違いが出る場合があるので注意が必要である(図7)。スケッチは設計の意図を組み入れて寸法を付与しなければならない。
図6 スケッチを編集して立体形状を修正している

図6 スケッチを編集して立体形状を修正している

図7 寸法の定義の仕方の違いによる設計変更での形状の違い

図7 寸法の定義の仕方の違いによる設計変更での形状の違い

 スケッチの編集を行う際に注意すべき点は、作成してあるスケッチの編集作業に入るということである。多くのソフトウェアは、スケッチを終了すると、定義した拘束が非表示になり、点や線の要素だけがスケッチとして表示される。また、作成したスケッチから立体化を行った場合、使用したスケッチが非表示になる。スケッチを再利用したい場合には手動で表示する。編集をしたい場合には、作成したスケッチが保存されている箇所を右クリックから編集のメニューを選択、または、ダブルクリックなどすることで編集作業が行える。

 よくある間違いとして、作成したスケッチを編集したいのに、新規でスケッチを開始して表示されているスケッチの線を編集しようとしたり、編集できることを知らずに、また新しく線を描き直したりしてしまうことがある。使用しているソフトウェアのスケッチ機能として、後から編集できるかを知っておく必要がある。例えば、スケッチを描いてから、スケッチを描く平面を変更できるソフトウェアもある。

 スケッチの作成が完了し、立体化をしようとした際に、立体化できなかったり、思っていた立体ができなかったりする場合がある。原因として、線がつながっていない、線がはみ出してしまっているなどがある。中身の詰まったソリッド形状を作成したい場合には、基本としてスケッチの線がつながって閉じている必要がある。連続的に線を描いていった際に、端点をクリックしたつもりが少しだけ横にずれてクリックしてしまい、線がつながっていない場合がある。ソフトウェアによっては、大きな点で表示されて教えてくれたり、閉じている場合には、閉じている領域が色で塗りつぶされてわかりやすく教えてくれたりするものもある(図8)。また、エラーの原因箇所を分析して教えてくれるものもある。そのような機能がない場合には手動で探すしかない。端点の箇所を拡大し、つながっているか確認作業を行っていく。つながっていない場合には、一致の幾何拘束を付与したり、端点をドラッグ作業で合わせたりなど修正を行っていく。
図8  スケッチの線が閉じていないことを教えてくれる例

図8  スケッチの線が閉じていないことを教えてくれる例

 作成したスケッチを編集する際に気を付けたいこととして、線を削除したい場合、今、選択されているコマンドの状態を意識しておくことが必要である。線を描くコマンドが選択されている場合、削除したい線をクリックして選択しようとしても選択できずに線を描く作業に入ってしまう。ソフトウェアによって異なるが、選択コマンドに切り替えてから削除したい線を選択、または、キーボードのESCキーを押して実行中のコマンドを解除し、線を選択してキーボードのDeleteキーなどで削除をしていく。スケッチ全体を削除したい場合には、線1 本ずつを削除するのではなく、履歴に保存されているスケッチを削除する。

 線を削除するのではなく、立体化するのには直接の関係はないが、拘束を定義するうえで必要な基準の線などは、実線ではなく、点線や一点鎖線などに切り替えることで、立体化するときの選択の手間を減らしたり、エラーを回避したりできる。点線や一点鎖線に切り替えた線は「補助線」や「中心線」、「作図線」、「構築線」など、ソフトウェアによって呼び名は異なる。

3次元CAD習得の第一歩を踏み出そう!

 今回は、3 次元CADで立体を作成する際に始めに行う「スケッチ」について詳しく解説をした。使用するソフトウェアによってコマンド名や機能に違いはあるが、上記で述べたようなことを参考にしながら、操作習得に励んでいただければ幸いである。

 2 次元CADの操作経験があり、3 次元CADに移行しようとする人にとって、操作性の違いによる戸惑いが始めはあるかもしれないが、ソフトウェアの特徴を理解して、使いこなせるようになってほしい。3 次元CADの習得には苦労があるかもしれないが、干渉や質量の確認ができ、設計者以外にも形状をわかりやすく伝えることができるなど、メリットが大きい。3 次元CADのスケッチ機能をうまく活用すれば、2 次元CADで行っていた構想設計も行うことができる(図9)。
図9 3 次元CADのスケッチ機能を利用したパンチャーの構想設計の例

図9 3 次元CADのスケッチ機能を利用したパンチャーの構想設計の例

 3 次元CAD習得の第一歩として、使用しているソフトウェアのスケッチ機能をマスターしていこう。
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