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機械設計 連載「教えてテルえもん!3次元ツール習得への道」

2026.03.12

第24回 設計力を高める! 3Dスキャナを活用したリバースエンジニアリング

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いわてデジタルエンジニア育成センター 小原 照記

リバースエンジニアリングの一般的な作業と機能について

 3Dスキャンで取得したメッシュデータから3次元CADデータを作成する場合の一般的な作業の流れについて説明する(図2)。ソフトウェアによって、作業の名称や手順が異なる場合があるが、1つの例として参考にしてほしい。
図2 リバースエンジニアリングソフト:【例】アルモニコスの「spScan」の操作画面

図2 リバースエンジニアリングソフト:【例】アルモニコスの「spScan」の操作画面

1.座標原点を合わせる

 3Dスキャンで取得された形状データは、座標原点から離れていたり、斜めに傾いていたりする。座標原点や基準軸(X、Y、Z)、基準平面(XY/YZ/ZX)との位置関係を適切な箇所に設定することで、その後の基準軸や基準平面を使用しての断面作成やモデリングなど、メッシュデータから3 次元CADデータの作成が行いやすくなる。細かい面のパッチになっているメッシュデータから平面を抽出し、認識させて基準平面と合わせたり、移動や回転機能を使ったりなどして座標原点を合わせていく。

2.面構成を作成(図3)

 メッシュデータから曲率に合わせて領域を分けてグループ化、面の分割数やサイズを設定するなど、面構成を決めていく。3 次元CADでいうところの平面やフィレット面などの面構成を作成する。
図3 リバースエンジニアリングにおける面構成の作成イメージ(使用ソフトウェア:アルモニコスの「spScan」)

図3 リバースエンジニアリングにおける面構成の作成イメージ(使用ソフトウェア:アルモニコスの「spScan」)

3.断面作成

 3 次元CAD面を生成するために、メッシュデータから断面線を作成する。3 次元CADでいうところのスケッチ線である。

4.3 次元CAD面の生成

 作成した面構成や断面線を使用し、3 次元CADデータを生成する。ここでは、リバースエンジニアリングにおける3次元CAD面の生成手法について、主な3種類のアプローチを紹介する(図4)。
図4 リバースエンジニアリングにおける主な3 次元CAD面の生成手法

図4 リバースエンジニアリングにおける主な3 次元CAD面の生成手法

(1) 自動面貼りタイプ

 点群データから曲率で境界線を作成し、パッチワークで面を構成する。

 自動なので複雑な曲面も短時間で作成できる。ただし、自動のため面構成が3次元CADデータと大きく異なることがほとんどである。データサイズも大きくなり、面の流れもきれいではないため、後工程での編集や活用が困難である。自動面貼りタイプは、フィレット面やピン角の作成などが苦手な傾向にある。人体やフィギュアなど、有機的な形状を3Dスキャンして3 次元CADデータ化する際に便利な手法である。

(2) 手動面貼りタイプ

 境界線や面構成を手動で作成し、測定データに沿って曲面を作成する。

 後工程で扱いやすい高品質な曲面を、3 次元CADに近い面構成で作成できる。ただし、手動での作業が多いためデータ作成に時間がかかるのが難点である。金型や金型で成形される部品など、高精度で高品質な3次元CADデータを作成したい場合に用いる。面の流れがキレイなので、CAMで加工ツールパスを作成する際に作業しやすくなるなど、後工程でのモノづくりを円滑に進めることができる。

(3) ソリッドモデリングタイプ

 測定データを参照して、3 次元CADのようにモデリングを行う。3 次元CADデータと同様に扱うことができる。測定データが欠落していても、ある程度の要素があれば、断面を作成し、線を手動でつなぎ合わせるなどして3次元CADデータを作成可能である。

 3 次元CADと同品質のデータを作成できるため、3 次元CADでの編集が容易に行える。ただし、幾何形状で作成していくので複雑な形状の再現精度は低い傾向にある。機械部品や治具などソリッドデータでつくれるモデルや、3 次元CADデータ化した後に設計変更を行いたい場合などに用いられる。3D Systemsの「Geomagic Design X」では、作成した作業履歴を3次元CADソフトに出力して連携させることができる。

 そのほか、「ボクセルモデラー」という手法もある。3D Systems の「Geomagic Freeform」では、ペン型3D触覚デバイスを使って、画面内の仮想粘土(ボクセル)を削ったり、伸ばしたりといったアナログ的かつ直感的なアプローチによって、3次元CADでは表現しきれない複雑形状のモデリングが行える(図5)。
図5 3D Systemsの「Geomagic Freeform」※出典:3D Systems

図5 3D Systemsの「Geomagic Freeform」※出典:3D Systems

 リバースエンジニアリングのソフトウェアは、専用のリバースエンジニアリングソフトウェアだけでなく、3 次元CADの中にリバースエンジニアリング機能が搭載されているものもある。また、今回紹介したすべての機能が搭載されているソフトウェアもあれば、自動面貼りのみ、手動面貼りのみ、自動は得意だけど手動は機能が少ないなど、ソフトウェアによって違いがある。そのため、3次元CADデータ作成後の目的を明確にして、リバースエンジニアリングソフトウェアを選定する必要がある。リバースエンジニアリングを行うパソコンは、3 次元CADでモデリングする以上にハイスペックなものが必要となるため、ソフトウェアが推奨するパソコンのスペックの確認も必要である。

 加えて、リバースエンジニアリングを自社で行う場合には、3Dスキャナ(ハードウェア)からソフトウェアまで、環境整備に多大な費用がかかるため、必要頻度によっては、外部のサービスを活用することも視野に入れてもよいだろう。
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