おばら てるき:いわてデジタルエンジニア育成センター長。自動車内装部品の設計会社を退職後、岩手県北上市を活動の拠点に10年以上、3次元デジタル技術関連の人材育成、企業支援に努め、学生から求職者、企業まで幅広く指導し、3次元から始めるDX推進活動を続けている。同センター長のほか、3次元設計能力検定協会の理事も務める。
リバースエンジニアリング(ReverseEngineering)は、さまざまな業界で使われている言葉であり、直訳すると「逆行工学」となる。その意味のとおり、モノづくりの世界においては、設計図面からモノをつくるという通常の流れとは“逆”のアプローチであり、すでに出来上がったものを分解したり、計測したりするなどして、そこから設計仕様や機能を調査することを指す。
とりわけ、「3Dスキャナ」を活用したリバースエンジニアリングでは、試作のクレイモデルやすでにある製品や部品などの形状を3Dスキャンして3次元データ化し、モノづくりに役立てる。「現物はあるが、3 次元データや図面がない」といったケースにおいて、3Dスキャナを用いたリバースエンジニアリングはよく用いられる。
3Dスキャナで現物を測定して3次元データを作成することで、製品や部品の製作、既製品の再設計や破損部品の修復、金型や治具などの合わせ部品の設計などに役立てることができる。
現物を3Dスキャンすることで3次元の座標点を取得し、それら点群データからメッシュ(STL)データを作成し編集を行い、メッシュデータから3 次元CADデータを作成する作業の流れとなる(図1)。
メッシュデータのままでも用途やソフトウェアによっては、CAEでの解析検証やCAMでの加工プログラム生成、3Dプリントなどは可能だが、3次元CADデータを作成することで、パラメータを変更する再設計や高品質な加工へとつなげることができる。
ただし、メッシュデータから3次元CADデータへの変換は決して簡単な作業ではない。ソフトウェアの中にはボタン1 つで自動変換してくれるものもあるが、自分の思ったとおりの形状や面構成にならなかったり、その後の編集や後工程がうまくできなかったりといったことがよく発生する。そのため、設計用途で活用するには多くの場合、手作業が必要とされる。
今回はメッシュデータから3次元CADデータを作成する作業について、詳しく説明をする。