機械設計 連載「教えてテルえもん!3次元ツール習得への道」
2026.06.08
第28回 3Dプリンタの後処理について
いわてデジタルエンジニア育成センター 小原 照記
2次加工という選択肢
3Dプリンタで造形したパーツは、どうしても積層痕や表面のザラザラ感が残ってしまうため、研磨や切削加工といった2 次加工を施すことがある。そのためには、あらかじめ仕上げ代を加味した3 次元モデルを用意する必要がある。形状全体を削るのであればモデルサイズを大きめに、穴加工であれば小さめに設計し、研磨や切削加工を施すことで精度を追求する。また、仕上げ代だけではなく、切削加工がしやすいようにつかんだり、挟んだりして、位置決めができるように配慮した3次元モデルを設計して3Dプリントするといった工夫も必要である。特に金属材料を積層造形する3Dプリンタは、2 次加工を施して、精度の良いパーツを製作することが多くある。
後処理を考えたうえでのモデル/サポート材の作成と機種選定
今回は、3Dプリント後の後処理について紹介した。3Dプリンタは、3Dプリントして終わりではないことが、ご理解いただけただろう。3Dプリント後の後処理が品質を左右する重要な作業となる。特にサポート材が付いている場合には、その除去作業が必要不可欠である。
サポート材を手作業で除去する場合、除去したいサポート材に対して、ニッパーやペンチなどの工具が届かなければならない。複雑に入り組んだ形状などは、サポート材をきれいに除去できない可能性がある。パイプが複雑に曲がっているような形状の場合、パイプの中にサポートが付いてしまうため、奥の方のサポート材が除去できない(図4)。そのほかにも深い穴の奥に詰まったサポート材など、造形はうまくできてもサポート材をきれいに除去できないといったケースがある。
図4 パイプが複雑に曲がった形状のサポート材の除去が困難な例
サポート材の除去部分など、外観品質に影響がある場合には、紙やすりなどでの磨き作業が必要となる。射出成形部品を設計するうえでパーティングラインやランナーの位置を気にするのと同じように、3Dプリンタでも「サポート材の配置箇所が適切になるように積層方向などを考慮しながら設定する」ことが重要である。
サポート材の除去作業の手間を考慮して3 次元モデルの形状を設計する方法のほか、形状を分割して設計し、造形後に接着する方法もある。3Dプリンタの活用を前提とした設計力が問われてくる。
3Dプリンタによっては、サポート材を水やアルカリ溶液などで溶かすことができたり、水圧で吹き飛ばすことができたりするものもあるため、機種や材料を選定する際に考慮するとよいだろう。
最後にお伝えしたいのは、“とにかく経験してみる”ことである。後処理を経験することで大変さや苦労がよくわかる。時には誤って造形物を壊してしまうなどの失敗もあるかもしれないが、そこから学ぶことも多くある。「百聞は一見にしかず」である。3Dプリンタを購入する前に後処理も実際に体験してみることをオススメする。
今回、後処理という面倒な作業について紹介したが、3Dプリントして形状を確認できる、使用できるなどの3Dプリンタのメリットは多くある。後処理が本当に面倒であれば、外部の3Dプリントサービスを活用する方法もある。ただし、今回の内容を知っておくことで、3Dプリントに適した設計の実現(DfAM:Design for AdditiveManufacturing)にもつながっていく。ぜひ、いろいろと試して3Dプリンタを活用してみてほしい。