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機械設計 連載「B to B向け機械設計のポイント」

2026.05.25

第8回 QCD(品質/コスト/納期)の設計検証のポイント

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技術力向上カウンセリングオフィス 布施 裕児

コスト(C)の検証 

 量産工程で量産する場合に比べて、コストの実績だけを見れば、試作品の場合、コストアップになるのは当然である。したがって、基本設計/基礎開発のときに、「コストダウン対策として想定していたものが実現可能なのか?」といった観点で検証していくことが大切である。基本設計/基礎開発のときに見積もった見積条件、コスト試算条件の検証を行うとも言える。 

 検証してみた結果、目標値を達成できそうにない状況に追い込まれる場合もある。例えば、「構造を簡素化したが、新たな機能を追加しなければならなくなった」、あるいは「製品設計だけでなく、工程設計でも、当初予定していた生産タクトの目標値が仕様変更も含む技術的なネックで達成できそうにない」などである。 

 そのような場合は、材料調達から顧客に納入するまでのすべての工程で総合的にコストを見直す必要が出てくる。その際、品質(Q)の検証でも紹介したように、関係者とのブレストで新たなコストダウン策を協議することや、図4 に示したような定石ともいえる観点で物事を見直すことがやはり大切になる。
図4 コストダウンの定石

図4 コストダウンの定石

 筆者は梱包容器の購入価格を半分以下にすることを目的に設計開発を行ったことがある。もくろみ通りに進んだが、製造を外注に依頼していたため、肝心の購入価格は目標通りに下がらなかった。よって、購買部門と共同し、外注先を増やし競争させることで目標以上の60%減を達成したのである。

納期(D)の検証

 1.量産時の納期(D)の検証 
 材料のリードタイムは基本設計時の見積もりで問題ないことが多い。しかし、組立工程において、当初予定していた生産タクトの目標値が仕様変更も含む技術的なネックで達成できそうにない場合、コスト検証と同時に納期検証、対策が必要になる。

 2.設計開発期間の納期管理 
 量産移管後の納期管理は専門の部署あるいは担当が行うので、設計開発としては設計開発期間の管理、つまり、目標としている時期までにいかに設計検証を終わらせるかといった重い課題がある。これに関しては個人的にはリーダーの役割が重要であると考えており、後日改めて紹介する予定である。

QCD(品質/コスト/納期)のトップへの報告

 QCDに関しては合意事項と言いながら、部署により優先事項が異なるため紛糾しやすい。全体会議で部署長や決裁者に参加してもらうのが望ましい。しかし、会社の規模や、開発案件の重要性、影響力などによって変わってくるが、現実的に、部署長や決済者が全体会議に毎回参加するのは難しいのではないだろうか。 

 はじめに開発計画書で部署の責任者はA課長と仮に決めたとしても、部署全体を取りまとめたうえで参加してもらうのが筋ではあるが、現実的には機能しない場合も多い。 

 そのような場合は、開発責任者がフォローする必要がある。具体的には部署内で共有できていることを会議の出席者に確認するか、優先順位を決定する会議には必要な部署長にはスケジュールを調整して参加してもらうなどである。決済者には、やはり単なる相談ではなく、ポイントポイントで意見をもらうことも大切になる。 

 トップへの報告のすべてを開発責任者が行うのは非常に負荷が大きい。自分の上司や関係部署の協力をもらいながら対応していくことも大切である。

現場の作業員の方の声に耳を傾ける 

 実際に作業をされる方は問題点を一番把握していることも多い。権限はないが、影響力が大きい場合もある。否定的な考えを示す人も多いが、納得すれば非常に強力な味方になってもらえる。指摘内容は受け止め、相手の上司も含め対応を協議することが大切である。聞き流しは不信感しか生まない。

まとめ

・ QCDは互いに連動しており関係者の合意が得られていることが大切である。
・ トップ(決裁者)だけでなく関連部署のトップのフォローも大切である。
・ 実際に作業をされる方は問題点を一番把握していることも多い。影響力が大きい場合もある。積極的に耳を傾けることが大切になる。
・ 品質の不具合が発生した場合には関係者で速やかに原因追究のためのブレスト会議を行う必要がある。その場合、データが必ずしも十分ではないため、演繹的な考えを重視し、NG品の観察結果、発生工程の観察結果から「原因はこれだ!」といった仮説を立てることが大切である。
・ コスト検証は、基本設計/基礎開発で設定していた見積条件、コスト試算条件が現実的に難しいとなった場合には、品質問題同様、関係者でブレストすることが大切である。その場合、業務改善でよくいわれるコストダウンの定石の観点で総合的に検討することが大切である。
・ 納期検証はコスト検証同様、問題が発生すれば関係者で対応を協議する必要がある。一方、開発を期限までに完成させるのが非常に難しい課題としてあるが、これに関してはリーダーの役割が重要と考えており、後日改めて紹介する。

 次回は、本格的な量産検証でのリスク評価、信頼性評価で大切なことを紹介していく。
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