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展示会

2025.08.13

<展示会レポート>「2025中国国際金型技術と設備展示会」が中国で開催

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 金型製作技術と関連設備の展示会「2025 中国国際金型技術と設備展示会(DMC 2024)」が6月4日(水)~ 7日(土)の4日間、上海新国際博覧センターで開催された(図1)。主催は中国金型工業協会と上海市国際展覧有限公司。今回で24 回目を迎え、テーマは「ハイテク、高能率・高品質スマート製造の実現」。日本やドイツ、スペインなど世界13 カ国・地域から約700 社以上が出展し、7万7,200 人が来場した。

 自動車産業を筆頭にウェアラブルや医療機器、家電、半導体、航空宇宙などさまざまな分野の金型関連技術が披露された。開会式では中国機械工業連合会副会長のほか、政府関係者や韓国やタイ、マレーシア、インド、香港などの金型関連団体会長や国際機関、領事館代表など国内外の業界要人約70 名が出席。日本からは初参加となる日本金型工業会の山中雅仁会長が出席した。
図1  DMC オープニングセレモニー

図1  DMC オープニングセレモニー

伸びる内需

 半導体と自動化、賃加工の3 つのキーワードを中心に出展のソディック。「23 年が底、24 年は持ち直した。25 年は昨年より良く賃加工の仕事が増えている」と上海現地法人責任者は近年の状況を説明する。大面積半導体IC パッケージを意識した形彫り放電加工機「AL60Gs+」や、低価格で自動化に対応する新型の形彫り放電加工機「A35LBs」、蘇州工場で生産予定の新型ロボット「SZ20」、ワイヤ放電加工機「VN600Qs」(図2)を披露した。「VN600Qs」には新たにコーナーコントロール機能を搭載。ワイヤ径0.25 mm、板厚60 mm、3 回カットで形状精度±3.0μm を達成。「このVN のバージョンアップシリーズは、間もなく中国のみならず全世界へ同時展開します」と販売戦略も明かす。
図2  ソディックはプレス金型や賃加工向けにVN600QS を提案

図2  ソディックはプレス金型や賃加工向けにVN600QS を提案

 「市場が大きいので何かヒットすると大化けするかもしれないという期待感は変わらない」と話すのは牧野フライス製作所の土屋雄一郎副総裁。エロワのパレットハンドリングと組み合わせたV33I の後継機「V300」、ワイヤ放電加工機「UPV︲3」、シンガポール製の形彫り放電加工機「EDAF2i」、多品種少量の高精度部品加工用5 軸立形MC、「DA500」を披露した。

 中国は自動化が必須になってきており、人件費の高騰や人材不足に関する需要に応える。

 「好調な業種に対してユーザーが求める性能を実現する」をテーマに加工条件の開発も中国で行っている三菱電機。足繁くユーザーのもとに足を運び改善しつつ、中国専用の加工条件を組み込んで販売もしている。中国の製造業の勢いが減速気味と言われているが、EV 関連、半導体関連が好調で昨年に比べると明るく、電気・電子部品などの超精密部品加工で超高精度を実現する油加工液仕様ワイヤ放電加工機「MX600」などを紹介した。加工機事業部・加工技術部の彦坂博紀部長は「特に華南地区での同機種の評価が高まってきており、前年比1.5 倍を目指したい」と販売に関する目標を説明する。

対抗馬は低価格短納期

 ヤマザキマザックは高生産性・自動化対応を追求した同時5 軸加工機「VARIAXIS i︲600NEO」、立形MC「FJV︲35/60L」、「FJV︲250」、高性能CNC 旋盤「QUICKTURN200L」計4 機種を出展。「半導体を始めとして95 %がローカルユーザーであり、中国製の機械はいまだに10 台、20 台と大口の注文は入ることがある」(現地担当者)。中国製部品メーカーのレベルも上がってきているため、日本製が技術面で有利とは言えないようになってきているようだ。「ユーザーの要求は低価格、短納期。精度面の要求も年々高くなってきているが、まだまだ設備投資の意欲があるのが中国」(現地担当者)と状況を説明する。

高精度・高品質が当たり前に

 日進工具は中国の代理店FINENESS から出展。4枚刃ロングネックラジアスエンドミル、3 枚刃ロングネックボールエンドミル(図3)など高硬度の金型に特化したCBN エンドミルをPR。ローカル企業の品質がかなり上がって来ていることもあり、競争が激しくなってきているが、「得意の微細加工をより強化して中国市場を深耕していきたい」と海外営業部の小玉周治課長。
図3  日進工具の高硬度の金型の特化したCBN3 枚刃ロングネックボールエンドミル

図3  日進工具の高硬度の金型の特化したCBN3 枚刃ロングネックボールエンドミル

 超硬工具専業のダイジェット工業は金型加工に焦点を絞り、5 軸加工用の工具を中心に出展。加工のDX化、無人化加工の中で5 軸機械が使われている。「価格競争が激しくなって来ているが、高精度を必要とするユーザーをメインにアプローチをかけている」(高総経理)。

 MST コーポレーションは、自動車部品の金型を手掛けるローカル企業に向けて焼きばめホルダをPR。また、部品加工向けには低価格帯のラインナップも揃えたアングルヘッドなどを紹介。同社ブース内では日本のラーメン、おにぎり、カクテルにおつまみなど(図4)が提供された。日系、ローカル問わず各企業の総経理や担当者が集まり、コミュニケーションの場になっていた。
図4  MST コーポレーションは酒や軽食を用意し、コミュニケ―ションの場を提供

図4  MST コーポレーションは酒や軽食を用意し、コミュニケ―ションの場を提供

材料の特性を活かした新しい提案

 共立合金は、超硬超硬合金や飛散を抑えたプレスオイル塗布を実現するパルススプレー装置などをPR。「自動車や電子部品などでは品質を重視するユーザーに「エバーロイブランドをさらに浸透させたい」と萩原董事長は出展の狙いを説明する。また、「米国関税の関係で超硬粉末(タングステン)が中国でも生産を減らしており、なかなか手に入りにくくなっている」と懸念も明かす。

 超硬耐摩耗工具に特化する冨士ダイスは、コロナ以降に台頭してきたローカルの超硬材料メーカーに対抗する。「かつては品質の問題があり参入してこなかったが、最近は技術レベルが向上している。コストも安いし品質も悪くない」と同社の担当者は状況を説明する。ロボットに搭載するレンズや小型モータ、電池など車載用のレンズなどの需要があり、新材料の開発に力を入れていくと同時に材料メーカーの強みを活かし、完成品の販売も強化する構えだ。

 大同特殊製鋼は高性能素材を中心にサンプル出展。モータやドローン関連で冷間材やギガキャスト用の「DHA︲GIGA」など超大型ダイキャスト金型用鋼の販売が好調のようだ。景気的にはまだ不透明感があるが中国政府のEV に対する補助金がまだ手厚く、「バッテリー関連での受注に期待したい」(工具鋼部の森下芳和副部長)。汎用鋼素材はローカルメーカーに太刀打ちできなくなっており、高性能素材を強化していく。
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