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機械技術

2025.02.05

タンガロイ ジェイコブ・ハルパズ氏に聞く―加工現場のボトルネックを解消するソリューションを提案

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 さまざまな産業分野向けに旋削、転削、穴あけなど多彩な切削工具を提供するタンガロイ(福島県いわき市)。2024年11 月5 日~ 10 日に開催された「第32 回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2024)」には、タンガロイを含む各国の切削加工メーカーを傘下に収めるオランダIMC(International Metalworking Companies)の会長兼社長でタンガロイ会長を兼務するジェイコブ・ハルパズ氏も訪れた。同氏に昨今のユーザーニーズや開発の方向性について聞いた。
タンガロイ会長を務めるジェイコブ・ハルパズIMC会長兼社長

タンガロイ会長を務めるジェイコブ・ハルパズIMC会長兼社長

『機械技術』編集部

足元の受注状況を教えてください。

ジェイコブ・ハルパズ氏

全体的には非常に良い。中国の減速やEV シフトの影響はあるものの、日本だけでなく世界全体で売上げが伸びている。タンガロイは日本市場での歴史が長く、革新的な製品を提供できる切削工具メーカーだ。日本には新技術、新製品を求めるユーザーが多いので、その点でタンガロイは評価を得ていると考えている。

切削工具に対するユーザーニーズに変化はありますか。

主に自動車業界で、金属3D プリンタや精密鋳造、精密鍛造の活用が進んできた。つくられる部品が最終形状に近くなり、切削での取りしろがどんどん少なくなっている。それもあり、ユーザーは高速・早送りでとにかく早く削るという方向にシフトしている状況だ。また、自動車業界に限らず被削材が多様化している。代表例がEV シフトによるアルミニウムの増加だ。金属3D プリンタの造形品も、被削材としては非常に硬く、工具メーカーとしてアルミ加工や造形品加工の要求に対応していく必要がある。

製品開発では何に力を入れていきますか。

以前は鋼のような削りやすい材料が多かったが、最近は金属3D プリンタの造形品に見られるように被削材の硬度が上がっている。切削工具の開発では、そこが大きなポイントになる。また、部品加工の生産性を高めるには、切削速度と送り速度を上げることが重要だとわれわれは考えている。切削速度の向上には工具材種が、送り速度の向上には工具形状がポイントになるため、その2 点を追求していく。

JIMTOF2024 でのアピールポイントは。

現場のボトルネック解消につながるソリューションを提案できる点をアピールした。現場全体の生産性を高めることが顧客の要望だ。まずボトルネックを解消して生産性向上につなげる。切削工具にはさまざまな種類があるが、どれか1 つに特化するわけでなく、すべての顧客にソリューションを提供できるよう開発を進めている。

海外と比べたときの日本市場特有のニーズは。

革新的な製品を求める傾向がある。根底には生産性を上げたいというニーズがあり、そのために従来の方法ではなく、今までなかったものを求める傾向があるのではないか。加えて、品質に対する要求も強い。革新性と高品質の両方を求める傾向は、他国に比べて日本で顕著だ。

日本市場での差別化戦略は。

革新を決して止めないという点が、タンガロイをはじめIMC グループ全体のコンセプトだ。タンガロイには唯一無二の製品が多い。われわれは多くの特許をもち、単に製品を開発するのではなく、顧客の問題を解決する新しい手段を考えている。JIMTOF2024 でもその点をアピールした。

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