相互点検による改善への気づき
5S 活動と改善提案を一緒にすることによって改善活動を活性化させることも狙っていた。その1つが5S 活動の一環として実施している部署間の相互点検だ。これは4 カ月に1 度、5S 改善提案委員が各部署をまわり5S 活動の状況を確認する取組みで、第三者の目からの気づきを得るのが目的である。同委員会の顧問を務める塚本常務は「相互点検は5S 活動として長年実施してきました。これを改善活動にも適用することで異なる視点からの指摘が改善の題材を掘り起こす契機になると考え、実際にそうしたケースが増えてきました」と一定の手応えを得ている。
ただ、一方で、そうした他部署からの指摘を改善にどう活かしていくかが今後の課題であるともいう。「せっかく改善個所を指摘されてもそこを変更すると別の個所に不具合が出てくるといったデメリットをあげて結局、改善が進まないケースがほとんど。確かに各部署なりの理由があるのはわかります。そこをどう乗り越えるのか。あと一歩踏み出せば大きく変わっていけると見ています」(同)とこれからの展開に期待する。
改善活動の一環で作成した標準品の棚。膨大な商品を間違わずに組み合わせるためのサンプルを用意
多品種少量生産を支える現場改善
今後の改善活動の方向性として重視するのは生産現場での生産効率の向上だ。同社の持ち味である多品種少量生産は多種多様な製造装置を商品に合わせて調整し、迅速に対応していくことが求められる。「中小ロットの製品がほとんどなので1 商品は長くて3 ~ 4 日、多くは1 日で生産を終えるので、その段取り替えをどれだけ早く進められるかが、常に課題となっています」(増田工場長)。設備のセッティングにかかる時間はロット数が多くても、少なくても変わらない。最小ロットで利益を生むには工程を変更したり、清掃時間を短縮したりと、工程改善、作業改善などが重要となってくる。たとえば乳化設備は油が落ちにくく生産に要する時間と機械の設置と洗浄にかかる時間が同じくらいかかることもあるという。
「企画段階で開発部とコストを詰めますが、洗浄に手こずるなどして予想以上に時間がかかるケースもあります。そうした場合、開発と相談しながら工程を短縮したり、材料を混ぜるスクリューの羽根を減らして清掃を簡単にしたりといった改善に取り組み、品質を維持しながら生産性を向上させる取組みが一層大切になってきます」(同)
化粧品の中身をつくる乳化設備。清掃時間を短縮するため高機能の洗剤探しも欠かせない
自動化を中心とした設備の更新もこれからの検討材料となっている。「従業員の採用が難しくなる中、従来の半自動機械で進めるのか、自動化を推進して省力化を図るとの検討も必要になってきています。設備更新によって新たな改善を促進する要素もあり、慎重に判断していきたいと考えています」(塚本常務)。顧客へのきめ細かなサービス提供を目指し、最適なモノづくりを模索する。