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プレス技術 連載「我が社の現場DXはじめの一歩」

2025.05.15

第5回 現場導入レポート  オシタニプレス 試行錯誤編

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企画・文=ものづくりライター 新開 潤子(オフィス・キートス)
協力=SUS ㈱、㈱オシタニプレス、㈲沼製作所

SiOt の通信トラブル、回避策は2 つ

 オンラインミーティングで状況を聞いた辻氏は「ネットワーク設定の問題かもしれませんね」と即答。「ここから確認させてください」と始めたのが、パソコンのIP アドレスの設定だ。そこで実際に使うPC の画面を共有しながら、辻氏の助言に従ってPC とSiOt 本体の両方に固定のIP アドレスを割り振る設定を行ったところ、接続の問題は一気に解決してしまった。さすがプロ、さすが開発者である(写真3)
写真3  設定がうまくいかない画面をオンラインで共有し、具体的なサポートを受けた

写真3  設定がうまくいかない画面をオンラインで共有し、具体的なサポートを受けた

 今回の通信トラブル発生の原因について、辻氏は「SiOt のネットワークの設定とパソコンのネットワークの設定が合っていなかったこと」と指摘。このような通信トラブルの回避策として、2 つの方法を教えてくれた。

1.SiOt とPC を、ルータを介して接続する
 SiOt は開発当初から、ルータが持つ「IP アドレスを自動で割付」という機能を活用するコンセプトで開発されたとのこと。ルータを介したネットワーク接続を前提として作られているため、IPアドレスのトラブルが発生した場合には「ルータを設置すれば解消することが多い」ということだった。

2.TCP-IP の設定
 SiOt とPC を、ルータを介さずに直接接続する環境の場合、パソコンのネットワーク設定が「自動でアドレスを取得する」になっているとSiOt︲PC 間の通信ができないので、TCP︲IP の設定が必要になる。SiOt 本体にはSiO-Programmer で、PC には「ネットワーク設定」で、両方に固定でIP アドレスを書く必要があるということだった。

 ただ、この設定が難しい場合でも、ルータを設置すれば解消することが多いそうなので、通信がうまくいかないケースが発生したら、まずはルータを介して接続することをおすすめしたい。

スクラップ回収コンベアのセンサを検討

 ミーティング終盤には、押谷氏がタレットパンチプレスに設置を検討中の「スクラップ回収コンベア」についても相談があった。

 「タレットパンチプレスからスクラップが落ちてきたときに、それを検知してコンベアを20 秒程度動かして、スクラップを回収したい」という計画のうち、センサの選定で迷っているとのことだった。

 辻氏は「確かに通常の光電センサでは、スクラップの大きさや形状によっては検知が難しいかもしれません」と指摘。ただし、コンベアの利用目的を考慮すると全てのスクラップを正確に検知する必要はないと思われるため、「ピッキングセンサなら、複数の光線で確実に検知できる可能性が高い」と提案してくれた。

 結果、コンベアではSiO とピッキングセンサを使った仕組みを構築して試験運用を行うことに決定。次回の取材までに、① 4 台のプレス機へのSiOt の接続、②スクラップ回収コンベアの運用開始、を目標として設定し、この日の打合せはお開きとなった(写真4)。
写真4  オンラインミーティングの様子(上段左から辻氏、筆者、下段は押谷氏)

写真4  オンラインミーティングの様子(上段左から辻氏、筆者、下段は押谷氏)

 今回のオシタニプレスでの通信トラブル発生について、両氏はそれぞれ、以下のようにコメントしてくれた。「ネットワーク設定のところが難しかったということ。実は接続マニュアル(*1)には書いてあるのですが、その案内も含めてわかりにくいということなので、開発としてもわかりやすく改善していきたいと思います」(辻氏)

*1  IoT︲Monitor 接続マニュアル:https://fa.sus.co.jp/products/files/Iot-ConnectManual_r110.pdf
 「自宅でネットに繋ぐ感覚で、ネットワーク環境を安易に考えていました。自分だけで解決できない場合はプロに聞く、という大切さも改めて認識しました」(押谷氏)

 次号ではオシタニプレスの現場を取材し、実際の稼働の様子をお伝えする予定だ。通信トラブルを解決した後、SiOt を使った仕組みの構成、プログラム、解決できた課題などをレポートするのでお楽しみに。
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