プレス技術 連載「我が社の現場DXはじめの一歩」
2025.05.15
第5回 現場導入レポート オシタニプレス 試行錯誤編
企画・文=ものづくりライター 新開 潤子(オフィス・キートス)
協力=SUS ㈱、㈱オシタニプレス、㈲沼製作所
しんかい じゅんこ:ものづくりライター/オフィス・キートス代表
URL:
https://office-kiitos.biz/
取材協力:SUS ㈱
URL:
https://www.sus.co.jp/
小学生でも使えるほど簡単なコントローラ、SiO シリーズ〔エスアイオー、SUS ㈱製〕を使い、工場のデジタル化・自動化(=デジタルトランスフォーメーション、以下DX)で現場の効率化を目指す本連載では、板金加工業・プレス加工業の2 社の協力を得て、SiO シリーズを使った現場DX の実践プロジェクトを進めている。
【現場DX プロジェクト概要】
① セミナーとショールーム見学で、社長自らSiO を学び身につける
② 会社に持ち帰り、現場で3 カ所以上にSiOを使った仕組みを導入する
③ その様子を本連載でリアルにレポートする
前号では、プレス加工の沼製作所(愛知県豊川市)で「組付け機の完成品カウンタ」と「金型交換タイムカウンタ」の2 つの仕組みが動き始めた様子をレポートした。今回からは大阪のプレス・板金加工メーカー、オシタニプレスでの取組みを紹介するが、実はパソコンとの通信がうまくいかず、途中でつまずいてしまった。
しかし本連載はDX への挑戦の様子をリアルにレポートする企画なので、今号ではつまずいたポイントと原因、SUS のサポートを受けた解決までの様子をリアルにお伝えしたい。
SiOt とパソコンの通信がうまくいかない
オシタニプレスでは、専用ソフト「IoT-Monitor」でパソコンとの連携が可能なSiOt コントローラを使い、①プレス機の動作をカウントして生産量を事務所から把握できるようにする、②タレットパンチプレスのスクラップをコンベアで排出する、という2 つの仕組みを導入することに決めた。
①は生産数の多いプレス機1 台で試行して、うまくいったらプレス機4 台に拡張する計画を立てて準備を始めた。
最初に事務所のパソコンで専用ソフト「IoTMonitor」を使ってプログラムを作り、ネットワークに接続して、仮環境で動作確認をしたところ、問題なく作動した。
続いて現場で最も稼働が多いプレス機のロータリカムの予備のリミットスイッチにケーブルを接続し、1 回転ごとに信号を取れるように設定(写真1)。そしてIoT-Monitor をインストールしたノートPC を現場に持参し、直接接続して動作確認を行った(写真2)。するとカムの回転ごとにカウントアップしていることが確認できたため、ケーブルの通信は問題ないことが判明した。
写真1 ロータリカムの予備のリミットスイッチから信号を取った
そこで本番環境としてSiOt コントローラを工場のネットワークを介して接続したところ、今度は全く反応がない。通信がうまくいっていない様子と判断した押谷社長は、設定を変える、ケーブルを変える、IP アドレスを変えるなどいくつかトライしてみたが、どうにもうまくいかない……。
ここで「SiOt とパソコンを接続しようとしたのですが、なかなかうまくいかなくて…」と連絡をいただいたので、連載の締切を控えた筆者がSUS の辻氏にヘルプを依頼。日を改めてオンラインミーティングでサポートいただけることになった。