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プレス技術 連載「モノづくり革新の旗手たち」

2025.04.17

独自技術の開発によりレーザ多孔加工を確立 量産化への道を拓く

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武蔵ワイヤード㈱[旧㈱ワイヤード] 代表取締役
外山達志氏

 新潟県三条市に本拠地を置く武蔵ワイヤード(旧ワイヤード)は、2014 年の創業のレーザ多孔加工を得意とする加工メーカー。開発型企業として前身のベンチャー企業の時代からフィルムや金属箔への多孔加工の高効率化に取り組み、独自技術を用いて開発に成功。それまで弱点とされた生産性を大幅に改善するなど注目を浴びている。同社創業メンバーであり2017 年から同社の指揮を執る外山達志氏に同技術の強みと、これからの戦略について聞いた。

レーザ多孔加工の常識を変えた

『プレス技術』編集部

事業内容を教えてください。

外山

レーザ技術を利用した各種加工技術の開発、とくにセパレータなどフィルムや金属箔への高速多孔加工を得意としており、試作を中心に一部量産の受託や、当社の穴あけ技術を組み込んだ加工機の設計・製作・販売などもしています。開発型ベンチャーとして10 年前に創業、現在も15 名いる社員の7 割近くはなんらか開発業務に携わっています。
レーザパンチングによる多孔加工例。金型使用よりも小さな穴で開孔率を大きくできる(材質:銅)(写真提供:武蔵ワイヤード)

レーザパンチングによる多孔加工例。金型使用よりも小さな穴で開孔率を大きくできる(材質:銅)(写真提供:武蔵ワイヤード)

レーザ穴あけのメリットは。

一つは非接触加工であること。そのため箔の上に何かを塗ってある積層素材や複合材料でも穴あけができます。エッチングのように材料を選んだり、金型を使うパンチングのようにバリが出ないほか、摩耗がないため仕上がりにばらつきがありません。もう一つは、プログラム次第でさまざまな径・ピッチの穴でも即座にあけられ検証できるため、試作プロセスが各段に早くなることです。

試作で強みがでる技術でしょうか。

これまでそうでしたが、いまは量産技術として提供できるところまで仕上がってきています。端的に言うとスピードが上がってきました。レーザの能力が上がり、当社の光学系技術開発も大幅に上がってきたので生産性が大幅に向上したため、ようやく量産技術と呼べるまでになってきたと考えています。これまでレーザによる穴あけは、金型を使うパンチングや化学的手法によるエッチングなどと比べて加工スピードが遅く、量産には向かないというのが常識でした。

どのように課題を克服しましたか。

独自のスキャナ技術であるGHS*を用いてロールto ロールで精密に連続加工することで可能になりました。ロールto ロールとは、素材となるフィルムや箔を供給ロールから引き出しながら加工し、加工後にはさらに巻き取っていく技術です。加工スピードを上げるためにはワークの送りを止めず、連続的に加工する必要があります。そのために必要なのがGHS(Grand HelicalScan)と呼ばれるスキャナ技術です。スキャナとは、レーザ発振器からのレーザ光を加工物に当てる技術・機器を言います。
 GHS では、ロールから供給されるフィルムを送っていく際、直線的に送るのではなく、フィルムをドラムに斜めに巻き付けドラムを回転させながら送っていきます。その際、ドラムの軸方向からレーザを照射、ドラム内部のミラーで90°反射させ、ドラム内側から円周上にあけられたスリットを通してフィルムに連続的に穴をあけていくような仕組みです。従来のレーザ加工では被加工材は動かないことが前提ですが、当社の技術は動いている状態で正確に加工できる技術となります。
*GHS は旧㈱ワイヤードの登録商標です。
レーザパンチングによる多孔加工例。金型使用よりも小さな穴で開孔率を大きくできる(材質:銅)(写真提供:武蔵ワイヤード)
広幅対応のロールto ロール機(原反幅600 ~ 1,300mm。加工部はユーザー専用設計にて設定)

広幅対応のロールto ロール機(原反幅600 ~ 1,300mm。加工部はユーザー専用設計にて設定)

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