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プレス技術 連載「モノづくり革新の旗手たち」

2025.04.17

独自技術の開発によりレーザ多孔加工を確立 量産化への道を拓く

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武蔵ワイヤード㈱[旧㈱ワイヤード] 代表取締役
外山達志氏

さらなる加工スピード向上の取り組みは

現在、レーザの能力がスキャナに追いついていないので、レーザの能力が上がっていくとさらなるスキャナ能力の向上が望めます。レーザは年ごとに急速に進歩しているので、これからまだスピードは上がると思います。材料によって適切な波長が異なりますので、いろんなレーザの発振器を試しながら開発を進めています。

最近の売上げの状況は。

昨期はようやく売上げが2 億円近くに上り、過去最大をマークしました。今期もここまで4 億円以上となっており、開発開始から10 年経ってやっと次のフェーズに行けたと感じています。さらなるキャパシティを求めて、現状5 台あるロールto ロールの試作機を2 台増設する予定です。ロールto ロール機については保有する5 台は現状、加工幅150mm ~ 1,300mm まで対応できます。今後も加工種類や速度もさまざまなニーズに対応できるように増強していきたいと考えています。
ロールto ロール レーザパンチング機(加工幅300mm。ガルバノスキャナを搭載。枚葉セッティングも可能)

ロールto ロール レーザパンチング機(加工幅300mm。ガルバノスキャナを搭載。枚葉セッティングも可能)

今年4 月、取引先である武蔵精密工業と資本提携を結びました。

今年からお客様への量産機の納入も始まる中、プライベートカンパニーとしてやっていくだけでは成長にも限界があると考え、1 年ほど前から提携先を探していました。決め手となったのは、ユーザー企業ということもあり、当社や当社の技術の価値をよく理解していただいていることです。一緒に世界を変えるような装置を作っていこうと話しています。

フィルム屋とレーザ加工屋の協業から生まれた

創業の経緯は。

当社は2014 年に創業しましたが、実はその前身となる会社があり、もともとは2007 年にウェーブロックホールディングス(東京中央区)という樹脂フィルムメーカーと、板垣金属(新潟県三条市)というレーザ微細金属加工の会社のジョイントベンチャーとしてスタートしました。当初は不織布に代わるセパレータを作ろうと考えていました。ところが、スタートして3 年が経過してもなかなか芽が出なかったことから、一旦、ジョイントベンチャーとしては解消。ただ、止めてしまうにはもったいない技術なので何とか継続しようと考え、2014 年に仕切り直して作られたのが当社です。両社からあきらめきれないメンバーが居残って開発を続けてきた形です。私を含めた5 人で発足し、専従の社員は1 人。残りはそれぞれ本業とかけもちでの再スタートでした。運営資金もそれぞれ個人で出し合い、それに助成金を借りるなどして開発費用を捻出しました。

ご自身の経歴は。

私はもともとは銀行マンをしていました。投資ファンド業務に従事していたとき、投資先の1 社がウェーブロックホールディングス社でした。それが縁でフィルム加工の世界を知るようになると同時に当時の社長の技術や事業に対するアグレッシブな考え方に惹かれました。私自身が将来、事業会社で事業経営に携わりたいという気持ちもあり、新技術開発や新規事業をやらせてもらうことを条件に転職し、2012 年からフィルムのレーザ加工技術に関わることになりました。

技術の印象はどんなものでしたか。

正直、当初は私自身が技術に対する理解力不足もあり、半信半疑でした。ただ、発展途上の技術なので工夫次第でドラマチックに技術革新していくのではないかと期待もしていました。それに加えて、お客様の「この技術は絶対に世界を変える」という言葉に後押しされたこともあり、2014 年の当社の設立時には創業メンバーに名を連ねることになりました。設立後から3 年間は顧問という形で関わっていましたが、実質的には私ともう1 人技術責任者が一緒にやっていていましたので2017 年に正式に社長に就任しました。
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