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プレス技術 連載「モノづくり革新の旗手たち」

2025.06.06

高度な金型技術を武器に新たな金型ビジネスを始動 収益増強に向けて邁進する―ハルツ

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㈱ハルツ 代表取締役社長
近藤大輔氏

 神奈川県横浜市にあるハルツは1973 年創業の金型メーカー。家電やOA機器向けの弱電部品用金型を中心に技術力を高め、その後、自動車部品や住宅設備部品などにレパートリーを拡げるなど成長を遂げてきた。最近では新たに設計・加工の受託サービスを開始したほか、金型輸出を計画するなど攻勢をかけている。2011 年から同社の指揮を執る3 代目の近藤大輔氏に同社のこれまでの歩みと、今後の戦略について聞いた。

金型の設計· 測定· 加工の受託サービスを開始

『プレス技術』編集部

得意な金型は。

近藤

単発からタンデム、トランスファ、順送まですべてのプレス金型を作っています。保有する110t ~ 250t のトライ用プレス機に搭載できる金型がメインとなりますが、大きさは指先サイズから腕を拡げたサイズまで、また板厚は0.6mm 以下を中心に4.5mm 程度の厚物まで幅広く実績があります。材料は鉄やステンレス、アルミや銅のほかにインコネルなど難加工材も扱っています。板厚も大きさもバラバラですが、それぞれ長年培われた加工ノウハウが当社の強みとなっています。産業別には現在、「住宅設備」「自動車部品」「家電・OA機器など」の三本柱がおよそ3 分の1 ずつとなっています。
OA機器部品サンプル(単発型)

OA機器部品サンプル(単発型)

自動車クラッチ部品サンプル(順送型)

自動車クラッチ部品サンプル(順送型)

業界の違いによる金型への要求の違いは。

たとえば、スクラップ処理ではボルスタ外の指定する場所まで誘導・排出する機能を要求される産業と、そこまでしなくてよい産業とがあります。当然、見積もりが変わってきますが、要求の多い産業に限って、競合も多いのが悩みの種となっています。

最近の注文の傾向は。

新規案件については厳しい状況が続いています。新規開発が少なくなっているのが原因です。小ロット化で板金加工に仕事が流れているというわけではなく、逆に準量産品などが板金メーカーではなく試作メーカーに流れているケースが見られます。一方、古い金型を作り直す金型の更新需要については増える傾向にあります。長年使い続けてきたが、さすがに限界をむかえた金型が増えてきているのだと思います。特に最近は人手不足で単発プレスに人を配置できなくなっているプレス現場が多くなったことから順送金型の注文が増えています。

金型設計の受託サービスを始められました。

設計では、一つの金型の出図が終了後、次の金型まで稼がない期間ができてしまいます。そうしたときに新しい収益源を作れないかと始めたサービスです。諸々の仕様をお聞きして組図として納品、検図をクリアして商売がクローズします。プレス工場にはマシニングセンタや研磨機などの設備のほか、金型メンテなど人材も揃っているところが多くあります。それらをもっと活用できないかと考えたときにネックとなるのが設計です。当社に代行を依頼されることも多かったことから事業化しました。普通はトライで確認してから納品ですが、図面段階で納品し料金が発生するので、構想段階でよく打ち合わせてから進めています。委託サービスは設計に限らず好評で、特に3 次元測定や、マシニングセンタやワイヤ放電加工による加工委託は多くの引合いをいただいています。今後、委託サービスの比率をさらに拡大し、経営の柱の一つにしたいと考えています。
放電加工技術を示すサンプル

放電加工技術を示すサンプル

父の遺志をついで金型の世界に飛び込んだ

創業の経緯は。

1973 年(昭和48 年)、横浜の板金加工メーカーの金型部門に勤務していた父(近藤満氏)が独立して創ったのが当社です。農家の三男坊として生まれた父は幼少期から、いつかは社長にという想いが強く、27 歳のときに実現しました。当初は磯子区(横浜市)に倉庫を借り、そこを工場代わりに営業を開始しました。さらに独身寮で相部屋だった2 代目(現会長佐渡延幸氏)の合流を待って放電加工機を導入。仲良くなった近隣の同業メーカーから仕事を回してもらうなどして少しずつ力をつけていきました。

どんな金型を作っていましたか。

創業当初はできることは何でもやるというスタンスでしたが、高金利時代には家電やOA機器など弱電分野のなるべく資金回収のサイクルの短い業界を狙う戦略だったようです。時代が低金利に変わると、家電やOA機器製造の海外シフトもあって、次第に自動車部品や住宅設備、また変速機やモータコア部品といった産業機器など、ほかの産業にもレパートリーが拡がっていきました。
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