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プレス技術 連載「値決めの鉄則」

2025.03.12

最終回 将来への種まき

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西田経営技術士事務所 西田雄平

プロダクト・ロードマップの例

 図表2 は、プロダクト・ロードマップの一例です。ここでのポイントは「市場の大きさ」と「自社のシェア」です。
図表2 プロダクト・ロードマップの例

図表2 プロダクト・ロードマップの例

「市場の大きさ」が今後どうなっていくのかを調べ、「自社のシェア(目論見)」を乗じていくと、自社の販売台数が算出できます。これに売価や原価情報を組み合わせれば、自社の利益額も算出できます。図表2 は、夢のあるロードマップですね。成長市場で自社の存在感(シェア)を高めることで、5 年後には1.2 億円の利益額を目指そうという目論見になります。ぜひポジティブ思考で、何をどれだけ売っていきたいのかをまとめてみてください。

テクニカル・ロードマップの例

 図表3 は、テクニカル・ロードマップの一例です。プロダクト・ロードマップで描いた予想図を実現するための技術的な検討課題を整理していきます。
図表3 テクニカル・ロードマップの例

図表3 テクニカル・ロードマップの例

 ここでは中期的なテクニカル・ロードマップとしていますが、社内でPDCA を回す際には、半年から1年単位で区切ったものを別途用意すると進めやすいです。

 いずれにしても、ここに描かれている内容は「現在はできていないこと」です。「どうせ無理だ」とか「やっても無駄だ」と考えるのではなく、「それを実現させるには、どうすれば良いか」という心で取り組んで欲しいと思います(念のためですが、「月に工場を建てる!」というような夢物語ではなく、現実的なところでの検討をお願いします)。

セールス・ロードマップの例

 図表4 はセールス・ロードマップの一例です。テクニカル・ロードマップによって技術的な課題の達成目途が立ち、顧客に提案できる段階になったら、具体的なセールス・ロードマップを作り始めましょう。
図表4 セールス・ロードマップの例

図表4 セールス・ロードマップの例

 どういった顧客に対して、どのように販売していくのか、その筋道を描いていきます。「このように行動し、売上につなげるのだ!」と、決心しながら作り込んでください。

収益改善会議でPDCA を回そう

 ロードマップを描いたら、その進捗確認をする場を設定しましょう。それが「収益改善会議」です。収益改善会議では、主に原価計算書や利益一覧表を持ち寄って低利益率製品のコストダウンや値上げによる収益改善を画策し、その実行フォローをしていきます。そのついでに、これらのロードマップについても進捗確認を行いましょう。

 成功のポイントは、毎月1 時間でも良いので半強制的に継続開催することです。ダイエットと一緒で一度緩めるとズルズルと甘えが出てしまいます。経営者自ら参加し、権威ある場として開催していってほしいと思います。
 1 年に渡った連載は、これにて終了となります。最後までお読みいただいた読者の皆様、本当に有難うございました。

 利益は皆様が一生懸命働いた報酬です。しっかりと稼いでください。適正利益を確保することは決して悪ではありません。利益の方程式を念頭に置き、原価より高く売ることに腐心してほしいと思います(もちろん道徳に反することは御法度)。

 そのためにも大切なことは、正確な原価を掴み、儲かる見積りや値決めの仕組みを社内に構築していくことです。その具体的なやり方は本連載で述べて参りましたので、いま一度バックナンバーを振り返っていただき、手を動かしはじめて下さい。


 そして分からないことが出てきたら、すぐに筆者まで相談してほしいと思います。社内でああでもない、こうでもないと迷っている間にも、悪玉製品は毎月数万、数十万、数百万と赤字を生み続けています。これは大変もったいないことです。いつでもお手伝いさせていただきます。

 ここから先、行動にうつすかどうかは皆様次第。どうか自らの手で幸せを掴んでほしいと思います。それでは皆さん、またどこかでお会いしましょう。
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