3 次元モデルデータを読み込んだら、始めに加工原点と切削するストック(素材)を設定する。切削を行う工作機械ごとに軸構成が決まっている。縦/横/高さにあたるX軸/Y軸/Z軸と、各軸の回転方向にあたるABC軸を備える機械がある。機械には、機械本体の原点である「機械原点」が存在する。機械原点を基準に考えてしまうと、加工するものの大きさやテーブルにセットする位置が違ったときに、座標値を割り出すのが大変なため、加工する際に一時的に原点とする「加工原点」を設定する。加工する際には、CAMで設定した加工原点の位置座標(0, 0, 0)と、機械で設定する加工原点の位置座標(0, 0, 0)を一致させておくことで、CAMで設定した通りに削ることができる。
ストック(素材)の設定は、3 次元モデルの形状を認識して行える。余肉を持たせて少し大きめに設定したり、材料の規格サイズに合わせたりする。
ツールパスとは切削工具の経路のことである。「CL (Cutter Location:カッターロケーション)データ」とも呼ばれる。Fusion 360 では、ツールパスが、「2D」、「3D」、「ドリル」、「複合軸」に大きく分類される。穴あけ加工は「ドリル」、曲面加工は「3D」、曲面以外の形状は「2D」を使用する。さらに4軸、5軸加工の場合には「複合軸」を使用する。
ツールパスにはさまざまな種類があり、急斜面を加工するのが得意なものや、緩斜面、平坦部を加工するのが得意なものなど、加工対象の形状に合わせて最適なものを選択していく。
加工の順序に関しては、全体的に材料を削り取る「荒取り(粗取り)」から、「再荒取り」、「中仕上げ」といった形で徐々に完成形に近づけていき、最終的に「仕上げ」を行う。
荒取りでは、できるだけ多くの材料を除去したいため、なるべく太い工具を使って削る。細い工具は負荷がかかると曲がりやすく、折れやすいためである。ただし、太い工具を使用すると、細かいところに工具が入らないため、再荒取りとして少し細い工具でなるべく最終製品に近い形で削っていく必要がある。材質などにもよるが、一般的には0.2~0.5 mm程度残して削る。この残し量を「取り残し量」や「仕上げ代」と呼び、側面取り残し量と底面取り残し量を別々に設定できる。
最終的な仕上げでは、細かい部分にも工具が入る必要があるため、細い工具で加工する。細い工具を使うということは、負荷がかかるとすぐに折れてしまうことになる。直径1 mm以下の工具を使う場合は、なるべく取り残しを均一にしておく必要がある。そのため、最終仕上げの前に、中仕上げという形で材料をならしておくこともある。
ツールパスの作成画面では、工具の設定を行う。直径や刃長、刃数などさまざまある工具の種類の中から適切な工具を選択していく(図4)。次に、工具の回転数や切削速度、切り込み量などを設定し、加工範囲や進入/退出動作の設定(図5)などを入力することでツールパスが生成される。