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機械設計 連載「教えてテルえもん!3次元ツール習得への道」

2026.02.04

第22回 3次元ツールを活用した試作回数の削減

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いわてデジタルエンジニア育成センター 小原 照記

おばら てるき:いわてデジタルエンジニア育成センター長。自動車内装部品の設計会社を退職後、岩手県北上市を活動の拠点に10年以上、3次元デジタル技術関連の人材育成、企業支援に努め、学生から求職者、企業まで幅広く指導し、3次元から始めるDX推進活動を続けている。同センター長のほか、3次元設計能力検定協会の理事も務める。

はじめに

 モノづくりにおいて、試作回数を削減することは大きなメリットがある。試作にかかわる時間の短縮だけでなく、試作のための加工費を抑えることができ、コスト削減につながる。また、試作時に使用する材料の削減による材料費のコストダウンだけではなく、廃棄物の発生を抑えることによる環境を配慮した取組みにもつながる。今回は、試作回数を削減するために効果的なデジタルモノづくりについて紹介する。

CAEの活用 

 試作を行う理由として、製品の「安全性」の確認がある。安全性を確認するために試作品をつくり、実験を行う。実験の回数が増えるほど試作品の数も増え、廃棄物の量も増える。CAEを活用することで、事前に安全性をコンピュータ上でシミュレーションすることができる。 

 CAEは、“Computer Aided Engineering”の頭文字を取ったものである。直訳すると「コンピュータによる工学支援」となる。3 次元CADなどで作成した仮想モデルデータに、製品の仕様、使用条件などを加え、コンピュータ上での数値計算により仮想実験を行うシミュレーション技術である。物をつくる前に、CAEで解析を行うことで、試作や実験の回数、実機製作後の手戻りを減らすことができる。 

 CAEには、「構造解析」、「機構解析」、「熱伝導解析」、「流体解析」、「磁場解析」、「音響解析」、「光学解析」、「樹脂流動解析」、「プレス解析」など、さまざまな種類がある。実験では確認が難しいことも視覚化することができる。CAEで解析を行ったから実験をしなくてもよいというのは安易で危険な考えだが、コンピュータ上で最適な形状を検討し、実験の回数を減らすことは、QCD(品質・コスト・納期)の向上につながるだけでなく、廃棄物を減らせることによる環境に配慮した取組みにもつながる。 

 CAEを使って部品の軽量化を検討することもできる。必要な強度を保ちつつ軽い部品を設計することで、使用材料の削減につながり、車や飛行機などの乗り物の場合には、燃費の向上にもつながるなど、必要なエネルギー消費量を削減することによる環境に配慮した製品をつくることができる。 

 最近では、トポロジー最適化やジェネレーティブデザインなどの機能を使用することで、コンピュータが軽量化を考慮した最適な形状を提案してくれる(図1)。
図1  オートデスク「Fusion 360」のジェネレーティブデザイン機能を活用し、椅子の軽量化を検討している画面の例

図1  オートデスク「Fusion 360」のジェネレーティブデザイン機能を活用し、椅子の軽量化を検討している画面の例

 CAE解析は、何回行っても材料費や加工費は発生しない。問題のある設計をしていても物をつくる前であれば、大きな問題にならずに済む。さまざまな設計パターンを比較検討しながら事前に問題箇所をつぶし、業務を進めることができるため、物をつくる前にCAEを活用することをお勧めする。

DMUツールの活用 

 DMU(デジタルモックアップ)とは、コンピュータ内に作成されたモックアップ(模型)のことである。DMUツールとは、製品の検証に、実際の模型を作製せずにDMUを使用してシミュレーションを行うシステムである。このシステムを使用することにより、試作回数の削減ができ、開発コストの大幅な削減が実現できる。
                              
 DMUツールの代表的なものとしては、「XVL」や「VPS」などがある。ビューワ機能として寸法測定、注記作成などの基本的な機能があり、干渉チェックや断面生成などの検証機能、技術資料を作成するためのさまざまな機能が搭載されている。DMUツールを活用し、物が出来上がる前に組立性や人体モデルを置いての作業性を検証し(図2)、事前に問題を解決しておくことで、試作を行ってからの不具合を減らすことができ、結果、試作回数を削減することができる。
図2 富士通「VPS」のDMU機能を使用して検証を行っている様子(人体モデルを使用してレジでの作業性を検証している画面)

図2 富士通「VPS」のDMU機能を使用して検証を行っている様子(人体モデルを使用してレジでの作業性を検証している画面)

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