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機械設計 特別企画「経験談から学ぶ 難局はこうして乗り越えた!」

2026.05.08

事例2 アジア圏向け製品開発の難局を技術者としての成長の糧に

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鈴木技術士事務所 鈴木 敬一

難局を乗り越えて得られた教訓

 難局を乗り越えるために重要なのは、「柔軟な対応力」と「周囲との連携」である。問題が発生した際、迅速かつ適切に対処することが求められるが、一人で解決するのではなく、チームや関係者と協力することで効果的な解決策を見いだせる。また、現地スタッフからのフィードバックを積極的に取り入れることで、見逃していた問題点を把握し、改善策を実行に移すことができる。

 プロジェクトを通じて得られた最大の教訓は、「失敗から学ぶ姿勢」の重要性である。試行錯誤を繰り返し、問題の根本原因を突き止めることで、製品の品質を向上させることができた。失敗を恐れず、そこから得られる知識を活用する姿勢が、技術者としての成長につながる。

 もっとこうしておけばよかったと思う点は、「早期のリスク評価と対応」である。現地の環境や使用条件の違いをもっと早い段階で詳細に把握し、それに基づくリスク評価を行っていれば、問題の発生を未然に防げた可能性がある。事前の準備と情報収集の重要性を痛感した。

 私が特に皆さんに伝えたいことは、「コミュニケーションの重要性」と「自己研鑽の継続」である。チームや関係者とオープンなコミュニケーションを図り、情報を共有することで、プロジェクト全体の成功に寄与できる。また、常に新しい知識や技術を学び続けることで、柔軟かつ革新的な解決策を見いだすことが可能となる。

スキルの高め方・活かし方

 これからの設計者には、「持続的な学習」と「多角的な視点を持つこと」が求められる。特に自己研鑽を継続することの重要性は、時代の変化に対応し、最新の技術や知識を取り入れることで、常に最前線で活躍できる技術者になるための基盤となる。セミナーや研修だけでなく、自ら積極的に情報収集を行い、新しいスキルを習得する姿勢が求められる。

 その一つとして、技術士の資格取得を推奨したい。「学理を開発した学者には博士という称号が与えられる。これに対し、技術を産業界に応用する能力を有すると認められた技術者には技術士という称号が与えられる」。この言葉は、「技術士要覧(昭和62年版)」(発行:日本技術士会)の巻頭に掲載されている、当時の経済団体名誉会長(経団連)土光敏夫氏による“技術士の活躍に期待する”と題した寄稿文の冒頭部分である。

 技術士とは、科学技術に関する技術的専門知識と高等の応用能力および豊富な実務経験を有し、公益を確保するため、高い技術者倫理を備えた優れた技術者に与えられる、国による資格認定制度である。技術士には複数の資質能力(コンピテンシー)が求められており、「専門的学識」、「問題解決」、「マネジメント」、「評価」、「コミュニケーション」、「リーダーシップ」、「技術者倫理」の7 つが定められている。

 私はその中でも特に「コミュニケーション」と「リーダーシップ」が重要であると考えている。プロジェクトをリードし、チーム全体をまとめる力を持つとともに、さまざまなステークホルダー間の相反する要件を調整し提案するスキルを保有することで、効率的・効果的に目標を達成することができる。また、リーダーシップを発揮するために、コミュニケーション能力を磨き、メンバーの意見や、多様なステークホルダーを尊重しながら意思決定を行うことが求められる。

 もちろん、「技術者倫理」と「専門的学識」も欠かせない要素である。技術者としての倫理観を持ち、高い専門知識を保持することが、信頼される技術者としての基盤を築く。これらのスキルを高めることで、設計者としてのキャリアをさらに発展させることができる。

 さらに、多様なバックグラウンドを持つチームメンバーとの協働は、自身の視野を広げるだけでなく、異なる視点やアイデアを取り入れることで、より創造的な解決策を見いだすことが可能となる。異文化理解や多言語能力を磨くことも、国際的なプロジェクトにおいて大きな強みとなる。

 前述のとおり、私は海外での業務を長きにわたり行っており、さぞ語学が堪能であったのだろうと感じられたかもしれない。しかし、初めてとなる欧州駐在前はまったくと言っていいほど、英語の読み書きや会話はできなかった。もちろん語学学校へ通うなどの努力はしたが、徐々に現地の技術者と対等に仕事ができるようになり、信頼を得られるようになっていったのである。

 最後に、技術者としてのキャリアを築くうえで大切なのは、「パッション」と「好奇心」である。困難な状況に直面しても、常に前向きに挑戦し続ける姿勢が、長期的な成功と成長につながる。技術者としての情熱を持ち続けることで、自身の限界を超え、新たな可能性を追求することができる。
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